[携帯モード] [URL送信]

☆クラシカ口イドの小説(長編)
ひきこもりと虹が
ショパンさんは引きこもり。

だから バッハさんの仕事を手伝うことがあっても、アルケー社には出向かない。

殆んどのやり取りは、メールや通話、リモートだそうだ。
バッハさんが会社の人を訪問させる時もあるが、「知らない人怖い」と騒ぐこともしばしばなので クラクラの二人、または一人が音羽館に訪れたりもする。

今日はバダちゃんがショパンさんの部屋に訪問に来ている。
部屋に、と言っても 部屋の前で長々と話し込んでいる。
そんなに長話するなら お部屋に入れてあげなよ ショパンさん

本当に警戒心が強いなぁ

最近は特にバダちゃんがよく来るかも知れない。

やっぱり同じクラシカロイドだし、兄妹みたいなものだろうし 全くの他人よりは コミュニケーションは取りやすいんじゃないかな。

それにしても アイドルに自宅訪問させるって、凄い立場だなぁ

ショパンさんて プロデューサー位の権限は持ってそうだけど…

そこまでいかないかなー、うーん、
多数の人達とのコミュニケーション困難だから無理かなぁ
ディレクター…いや、シンガーソングライターとかかな…難しいな、分からないや



ベト「険しい顔をしてどうした、歌う小娘」


『あ ベトさん』

『いやぁ、ショパンさんとバダちゃんが並んでたら、美男美女だなって思って見てたんです。』


ベト「ふむ」


『思いません?ベトさんは』


ベト「若い男女が並んでいれば 周囲はそういった目で見るものだ」


『……なんかお爺さんみたいなセリフですね』


ベト「誰がお爺さんだ」


『枯れてて 達観してるって意味ですよ。悪い意味は無いです』


ベト「お爺さんという比喩は 聞こえが悪いし[枯れて]とは何だ、[枯れて]とは!」


『…』ニコッ


ベト「笑って誤魔化すな」


━━━
━━



家事をしてる内に、時間は経過していた


『えっ バダちゃん、帰っちゃったんですか?』

ショパン「急いでたみたいだし」

『折角ショパンさんを訪ねて来てくれたんですから、送ってってあげたら良かったんじゃないですか?』

ショパン「いや、急いでたみたいだし 車で帰ったんだよ」

『あ そうなんですか』


こういう所、あっさりしてるなぁ
気を使わない間柄だからかなぁ


ショパン「忍路 機嫌悪いの??」


『へ?』


ショパン「ベトと何話してたの?」


『特に機嫌は悪くないですよ?』


『てゆーか 私がベトさんと話してたの、知ってるの?気付いてたの?』


ショパン「…まぁ、ね」


『いや ただ…バダちゃんとショパンさん 二人が並んでたらお似合いだなーって、ベトさんと和んでいただけで…』


ショパン「なっ」


『長話っぽかったし、お部屋の中 入れてあげたら良かったのに』


ショパン「アイツ、[暗くてじめじめした部屋はイヤだ]とか言うし…」


『あ、そうなんだ…まぁバダちゃんなら言いそう』クスッ


ショパン「(忍路、僕の事 気になってる??よーしよしよし!)」


ショパン「言っとくけど…」


彼はゆっくりと言葉を放ちながら、スマホを操作する


『??』


何か、まだセリフが続くのかと思って待っていると 構えられたスマホはパシャっと内側カメラのシャッター音を鳴らした


『…ツーショット、撮られた??』


ショパン「君と僕も、まぁまぁお似合いだと思うけど」


そう言って見せられた写真

私の映りは思ったより変じゃないけど、不意打ちは困る気持ちと、
いやでもそんな、お似合いなんて…
バダちゃんよりお似合いとは思えないけど、と ドキリと鳴った胸の焦りで
言葉が散らかった

なのに 何故かショパンさんは笑ってる


ショパン「……………(この反応、もう僕の事、好きじゃん)」ニヤ


何か悔しいので、とにかく何かを喋ろうとする私が滑稽なのかも


『ショパンさんとリストさんが並んだ写真も欲しいな』


ショパン「は?何で」


『ショパンさんが誰とお似合いなのか見極めたい』エヘヘ


ショパン「僕にお似合いな女性は僕が決めるよ」


『ま、そりゃそうだ』

『ごめんなさい、気に障りました?』


ショパン「別に」ぷい


やっぱり今日の私は滑稽かな
ショパンさんの機嫌を損ねたみたい


ショパン「(僕が怒ったと思って 焦れば良い…そしたらもうちょっと、君の心を刺激出来るよね)」チラッ


ショパン「…!!!」


━━━
━━

━━━
彼目線
━━━


その時振り返って 厚めの前髪の隙間から覗いた忍路の顔が、ちょっと困ったような眉で 上目遣いをする


ショパン「ッッ、っ…」カァァ


少し怒って見せたけど、
忍路…君…そんな子犬みたいな目をしないでよ

ほっとけないよ…
か、可愛…


ショパン「さ、さっき バダが持って来たお菓子があるんだけど!」


『へ?』


ショパン「食べ、てく?」ドキドキ


『お菓子…』


ショパン「みんなで食べるには少ないし、僕一人では 持て余すし…」


『そ、それ 私も貰っても良いモノなんですか?』


ショパン「当たり前でしょ」


『や、バダちゃんの好意なら…』


ショパン「だったら尚更」


『へ?それって どーゆー…』


ショパン「良いからホラ、早くおいでよ」


『はーい』


ショパン「(これで…分かったかな)」


ショパン「(バダは部屋に入れないけど、君は部屋に招き入れるっていう…違い)」


ショパン「(いや、忍路は 分かってないよね…軽く考え過ぎ…心配になるなぁ
コレ、他の男性にもやるんじゃないかな?)」


ショパン「(…僕の一挙一動に 振り回されてくれないかなぁ…)」


━━━
━━



ベト「フ……ショパン、振り回されているな」


モツ「ルー君、何してるの?」


ベト「己の心に!!」クワッ


モツ「え?何何?聞いてる?ルー君」


ベト「はーっはっはっは!!青い!青いではないか!!」ハッハッハ


モツ「ルー君、聞いてる?何がそんなに面白いのさー?」


end



[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!