☆クラシカ口イドの小説(長編)
C'est moi 2
そんな…ベトさんが真っ赤になるほど卑猥な歌だったら、もう人前じゃ歌えないでしょ…
ショパンさんが帰って来たら教えて貰おう
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ショパン「調べて欲しい事?」
『歌の歌詞で…こーゆー…』
ショパン「…日本訳が欲しいの?」
『ベトさんの前で歌ったら、彼、怒ったみたいに真っ赤になって部屋を出てっちゃったから…知りたくて』
ショパン「ふぅーん……」
『変な…歌なんですか?』
ショパン「いや?たいして中身の無い ありふれた恋歌だよ」
『え』
ショパン「[貴方の為に歌う、瞳 逸らさずに。遮るものの無い二人だけの世界で]とか
[愛してる、好き、恋してる]とか
[他の異性といる時の笑顔が眩しくて苦しい]とか」
『んー……思ってたのと何か違うかも…てゆーかフランス語、分かるんですか?』
ショパン「まぁ…僕、ハーフだったし…」
『ええええ!?そ、そうなんだ…すごい』
ショパン「すごくはないよ…ベトやバッハだって、フランスがテーマの曲を作ったりしてたし」
『ええええ!!そ、そうなんだ…やっぱりすごい…』
廊下に出て、そんな話をしていると 向こう側に居るベトさんと目が合った
『(あ…)』
ショパン「ん、噂をすれば…」
『(また歌苗さんと居る)』
ショパン「[私は貴方の恋に臆病な横顔、見つめている]…」
『え?何ですって?』
ショパン「別に…歌の歌詞だよ」
『そうなんですか』
ショパン「[誰かを信じ切れなくて、腕の中に飛び込めないの?]」
『…』
ショパン「( [ねぇ いつかは あの 遠い腕に 抱かれて眠りたい]の?)」
きっと 彼は歌詞を呟いている
だけど他にも 何か言いたそうにしているショパンさんを視界の隅に置いておく
ベトさん達をもう一瞥すると 彼らの距離は少し遠く、会釈をしても分かりにくそうなくらいだった
私は静かに、微笑みを作るけれど…
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彼目線
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歌苗「あ、 忍路さんと ショパンさんだ」
ベト「…(また ショパンと居るな)」
大方さっきの歌の歌詞でも聞いていたのだろう
確かに俺は 少しおかしな反応をしてしまったかも知れない
あの 歌の歌詞が
少し、少しだけ 恋をした時の鼓動のリズムを思い出させるものだったから
誰も知らぬ胸の奥に隠した火種が燻っただけだ
………いや、下らない
そんな情動に惑わされるのは愚かだろう…
お前の瞳が誰かを探しているように見えたとしても
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ヒロイン目線
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『あ 歌苗さん…』
彼女が会釈してくれたので
軽く手を振る
向こうも距離感に微妙さを感じたのか、近付いて来てくれた
もう遅い時間ではある
だから 軽くお休みを言って 各々は部屋に戻って行った
ベトさんの表情は変わらない
歌苗さんの笑顔はいつも通り
ショパンさんは口元をむずむずさせてる
私は…今 どんな顔、しているんだろう
揺れる心抱いて、そのままそのまま
耳障りな恋のメロディーに惑わされる
ベトさんのリアクション、ショパンさんの訳してくれた声、原曲…
残響が私の奥に ちらちらと舞う儘
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こんなにも 恋の歌詞が頭をくるくる巡る
メリーゴーランドみたいに
迷路みたいに
何度もリピートして…
━━ 歌の主人公みたいに 何も恐れず、愛の為に全てを 投げ出してみたいのに
C'est moi… C'est moi,
end
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