☆クラシカ口イドの小説(長編)
horror mirror(P!nk)3
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結局その、モツさんの活躍により、鏡のお化けはそれ以来姿を現さなかった…
気になって 廃屋の近所の住民に話を聞いた所、
妻を亡くしたお爺さんが一人で住んでいた家だったとか。
親戚づきあいも、家族づきあいも無く 孤独だった様子…
『あの 鳥の巣箱は…
寂しさを慰めてくれた鳥さん達との思い出なんですかね、大切になさってたんじゃないかな…』
モツ「…そっか」
家主も引き取り手も無い家は、廃屋になって、時折 幽霊が出るという噂があったらしいが、
近所の人がお祓い師を頼んで、庭にあった巣箱に盛り塩と御札を納めたら 幽霊騒動はいつしか無くなった。
しかし、再度 年月を経て 祓い師さんも居なくなったら また廃屋は劣化を重ねていった。
お祓いの効力が弱まっていた時に、モツさんと私が行ってしまったのだろう。
さすがにもう一度、ちゃんとお花を供えに行こうと廃屋に、モツさんを誘った。
モツ「眠りを妨げちゃって、ごめんなさい！」
『南無阿弥陀仏…』
モツ「寂しかったんだね…」スッ
何かを思い立ったように、モツさんがタクトを召還して 溢れるムジークの光に包まれた
『あ…』
モツ「♪♪♪」
『レクイエム…』
『この曲、夢の中ででもだけど 骸骨が飛び出したりするイメージだから
少し物騒なムジークなんですが 何か…穏やか…』
モツ「僕のムジークが物騒なわけないでしょ」
また 髪を揺らして軽く笑う
そんなモツさんの演奏に、私はゆっくりと 声を重ねる
鏡のお化けさんの体はとうに滅んでしまったのに 少し前まで、現世に縛られていた…
彼も 静かに朽ちて逝こうとしたのだろうが、結果的に私達が騒がせてしまった
悲しい、寂しい出来事だから
私も謡う━━
『♪♪♪』
静かなセッション…
曲が終わると、タクトを優雅に降ろすモツさんの肩の力が静かに抜けた
と、思ったら
再び 踊る三つ編み
モツ「さ、湿っぽいのはこれくらいにして━━」チャッ
『……あ 曲が変わった…』
モツ「次は…魔笛!!」ブンッ
モツ「お化け君の魂は、遊びに来ていた鳥達に癒されてたんでしょ？なら、皆 集まって♪」
周囲に居た鳥達が集まって来た
モツさんの演奏に併せて、踊るように輪を描き飛んでいる
モツ「羽ばたきに乗せて魂を送るよ！！」
太陽が輝く空に、鳥達が舞う
白い鳥だけではないが それは まるで、天使達だった
鏡の彼の顔は知らないが、何となく 今、彼の笑顔が脳裏に浮かんだ
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一頻り、ムジークを奏でたら、モツさんは満足したらしく 上機嫌だ
『モツさん？もう、これに懲りて 変な所の変なモノを勝手にいじくらないで下さいよ？』ハァ
モツ「分かってるよぉー」
『モツさんは恐い夢に魘されたり、寝不足で苦しんだりしてないから そんな態度でいられるんですよ！
もし、ショパンさんが居なかったら どうなっていたか…あー恐い！』
モツ「…」
「ごめんね」
『…も、いいですってば』
モツ「チョッちゃんの方が頼りになる…??」
『へ？い、いや別にそんな』
モツ「だよねー！僕と居る方がスリルあるし楽しいよねー！」ケラケラ
『ぶん殴るぞ』
モツ「忍路がやつれたカオ、してたのは…正直 コタえたよ」
『…』
モツ「もう、危険な所には連れて行かない…」ぎゅ…
『ひゃ…??』
モツさんの長い腕が 私を包む
いつものスキンシップかと思ったけど、少し真面目みたい…驚けば良いのか、ときめけば良いのか 判らなくなる
モツ「もう、大丈夫？」
『は、はい…』ドキドキ
体温…暖かい…
…モツさん、今日はやけに謝るな
こんなの、初めてじゃ…
あ…!
『…心配 してくれて、ありがと…ございます』
『も、怒ってない…から…』
モツ「……本当？」
甘いだけじゃなかった、抱擁
そうか 結構 本気で心配してくれたんだ
『反省、してます？』
モツ「うん」
素直だなぁ…
もう 柔らかなこの一時に、沈んでしまいそう
モツさんには もう少し厳しいカオを、見せたほうが良いと思うんだけどな…
モツ「…忍路を 失う事があれば…僕は…」
『え？』
モツ「反省、してます…」チュ
『びゃ！ちょ！き、きす…!!』
モツ「ん…大好きだよ」チュ
私の額に、頬に、モツさんは唇を落とす
え ちょ 何コレ何コレ
モツ「もう恐い思い、させないからね」
目を合わせて、肩を抱き締めて
いつもより 慈しむ眼差し
その迫力に 声が上擦る
『はい…』
モツ「……」ギュウウウ
『モツ、さん…力、強いよ…??』
モツ「…もう、結婚しちゃおっか？」
『はぁ!?!?突然何!?』
モツ「いやー、もう忍路のこと 離したくないなーって思っちゃってさー」
『な 軽っっ』
モツ「えー ダメー!?いーじゃーん！」
『良い訳無いでしょ！大体モツさんはもう少し物事を深く考えなさい！』
モツ「深く考えても浅く考えても、結婚したくなっちゃったんだから良いじゃーん!!」
『だぁぁぁもうーッッ!!だから軽はずみなノリは止めなさいって』
モツ「思い立ったが吉日って言葉が日本にはあるじゃーん！」
『変なとこばっか日本通にならないで良いから！
盛り塩の意味も分からなかったクセに!!』
モツ「えへへ」
『てか、プロポーズのタイミングおかしいよ！』
━━ギャーギャー━━
あーあ
結局 彼の言動には振り回されてばかりなの…
何とかならないかな
清々しい青空に駆け出して、私達は賑やかな帰路を辿った。
end
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