[携帯モード] [URL送信]

☆クラシカ口イドの小説(長編)
horror mirror(P!nk)2
━━━
音羽館
━━━


『そんな…怖い夢ばっか見ちゃうんです…』


リスト「そんな事があったの?」


『はい…モツさんはどうなんです?』


モツ「えー そんなの見てないよ?昨夜はハママツビーチの夢見たー」アハハ


リスト「最低」


ベト「歌う小娘…眠れていないのか?」


『…まぁ…はい…そうです』


リスト「ちょっと休んだ方が良いわよ…あ、でも眠ると…!」


『夢、見てしまうから…怖くて…』


ベト「全く…ヴォルフに唆されて妙な場所に行くからだ」


『…』


シュー「まぁまぁ、忍路殿はお優しいですから。モーツァルトが全面的に悪いですよ」


モツ「えー?僕のせいなの?」


シュー「どのツラ下げて…この悪魔が!!」


リスト「…」ハァ


『この悪夢を、ムジークの力では追い払えないでしょうか…??』


ベト「ふむ…」


リスト「悪夢…私のムジークは愛に溢れているから、悪霊退治って感じじゃないわね…」


モツ「ねぇねぇ!その悪夢の理由は、その廃屋のせいなのかなぁ?」


『タイミング的にもそうじゃないですか…??
巣箱みたいなモノの中にあったのは、多分 盛り塩用の小皿と、御札だったんじゃないかと思います。怖くて確認は出来なかったけど』


モツ「[モリジオ]って何?」


ショパン「盛り塩とは━━厄除け、魔除けの意味を持つ。 日本の盛り塩の風習は、奈良・平安時代には既にあったとされる………
日本の祓い師が使う悪魔祓いの方法で、小皿に塩を持ったもの、みたい」


モツ「……忍路のこと、どうしたら、助けられるの?」


シュー「ショパン殿の[夜半の月]はどうでしょう?以前 私達を電脳世界に転移させる事が出来たじゃありませんか」


ショパン「あれは電脳世界だから…」


リスト「どこかへ転移出来るムジークではあるわね。
チョッちゃんのムジークに、忍路ちゃんが歌で介入してムジークセッションすれば 夢の中くらい入れるんじゃない?」


シュー「我々のムジークを[彩る]シンガロイドの[歌]の力ですね…
やってみる価値はありますよ!」


ベト「原因を探る事くらいは出来るかも知れんな」


モツ「よし!やろう!」


『わ、分かりました!』


━━━
━━



ショパンさんのタクトが舞う
私は もう歌うしか 無かった。

もう あの恐い夢から、どうにかして逃げ出したかった。

このすがる思いを携え 声を旋律に併せると 間もなく光に包まれ、[夜半の月]に身を委ねる

暖かい感覚が私の身体中に舞い降り━━
そこで
意識は途切れた


━━

━━━
夢の中
━━━


『んっ!?』ビクッ


朧気な意識にぼうっとする
体の感覚が無いのだ。

夢の中に居る、特有の浮遊物…
そうか もう夢…の、中なんだ…
変な感じ

ショパンさんのムジークと私のセッション、成功したのかな…

あれ?そうだ、皆と私は…!!夢に入ったのに…
皆は?何処??

辺りを見回すけれど
居ない、みたい…そんな…


えっと、ムジークの使い手のショパンさんは来られないでしょ
モツさんは……充てにならないなぁ

ベトさん、シューさん、リストさん…居ないのかな?
来て欲しかったのにぃ!!

そうだよ
モツさん…
元はと言えば 貴方のせいかも知れないのに

居て欲しかった
心細いよ…

いつも振り回されてばっかなの…涙が溢れちゃうよ


『モツ…さん……』


その雫は零れていたから
自分を抱き締めるみたいに、両腕を抱く


『こんな時くらい…真面目に守ってよ…』ギュ…


モツ「ごめんごめん!」


『モツさん!』


モツ「こんな時くらい、か。
そうだね。心細かったよね」


『モツさん!!良かった!来る事が出来たの!?』


モツ「うん!でもどうやら、僕だけみたいだけど」


『ええっ 何でモツさんだけ…』


モツ「そもそもチョッちゃんの[夜半の月]は、電脳世界に転移するムジークでしょ。
忍路の[歌]が無いと 夢の中には転移できないじゃん?」


『うん』


モツ「忍路の[夢の中]に僕達を転移させる為に、忍路の[歌]が必要なんだよ?」


『…あ…!!』


モツ「忍路が、夢を見る為に寝ちゃったら
歌えなくなるでしょ?」


『そっか!!私が夢の中に 誰かを転移させているうちに、[夢]を見るために眠ってしまうから
結局 少人数しか転移をさせられないのね!!』


モツ「そんな所じゃない?」


『で、でも良かったぁ!ちょっと頼り無いけど、モツさんが居てくれて良かったぁ!!これで寂しくない!』


モツ「頼り無いって何さぁー、根に持ってるの?」


『…持ってないと言ったら嘘になるんで』


モツ「謝ってるじゃーん」


『ゴメンじゃ済まない位怖いんですから!
ほら手くらい繋いで下さい!』ギュウ


モツ「っ!!」ドキッ


『絶対離さないで下さいよ!!離したら絶対許さないから!』ギュウゥ


モツ「何さー……積極的じゃん…いつもと違い過ぎ」


『離さないでよ…』


モツ「…離さないよ」


『…』


モツ「ちゃんと、守るから」ジッ


『!』ドキッ


モツさんは 私の手を強く握り、そして両手で そっと包み込み
唇を寄せた


モツ「忍路の夢の中、来られたのは僕だけで良かった」ニッ


『な、なんでそんな…自信満々なの?』


モツ「忍路の事は 僕が、この手で助けたいから」


アクアマリンの瞳は固い決意に輝いて
私を捕らえ、離さない

顔は…良いんだよね
くそぉ この目に見詰められると…
彼の軽はずみな行動を許してしまいそう


この時の私はどうかしていたに違いない。
恐い夢の中に来てくれたモツさん効果もあって


『モツさん…元はと言えば、あんたの軽はずみな…』


モツ「あー!もう!!忍路!」ギュウ


『ま、また そうやってスキンシップで誤魔化す…』ドキドキ


モツ「ごめんなさい、って気持ちと
忍路が…大好きって気持ちで…胸が いっぱい」


『は はい』ドキッ


モツさんの腕の中
予期せぬ[大好き]発言に心臓が跳ね上がって

彼と私の視線がぶつかり合い
何かを呟こうとした唇に 熱のムードを感じ取る


その時だった


「イチャイチャするなぁぁぁぁ!!」

『!?』

モツ「!?」


突然 声がして 突風が巻き起こった

声の主を探すが姿は見えない、しかし見覚えのある鏡が そこにはあった


『あっあっ、あの鏡!!』


モツ「おいでなすったのかな」


?「よくもこの眼前でベタベタと恥じらいもなく…下品な奴らめ」


『鏡が喋ってる!』


モツ「鏡くーん、どうして この女のコを狙うのさー?」


?「そこの女が 俺に無礼を働いたからだ」


『無礼って、私は何もしてない!』


?「煩い…しらを切るとは本当に下品な!」ゴォッ


『わっ!また 風…!!』


風の主の攻撃か、突風が私達に吹き付ける
鎌鼬の様に 鋭い切りつけを身体中に感じた


『痛っ…!』


モツ「忍路!!話し合い、する気 無いの…?」カッ


?「何…??」


モツ「忍路をこれ以上傷付けないで貰えるかな!!
Hör mal, meine Musik.!」バッ


?「何だ!?」


モツ「♪♪♪」


『この曲、[炎のレクイエム]…』


?「ぐっ!?何だ!?髑髏が…炎!?」


大きな髑髏が鏡を包む黒い影に、かぶり付き 覆い被さる


?「ぎえっっ!!!」


鏡の主の起こした風は打ち消えた。

凄い…髑髏VSお化けって…どっちも禍々し過ぎる!!


モツ「さぁ、忍路に懺悔の時間だよ!」ザッ


?「ま、待て!俺は被害者だぞ!」


『…待って、モツさん!!』バッ


モツ「どうしたの?」


『ちょっとお話をさせて下さい!』

『鏡のお化けさん!私はあなたに何をしたというのですか?教えて下さい!』


?「数日前に、俺が生前に住んでいた家に 来ただろう」


『この私の隣に居る、モツさんという 男性と一緒に廃屋には行きました』


?「そこにあった、俺の鳥の巣箱にゴミを入れただろう!」


『ゴミ……あ、あれは モツさんが……確かに絵を描いて、巣箱に入れてましたね』


モツ「えー?あれ、オフダなのにぃー」


?「ほらみろ!あの鳥の巣箱は、俺が生前に庭に置いて、鳥達が遊びに来るのを楽しみにしていた思い出の詰まったものだ…
俺の家の敷地に侵入して、思い出を汚す者は許さない!!」


『確かに勝手に敷地に足を踏み入れたことは私達に落ち度があります!すみません!
でも、絵を巣箱に入れたのは私じゃないです!
どうして私の夢だけに出て来るんですか!?』


?「そのモツという桃色の男の夢には入って行けなかったからだ」


モツ「え?そうなの?」


『じゃあ、今回の件についてモツさんに謝罪してもらいます!だから私の夢にはもう出て来ないで下さい!』


モツ「ごめんねー!!」ペコー


?「…」イラッ

「忍路とやら、お前には取り憑き、殺してやろうかと思っていたのだが━━」


モツ「はぁ?」ゴゴゴゴゴゴ


『あ 超巨大髑髏…!!』


モツ「忍路を、殺…何て言ったの?」ゴゴゴ


?「ヒィィィ!?おま、化物か!?」


召還していた髑髏が みるみるうちに大きくなり、鏡の主を睨みつける


モツ「忍路も僕も、自分の非を謝罪したよ。
鏡の君は、忍路を取り憑いて殺す…って??
僕がそんなの、許すと 思う?」ゴゴゴゴゴ


?「ひ、ひぇぇぇぇ」


━━━
━━




[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!