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☆クラシカ口イドの小説(長編)
怖い夜だから
シュー「はい!?」


『だ、だから…こんな事、シューさんしか頼める方は居なくて…』


シュー「怖い…ホラー映画ですか…」


『調子に乗って見ちゃったから…』


シュー「どうしても…お一人では眠れないのですか?」


『うううぅ…』うるうる


シュー「ぐっ…」


『だって…怖いシーン、思い出しちゃうから…』


落ち着け落ち着け、シューベルト…


『お付き合い…している、シューさんだから 恥を忍んで お願いしているんですが…添い寝を、してくださりませんか?』


あああああああああ落ち着ける訳が無い

なんだ彼女の涙の輝きは
胸が胸が胸がぁぁぁぁぁぁ


シュー「し、仕方ありませんね…」


『ありがとうございます!』ぱぁっ


笑顔…


『シューさん?大丈夫ですか?』


シュー「は、はい すみません ボーッとして…」


『じゃあ、寝る用意が終わったら 私の部屋にいらして下さいね』


━━━

どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう真にどうしたものか…

やはり未婚の男女が…褥を共にするのは…いくら[怖いから]とは言え、命に関わる事でもあるまい、今回は…


シュー「あ、あの… 忍路殿 やはり」


『あ、歯磨き終わりました?じゃあ、あの…コレどうぞ』ガサッ


シュー「ん?何ですか、これは」ガサガサ


『サイズが合えば良いんですけど…』


シュー「…!!」


『…シューさん、パジャマを持ってないでしょ?だから…プレゼントです』


えへへ、と恥ずかしそうに頬をふにゃりと弛める彼女
気付けば私はこの腕に、その素敵な贈り物と 彼女を抱きしめていた


シュー「ありがとうございます!!」がばっ


『わわ…っ…シューさん…』


シュー「こんなに嬉しいプレゼントは…初めてです」


『気に入って貰えたら…幸せです』


シュー「 忍路殿ぉぉ… 」きゅううううん


『ね、着てみて下さいよ』


シュー「はい!」


━━━


シュー「どうでしょう?」


『寝苦しくなそうですか?』


シュー「はいっ」


『良かったぁ♪じゃ、ベッドにどうぞ』


シュー「はっ!?」


しまったぁぁぁぁぁ!!
これでは添い寝を断る雰囲気ではなくなってしまったぁぁぁぁぁ!!
ぐおぉぉぉぉぉ私が…愚かなのか、 忍路殿が一枚上手なのか…くっ…!


『シューさん?』


既にベッドに横たわり、布団をめくり 上体をお越し私をいざなう
嗚呼…こんな 忍路殿に 抗うことが出来るだろうか?


『シューさぁん?』


………ミューズが呼んでいる…


シュー「お、お邪魔します…」もそもそ


『はーい、じゃあ電気消しますね』ピッ


眼鏡とグローブを外して
貰ったパジャマに包まれて
隣に 忍路殿が居る…

嗚呼

なんて日だ


『シューさん…震えてる?』


シュー「あ、す、すみません、何でもないんです…」


『シューさんも 怖いモノ、何か思い出しちゃったんですか?ふふふ』


シュー「わ、私は思い出して震えるようなものはありませんよ、大人ですから」


『えー?私だってオトナですけど』


シュー「…」


『何ですか、その目』


シュー「いえ、オトナなら…ホラー映画を見たから添い寝をして欲しいなんて、言い出さない気がしますが…」


『そーゆー事言うんですかぁ?この…』こちょこちょこちょこちょ


シュー「うっひゃあぁぁぁぁぁ すみませんすみません冗談ですよぉほほほほぉぅ!」じたじた


『…んもぅ…ふふふ』


シュー「ひぃ、ふぅ」ぜーはー


『シューさんて、眼鏡を外して こんなに暗くても、結構見えているんですね。視力は結構フツーなんじゃないですか?』


シュー「まぁ、多少は見えますよ…でも、これ位 近付かないと…」ずい


『……ぁ…』


シュー「……ッッ!」


しまった 近付き過ぎた………


『ほ、本当…かも……シューさんと…しっかりばっちり、目が合ってるし…』


シュー「え、ええ……」


うわぁ…近い近い近い近い…髪の香りがする…
頬の赤みが…月明かりの反射で解る…


『シューさん…?』


シュー「…」


キスが したい…
キス…

唇…


『…?』


シュー「………ッッ」


あどけない瞳が薄明かりの部屋でキラリと光る
胸が、愛らしさに 高鳴っていく…


━━ちゅ


『わ……』


無垢過ぎる眼差しに負け、根性無しの私は サラサラの額に 親愛の印の様なキスを落とすのがやっとだ


それでも 驚き、これまた頬を染めてくれる彼女に捨て台詞を一つ


シュー「いたずらっ子には お仕置きですよ?」


『…こちょこちょ、苦手?』


シュー「不意討ちは…ちょっと…」


『じゃあ、こうしますね…』ぐい


シュー「!」


次は何をされるのだろうと、一瞬身構えるが 何の事は無くて 無邪気にこの胸に抱きついて来たのだった

それはそれで 体温や香りを近く 感じるし、息遣いや瞬きの音すら聞こえて来そうな距離に
もう どうしようもない


『…………暖かい』


彼女が私の背中に手を回すと 益々密着する身体があまりにも柔らかで 自身の心音がとんでもない速さで脈動していることに気付く


シュー「あ…あの… 忍路殿…」


『これなら…怖い夢、見ないで大丈夫そう…』


シュー「………」


そんな台詞は

ズルい…


無下に離れられないし、強く抱き締めて求め返す事も出来なくなる


『シュー、さ…ん…』


温もりに安心したのか、抱き枕の要領で落ち着いてしまったのかは分からないが
安らかに寝息を立てる彼女の愛らしさに、何も言えず、硬直するだけ


プレゼントのパジャマが嬉しかった事、
こうして一緒に夜を過ごす事が出来る事、
本当は貴方を抱き締めたい事、
寝顔が愛らしい事、

もっと

ちゃんと

照れずに口に出せたら…


この夜はもっと熱を帯びるのに………


なんて、意気地の無い自分に溜息をついて やはり私は貴方の額に
誤魔化す様にキスをする


end

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あきゅろす。
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