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☆クラシカ口イドの小説(長編)
ひきこもり写真館2
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そんな奏助さんの無茶振りを ショパンさんは真面目にこなしていく。


庭で佇んでいるだけのハッシーが、ショパンさんにかかれば、堂々たる横顔のハシビロコウが緑に囲まれている一枚になる。


家事をしている歌苗さんを追いかけるのは苦労したらしいが、
洗い立ての真っ白なシーツを 空中に泳がせる瞬間が ドラマのワンシーンみたいな出来上がりだ。


リストさんには ピアノを弾いて貰うのだが、これは後ろ姿
しかし凛として 力強い、鍵盤を駆ける指先の躍動感が生き生きとしている写真になった。


シューさんは、畑や花壇のお手入れをしていたので、フレッシュな野菜や花を抱えて微笑む、ナチュラルなシューさんの顔バレに考慮しながらパシャリ


モツさんは、スケボーしている所を 工夫アングルでパシャリ
ダイナミックな動きは センスよりタイミングだとショパンさんは語る


ベトさんは、釣りをしていたので 魚を釣り上げられた瞬間を狙った
これだけで迫力のある一枚になった



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奏助「うわぁ…スゲー」


『皆の写り、凄いキレイですね』


リスト「いいわねいいわね、愛に溢れてるわぁ!!」


奏助「仕方ねぇな、とりあえず写真の腕を磨くしかないかぁー
よっし!撮るぞぉー」タタタッ


『行っちゃった』


リスト「あらあら、私も そろそろお買い物に行かなきゃ。タイムセールがあるらしいから……それじゃあねー」スタスタ


『行ってらっしゃい』


ショパン「…らっしゃい」


『…』


ショパン「…」


『ね、ショパンさん』


ショパン「ん?」


『私は?』


ショパン「…」


『奏助さん、音羽館の皆を写真に撮るって言ってたけど 私だけ忘れられてたっぽくて寂しかったんですけど』


ショパン「君は…」


『撮って?』


ショパン「…君のは、あるよ」


『え?え?いつ?知りませんけど』


ショパン「これ」


『え?靴?足元撮ったんですか?それだけの写真?』


ショパン「(君自体が僕にとって 特別なんだから、何処を撮っても、映えるに決まってる)」


『確かに、アスファルトとのコントラストが、ちょっとアーティスティックかもだけど…』


ショパン「(君がここに立っていて、生きているっていう真実があるだけで、僕の糧になるんだ…)」


『でも、この写真はどうして皆に見せなかったの?』


ショパン「(君はキレイだけど、その存在は 周囲に知らしめたい訳じゃない)」


『ショパンさん、どうして?』


ショパン「(ありふれてるかも知れないけど、ただの足元のカットだって 僕にとっては最高の一瞬なんだよ)」


『聞いてます?』


ショパン「………なんて、言えたら……な……」


『え?何ですか?』


ショパン「いや、忘れた…だけ」


『えー それもショックですけど』


ショパン「……忍路も、インストクラム 始めるの?」


『私、才能無いし ショパンさんにも忘れられちゃうから、やっぱ やんない』


ショパン「えー やろうよ…」


『なんで?』


ショパン「忍路が見た世界、素敵だと思った瞬間を 共有したい…」


『えー じゃあ ショパンさんの写真を撮らせて下さいよー』


ショパン「えっ それはちょっと」


『私の練習台になって下さいよー』


ショパン「や、やだよぉ」逃


『待て待てーっ』追


ショパン「やだよぉってば」逃


ワイワイ


end


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