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☆クラシカ口イドの小説(長編)
眼鏡と身長差
私達 クラシカロイドはこの国の人々の平均的な身長に比べ 少し 背が高めの様であり
会話をする時、挨拶をする時など 私の目線が下を見ることが多く感じる


同じ女性でありながら リスト殿は背の高い方で、次いで 大家殿、 忍路殿、クラクラの二人…と言った具合か


…正直、大家殿よりも背の低めの クラクラの二人とまではいかないものの、 忍路も同じ様な身長に感じてしまう


クラクラの二人と並ぶと それは、もう、何と言うか、妹の様な…

妹…何やら懐かしい響きだが 以前のシューベルトとしての記憶が 完全にある訳では無い

兄弟姉妹が居た…そんな感覚が薄らぼんやりとあるだけで


話が逸れた
過去の話は置いておいて

何と言うか、 忍路殿に感じる健気さや愛らしさは兄妹に向けての 感情なのかも知れない


今日もあの様に
しずしずと洗濯物を畳み
カチャカチャと鼻歌混じりに音楽を奏でる様に食器を洗い
玄関のチャイムにパタパタと子犬のように走って行く

…愛らしい…



モツ「シュー君 何見てるの?」


シュー「話掛けるな、今 大事な所なのだ」


モツ「 忍路の事 見てるの?」


シュー「はっ?そ、そんな訳無いだろう!たまたま視線の先に彼女がいいいいい居ただけだ!」


モツ「ええええ?本当にぃぃぃ?」ニヤニヤ


シュー「その気色悪いニヤついた顔を今すぐに止めろ。下品な目で 忍路殿を見るな」


モツ「 忍路の事 見てんのはシュー君じゃーん」


シュー「だ、だから私は…」


『お二人共、ケンカしてないで!歌苗さんがおやつを出してくれるそうですよー』


モツ「やったー おやつおやつぅぅぅ♪」


シュー「こ、こら待てモーツァルト!」


『ほらほら シューさんも 眉間のシワ、ポイってしましょ。眉間眉間』ポンポン


シュー「 忍路殿…」


ふわふわした笑顔で 私の背中に数回触れると
モーツァルトに逆撫でされた苛立ちが たちまち消え失せてしまった


彼女が笑えば 私も釣られて笑う

周囲の人々にも 和やかな光が射す様に 笑顔の花が咲く


彼女は 愛に満ちている


━━━
━━



モツ「ホットケーキだぁ!」


ベト「どうだ、この焼き加減!!」


歌苗「珍しいわよね、ベトがホットケーキだなんて」


リスト「んー、愛だわー♪」


ショパン「モグモグ」


『んー 美味しい!ね、シューさん』


シュー「はい!流石先輩です。とても美味しいです!」


ベト「そうか、もっと誉めても良いんだぞ」


シュー「先輩は素晴らしい!先輩は偉大だ!先輩は…」


ベト「ホットケーキの出来について、誉めろ」


『ほら シューさん、頬っぺたにバターが付いてますよ』ふきふき


シュー「おっと…これは失礼…って、忍路殿もシロップが頬っぺたに 」


グローブを外して 頬に付いたシロップを 指先で救い、ぺろりと舐める


『……ッッ』


シュー「?」


何やら 忍路殿の頬に赤みが点した
どうしたことかこの表情は


シュー「どうしました? 忍路殿、熱でもあるのですか?顔が赤いですよ?」


リスト「(無自覚だわ…)」

ショパン「無自覚…」

ベト「(無自覚か)」

歌苗「(無自覚ね…)」

モツ「シュー君てさー…むじかくムグ」


先輩がモーツァルトの口に手を被せて首を振ると
何かを察した様に黙り、またホットケーキを口に
運ぶのだった


シュー「モーツァルト、私が何だって?むじかくむぐ、とは何なのだ」


リスト「ムジークが…あれよあれ…ユニークって言ったのよね、モツ」


モツ「んー あはは そうかもー」


何か腑に落ちないが、もう良い ちゃらんぽらんなヤツの事だ 気にすることは無い


『ご、ご馳走様でした ベトさんも食べて下さい。後片付けは私がしますよー』


シュー「はっ!それなら私もお手伝い致します!」


━━━
━━



歌苗「あのお二人…何か良い雰囲気になって来てません?」ぼそ


ベト「うむ…」


リスト「愛ね」


歌苗「も、もしかして付き合ってるとか?」ぼそ


ショパン「 忍路のあの反応でそれは無いでしょ」ぼそ


モツ「シュー君 奥手っぽいし鈍感ぽいしー あははは」


━━━
━━



『(さっきはびっくりしたなぁ、頬っぺたについたシロップをぺろり事件…)』ドキドキ


『お片付け、おーわりっと』


シュー「お疲れ様です、偉いですね。兄としても誇らしい…」


『兄として…?』


シュー「はっ!す、すみません、昔…私に居た妹の事を思い出してしまって…つい」


『(なんだ、そっか、さっきの頬っぺたシロップぺろり事件は、妹さんを懐かしんで…)』


『そうですか、妹さん…可愛がってらしたんですね』


シュー「ええ……年の離れた子で…よく笑っていた気がします」


『…(な、何か淋しそうな顔…)』


『うん…と、淋しくなった時は私を妹さんだと思って良いですよ?』


シュー「え?」


『お兄ちゃんも イイコイイコ!撫で撫で!』ナデナデ


シュー「へっ??」


『う…届かない…ちょっとしゃがんで?お兄ちゃん』


シュー「は、はいはい」


『よし、撫で撫で!』ナデナデ


シュー「…………は、ははは ありがと、忍路は イイコだね」にっこり


『(うっ…)』ドキッ


『(なんだろ…何かちょっと、ドキドキさせられて悔しいような…変な気持ち)』


『お、お兄ちゃん……………えいっ』


シュー「…っ!」


忍路殿の顔がふわりと近付いて 頬に唇がチュッと音を立てて触れたのだ


『お手伝いしてくれたご褒美だよ』


シュー「ん、うん…」


『また お手伝いしてね、じゃ、私 着替えて来まーす』そそくさ


━━━


えっと………


お片付けを手伝ったら 妹は………頬っぺたにキスなんて してくれた…っけ?


あんなに照れた顔で ムリヤリ笑顔を作って…


てゆーか 兄妹ごっこ…?


シュー「…………え?え………っと、え?」


何だか…………顔が熱い

そして 走り去って行く直前の彼女の表情を思い出して

また 胸元が騒がしく 何かを奏でる



━━━━


『(わ、私 ヘンなの…妹扱い、子供扱いがイヤ?みたいで…ちゃんと意識して欲しいみたい…そ、そんな…そんなの…まさか…ね?)』



end

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