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☆クラシカ口イドの小説(長編)
horror mirror(褐色)
歌苗「前髪、切り過ぎちゃったんですよねぇー…おかしくないですか?」


バッハ「大丈夫、似合っているよ」


彼らのそんな会話を横目に、私は紅茶を啜る。

今日は久しぶりにバッハさんが音羽館に遊びに来ている。

何か 大きな一仕事が終わった様子なので 一息つきにいらしたという…久しぶりの休暇だそうだ。

………それにしても

歌苗さんを見るときの視線、何か優しい眼差しだなぁ……


リスト「子猫ちゃんはどんな髪型でも可愛いわよ」


歌苗「ありがとうございます。リストさんは髪型を変えたりはしないんですか?」


リスト「今のところ、このままで落ち着いてるわ」


『その髪型、ゴージャスでリストさんに似合ってますよ』


リスト「んまっ!!忍路ちゃんたらぁ!愛ね!」ギュー


『きゃあああ む、胸がぁ!リ、リストさんんん』バタバタ


こんな一幕を経て、庭に出てみる。
何だか胸がモヤモヤする
バッハさんはいつもポーカーフェイスだから分かりにくいし、何を考えてるかも読み取りにくいけど
何か、何か…

歌苗さんのことが好きなのかな?

恋愛対象…として…
うーん…
そりゃベトさんと不仲だわ、バッハさん

チャイコちゃんが歌苗さんを怒鳴ったりすんの、もしかして そーゆーこと?


『…』


変なの
別に バッハさんが誰を好きでも…


そんな風に視線が足元にまで落ちた時 私を呼ぶ声がした


モツ「忍路!あっちに変わったモノがあるんだよね!何なのか教えてよ!」


『へ?変わったモノって、何です?』


モツ「変わったモノなんだよ!着いて来て!」


走り出したモツさんの後を追うと、ちょっと歩いた所に、廃屋があった
古い民家らしく、庭に通じる通りは草木が茂り 見通せない。


『う…モツさん、こういう所は勝手に入ったりしたらダメですよ?』


モツ「入ってはいないよ。ほら、そっちの端の方に小さな…鳥の巣箱みたいのがあるじゃん?それ 何?」


『え?巣箱?』


廃屋のドアの横、確かに小さな 箱状のものがあった

犬小屋…鳥の巣箱…確かに 何かを入れられそうな、家のような形状だ。

私は触りはしないけど、その奥を覗いてみると 小さなお皿と 御札が…………


『ひえぇぇ!!!ちょ!モツさん!!コレ駄目!ホラーなヤツじゃないですか!!??』


モツ「えっ これ、ホラーなの??怖いモノなの?」


『だだだって 中に御札!オフダ!』


モツ「へー」


モツ「じゃあ僕もオフダ、作って入れてみよーっと!」グイグイ


『ギャー!?モツさん!?』


モツ「え?」


『落書きをぐしゃぐしゃにして巣箱に突っ込んじゃダメですよ!』


モツ「えー?そうなの?」


『こ、これは 悪いお化けを封じ込めておく為の儀式というか、そーゆーモノじゃないんですか!?』


モツ「んー よく分からないけど、飽きちゃった。お腹減ったから、音羽館に戻るね」スタコラ


『キャー!!一人にしないで!』

『あ、えっと、神様お化け様、お騒がせしてご免なさいご免なさい!』ペコペコ

『待ってよ モツさーん!!』タタタタ


━━━━━思えば

その日からだった


変な夢を見るのは…


夢の中
私は知らない家の中に居る
古い家みたい

ブラウン管のテレビ、ちゃぶ台に置かれた新聞、鳩時計
襖も本棚も、赤茶色く錆びてる…


そして その壁に掛かった、丸い鏡
真っ黒な鏡

その壁は見てはいけない、気がする
その 鏡…
縁取りが木製の ボルドーの、暗い 黒い鏡…


だけど 見たい…見なきゃ…そんな気分になってしまう
どうしても、見たい…

その鏡の奥には 得体の知れない何かが こちらを伺っているのに…

私は、鏡の奥から ねめつけられているというのに…
その鏡、鏡鏡カガミ鏡が 見た━━━い…


━━━『嫌ッッ!!!』バッ


そこで、目が覚めるのだ。




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あきゅろす。
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