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☆クラシカ口イドの小説(長編)
never ending dream(褐色)

今日も彼女がこの部屋に来て、新曲のワードデータを確認している所だった

深い考えなど無かったのだろう
大きな瞳をこちらに向け、その質問を口にした


『バッハさんて、お酒 強いんですか?』


思わぬ問い掛けに 少し考えて、「好きではある」と答えた。


『あー…強そうですものね』


上向きの声のトーンで言葉をそう続けたので この話題を続ける


バッハ「君は 酒は好きかな?」


『強くはないけど、お酒の席は好きですよ』


バッハ「それでは、飲みに行くかね?」


『え?』


バッハ「君からのお誘いでは無かったのかな」


『え?あ、いや 行きたいです!是非!』


少々強引だったかも知れん
だが こうでもしないと 君とテーブルを囲む算段が取れない

何か、理由が 欲しいのだ

臆病者の私を笑ってくれて構わない


━━━
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bar
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バッハ「…」


リスト「オーッホッホッホ」酔


モツ「あっはっはっは」酔


『えっと……音羽館で お酒飲める人を呼んでみたんですけど、都合合う人がこの お二人で…』


バッハ「そうか…」


『あの……すみません』


バッハ「何故謝るのだね」


二人で、飲もうかと 誘ったつもりだったのだが…
いや 不都合など何も無い
メンバーを集めて来てくれたのだから 有難いくらいだ


『ステキなお店ですね』


リスト「良い所でしょー」


モツ「オシャレだよねー♪でも、可愛い女の子はいないなー…なんかオジサンばっか」


バッハ「オジ…」


『たっ 高そうなお店だから!渋いし高級感ある所だから 目上の上品な方が多いんじゃないですかっっ??』焦


バッハ「とにかく…好きなものを頼むといい」


リスト「さすがぁ!バッハ様はリッチ様っっ!愛ね!」


━━━
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━━━━━━
ヒロイン目線
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参ったなぁ
音羽館の皆に声をかけてみたけど
ベトさんはバッハさんに苦手意識あるみたいだし
それに倣ってシューさんも来ないって言うし
ショパンさんはそもそも引きこもりだし

これで歌苗さんが来るとでも言えば また違ったのだろうけど
彼女は高校生だし…
こんなお店に夜遅くまで連れ回せる筈もなく。

結果、お酒好きのリストさんと
デリカシーの無いモツさんなら二つ返事で来ると言ったのだ。

バッハさんを財布扱いしに来たようにしか見えないのが 申し訳ないというか…

これなら 声、掛けなくても良かったのでは?

意外にも、クラクラの二人も来てないし

あ でも それじゃ バッハさんと二人きり……………って
それも、ハードル高いっていうか…いや 嬉しいんだけどね?えっと 何言ってるんだろう 私


変に鳴り出した胸を誤魔化すように お酒をグイッと流し込む


バッハ「忍路は、何を飲んでいるのかな」


『あ 日本酒です』


バッハ「にほ…!?」


リスト「ちょっとちょっと、忍路ちゃんて イケるクチだっけ?」


『いや、こういうオシャレなbarは経験が少ないので なんとなくコレを頼んでみました』


モツ「経験が少ない人が オーダーするお酒じゃないでしょ、日本酒って??」


『でも、日本酒って言うネーミングだから 日本人向きな飲み物なんじゃないんですか?』


リスト「そりゃ 日本人向きでしょうけど…」


モツ「僕、忍路が音羽館でお酒飲んでるの、見たこと無いんだけど」


『普段は飲みませんよ?』


リスト「忍路ちゃん、お酒強いの?」


『初心者です』


バッハ「……水を飲みなさい」


モツ「オレンジジュース頼もうか?」


リスト「味噌汁の方が良い?」


『???』


━━━
━━



バッハ「初心者なら、もう少しアルコール度数の弱いものから飲みなさい」


『だってー』


バッハ「日本酒は度数の強いものが多い」


『リストさんもモツさんもバッハさんも、ワイン飲んでるし』


バッハ「…」


『オトナっぽいお酒、飲んでみたかったの』


そんな会話をしながら、私の隣でグラスを傾けるバッハさん

この史実の偉大な音楽家メンバーは
アダルト過ぎるんだってば


バッハ「では、ゆっくりと自分のペースを守って、コレを飲んでくれるかな?」スッ


『え?』


バッハさんが目配せをした先で、給仕の方がドリンクを持って来た


バッハ「スクリュードライバーだ。日本酒よりはマシだろう」


『オレンジジュースみたい』


バッハ「オレンジジュースとウォッカのカクテルだ」


『………美味しい』ゴクッ


バッハ「…」


リスト「あらっ 忍路ちゃん、結局お酒飲んでるのね」


『スクリュードライバーって言うんですって!美味しいですよ!』


リスト「まぁ………忍路ちゃん、カクテル言葉って、知ってる?」


『カクテル言葉?花言葉みたいな感じですか?』


リスト「そ♪」


バッハ「…」


リスト「バッハ様ぁ?言っても良いの?スクリュードライバーのカクテル言葉ぁー」


バッハ「…私達の全盛期には無かったものだ。興味深い。続けてくれ」


リスト「[あなたに心を奪われた]、よ」


『へぇ リストさん、物知りー』


リスト「忍路ちゃん…そんなカクテルを女性に贈る意味、考えてみなさーい?」


『あなたに、心、奪われた…』




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