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☆クラシカ口イドの小説(長編)
ひきこもりと虹が2
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彼女目線
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チャイコちゃんのムジーク、白鳥の湖
あれを音羽館でやられた時に 始まったのかな

雨上がりの海岸線、ゆらゆら歩く様に
湿った砂を蹴って
はぐらかして気付かない振りをしていたのかな
逃げてたのかな


でも、暗くて陰気で嫌味なチョパンがね キラキラして見えてしまったの

きっと、空から零れた 七色の欠片のせいだわ


元々、悪い印象は無かった
前の生での記憶では 同じ出身地だし 彼の事は英雄だと思っていた

尊敬していた、気品に溢れ 崇高なる対象だった…

だけど、クラシカロイドとして 顔を合わせた時に
昔 彼に抱いていた偉人としての尊敬意識は瓦解したわ

極端な人見知りでコミュ障だし ヘタレでずけずけとモノを言うし
そうよ
あんな奴


だけど、だけどね
あの日 チャイコちゃんのムジークで…恋すれば死んじゃうムジークで…
ホントに ちょっとだけ だけど…
胸が高鳴った
ドギマギする私に気付いた

「惚れてまうから!」って…声を大にして 足掻いたのに。


たまに チョパンのパソコンから、音源をやりとりすることもあった
挨拶も、言葉も 交わした

打ち解けられたかも…
仲良くなれたとは思わない
あのコより、仲良くなれたとは思わない


だけど
だから

間もなく気付いたの


忍路のことを 見る、ショパン…貴方の
視線に


だから

だから


雨の空がきらい


思い出させるもの
あの通りも
ビルもこの公園も
そしてあなたにときめいた日を
ちょっと忘れたくてここへ今日来たの


鳩が飛び立った このベンチに腰掛けて
ちょっと遠くの雲を眺めてたら、小うるさい声に呼び止められたわ


奏助「あれ バダきゅん!」

バダ「チョー助?」

奏助「いや、奏助だって」

バダ「…」

奏助「今日はオフ?何してるの?」

バダ「バッハ様のお使いよ。歌苗に会って来たわ」

奏助「へー……オレンジジュース飲む?」

バダ「…飲む」

奏助「どうぞ」

バダ「どうも」

バダ「…」

バダ「…」ゴクゴク

バダ「何 当然のように 隣に座ってんのよ」

奏助「ええっ?当然の流れかなーって」

バダ「フン…まあ良いわ」

奏助「そ、そう?じゃ 遠慮なく…」ニヘへ

バダ「…」

バダ「(変な奴)」

バダ「(何も言わないで 隣に居るだけ…)」

バダ「(………そっか)」

バダ「(何も言わなくても、良いんだ…)」

バダ「(何となく…居る、だけで…)」

奏助「〜♪」

バダ「(こんな日に限って…)」


だけど私、貴方に心を動かされた あの日の風と、太陽の沈むスローモーションな夕日が、もっと好きだわ

覚えてる


うん…私はアイドル
だから、こんなの、平気

陽気な笑顔を皆に返せたら…大丈夫

そうよ


この[恋]は誰かのものじゃないと気付いたわ

私の想いは 彼女のものじゃない

惹かれない訳が無いのよ
前の生の、ショパン 貴方を知ってる

音楽の英雄、聖人、楽聖
私の、道

彼に恋人が出来たからって、何よ
良いじゃないの

偉人の周囲に人は集まるものよ
そう、人の心を掴んで離さないのよ


知ってる
知ってるわ…


空……
今すぐ 雨を降らせてよ


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アルケー社
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バダ「戻りましたー」

バッハ「お帰り」

バダ「あれ、チャイコちゃんは?」

バッハ「ソロの撮影に向かった」

バダ「そうですか」

バッハ「…休憩しなさい」スッ

バダ「わ!スタパの限定フルーティードリンク!ステキ!!」

バッハ「…」

バダ「いただきまーす」ゴクゴク

バダ「(あれ…)」

バッハ「…」

バダ「(何か、デジャヴ)」

バダ「(……言葉なんて、少なくても…無くっても…)」

バダ「(優しい…)」


貴方を思い出を
考えて消化して昇華して
今やっと分かった だって、私


痛みがつけた胸への足跡、スタパのドリンクで癒せてる

空を泳ぐひこうき雲を 大きな虹が 消す前に
正直な気持ちを守ってゆけるように 前を向こう


貴方がいないキレイな雨の空が 大嫌いよ

私だって
いつか 恋人と二人きりで眺めるわ
最高の空のプリズムを
信じてる


バダ「そうよ…世の中の男はアイツだけじゃないわ!
だからと言って、音羽館の男達はな…働いてないみたいだし…うー…
やっぱりバッハ様が一番狙い目かなぁ?オヤジだけど…
バッハ様だって、まだ特定の相手が居る訳じゃないし チャイコちゃんや三弦さんに脈があるとも限らないし…
そうね、とりあえず安定感のある男性は視野に入れておくべきよ」ブツブツ


end


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あきゅろす。
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