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☆クラシカ口イドの小説(長編)
horror mirror(褐色)2
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アルケー社
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『そういった…怖い夢ばっか見ちゃうんです…』


バッハ「そんな事があったのか」


『はい…モツさんはどうなのか聞いてみたけど、別に怖い夢は見てないみたいなんですよね』


バッハ「…眠れていないのか?」


『…まぁ…はい…』


バッハ「その悪夢の理由は、その廃屋のせいなのかね」


『…多分…。巣箱みたいなモノの中にあったのは、多分 盛り塩用の小皿と、御札だったんじゃないかと思います。怖くて確認は出来なかったけど』


バッハ「三弦、[モリジオ]とは何だ」


三弦「日本のエクソシストが使う悪魔祓いの方法で、皿に塩を持ったものッス」


バッハ「……忍路をどうすれば、助けられる」


三弦「バッハ様ご自身が忍路の夢の中に入り、原因を探ってみるのはどうでしょう。
いざとなればムジークがあります」


バッハ「…大至急取りかかってくれ」


三弦「御意」


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私とバッハさんは、ベッドに寝かされて三弦さんの開発したメカを装着した。


『これで、私の夢をバッハさんと共有出来るんですか?』


三弦「そうッス。バッハ様は夢の中であろうとムジークを使えるはずなので、一先ず丸腰ではないッス。」


バッハ「…」


三弦「ただ、霊体というものに対して、ムジークは効果があるのかは断言出来ませんが…
未知数 対 未知数の事柄なので、事例もありませんし…大丈夫ッスか…??」


バッハ「問題無い…」


三弦「夢の中に入ったら、二人共迷子にならないように 何か合言葉を口にするように決めておくッス」


『え どうしよう…』


バッハ「では、合言葉は[すべては愛から]にしよう!」


『ん、と…(凄いセンスだなぁ)
分かりました』


三弦「バッハ様も忍路も、強制覚醒システムはオンにしてあるッスけど、基本的には自力で覚醒するのを待つッス。
その方が体に掛かる負担は少ないんで。」


バッハ「分かった…頼んだぞ、三弦」


三弦「御武運を!」ガチャン


三弦さんが仰々しい装置のレバーを引いた
やっぱり怖い
でも

バッハ「必ず君を助ける…!」


瞳を逸らさずに 彼はそう言って、私の手を繋いだのだ
胸が温かくなる


『バッハさん…』


私も彼の手を握り返すと 瞼が綴じられ、意識は闇に溶けた


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夢の中
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『わぁっ!!??』ビクッ


体の感覚が無い
夢の中に居る、特有の浮遊物
そうか もう夢の中なんだ…
三弦さんの作ったメカは凄いなぁ

そうだ、バッハさんと…!!夢に入ったのに…
バッハさんは?何処??

居ない、みたい…そんな…

あ!合言葉…
唱えたら良いのかな?


『すべては愛から…すべては愛から、すべては愛から!』


バッハさん…お願い!私の所に来て…

………こんな時に、歌苗さんとバッハさんのツーショットを思い出す

バッハさん…


『今だけ…今だけで良いから…』


『私のバッハさんになって…』ギュ…


心細いあまりに 一人 呟いていた

その声に応える 他でもないあなたの声がどれだけ嬉しかったことか…



バッハ「わ、私はいつでも…君が求めるのならば!君の側に…」


『えっ!?バッハさん!!良かった!逢えた!』


バッハ「ああ、合言葉を呪文のように唱えていたのだが 中々たどり着けなかった」


私の右手を取り、その大きな両手で そっと包み込むように 優しく呟く


バッハ「心細い思いをさせたね」


『ッッ!!』ドッキィィン


そのサファイアの眼差しが 私を捕らえて、甘い空気すら醸し出す気がする
コラ、私 ダメだよ…バッハさんは私を心配してくれてるだけで…
ドキドキしちゃ ダメ…


『ごしんぱっ ご心配!あ、ありがとうございます…』


バッハ「君は、私が守る…」ギュウ


『は、はいぃぃ』ドキドキ


バッハ「良いか、忍路…この手を離さないでくれ…」


『は はひ』ドッドッドッドッ


これ、本物のバッハさんだよね?私の都合の良い夢って訳じゃないよね?
カッコ良過ぎて心臓がもたない…


「イチャイチャするなぁぁぁぁ!!」

『!?』

バッハ「!!」


突然 声がして 突風が巻き起こる

声の主を探すが姿は見えないが、見覚えのある鏡が そこにはあった


『あっあっ、あの鏡!!』


バッハ「お前か…邪悪なる者…」


?「よくもこの眼前でベタベタと恥じらいもなく…下品な奴らめ」


『鏡が喋ってる…』


バッハ「邪悪な者よ、お前は何故 この女性を狙う?」


?「そこの女が 俺に無礼を働いたからだ」


『無礼って、私は何もしてない!』


?「煩い…しらを切るとは本当に下品な!」ゴォッ


『わっ!また 風…!!』


風の主の攻撃か、突風が私達に吹き付ける
鎌鼬の様に 鋭い切りつけを身体中に感じた


『痛っ…!』


バッハ「忍路!!…この…Füge dich zusammen,meine Melodie!」カッ


?「何…??」


バッハ「忍路を傷付けるか、最早 許せん」バッ


バッハ「♪♪♪」


『この曲、トッカータとフーガ…』


?「ぐっ!?」


鏡の主の起こした風を、バッハさんのムジークで打ち消した!
凄い…ムジークってお化けにも効果があるんだ!


バッハ「邪悪な貴様は私のムジークでかき消してやろう!!」ザッ


?「ま、待て!俺は被害者だぞ!」


『待って下さい、バッハさん!!』バッ


バッハ「この悪魔は君を苦しめたのだぞ?」


『それはそうですが、少しお話をさせて下さい!』

『鏡のお化けさん!私はあなたに何をしたというのですか?教えて下さい!』


?「数日前に、俺が生前に住んでいた家に 来ただろう」


『モツさんという 男性と一緒に廃屋には行きました』


?「そこにあった、俺の鳥の巣箱にゴミを入れただろう!」


『ゴミ……あ、あれは モツさんが……確かに絵を描いて、巣箱に入れてましたね』


?「ほらみろ!あの鳥の巣箱は、俺が生前に庭に置いて、鳥達が遊びに来るのを楽しみにしていた思い出の詰まったものだ…
俺の家の敷地に侵入して、思い出を汚す者は許さない!!」


『確かに勝手に敷地に足を踏み入れたことは私に落ち度があります!すみません!
でも、絵を巣箱に入れたのは私じゃないです!
どうして私の夢だけに出て来るんですか!?』


?「あの桃色の男の夢には入って行けなかったからだ」


『じゃあ、今回の件についてモツさんに謝罪させます!だから私の夢にはもう出て来ないで下さい!』


?「…お前には取り憑き、殺してやろうかと━━」


バッハ「ハァァァァ!!」ゴゴゴ


『あ マタイ受難曲…!!』


?「ヒィィィ!?か、観音様!?」


バッハ「忍路は自分の非に対して受け入れ、謝罪したというのに、鏡のお前は忍路に取り憑き、殺す…だと??
やはり邪悪なる者は、去れ!!」ゴゴゴ


?「ひ、ひぇぇぇぇ」


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