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☆クラシカ口イドの小説(長編)
Petit Etoile(ひきこもり)2
メイクポーチをぷらりと下げて席に 戻る時に、ショパンさんとすれ違う

視線を合わせ 微笑みかける前に 呼び止められた


ショパン「リストのお陰で さっきの話の腰が折れたけどさ」


『え?』


ショパン「ピニャコラーダには、[淡い思い出]という意味があるけど……」


『淡い思い出…』


ショパン「パイナップル、ココナッツ、ラム…そこに君からのキスが加わったから 僕は思い出なんて塗り替えられる」


『…私、キスなんてしましたっけ?』


ショパン「さっき、僕のグラスから 一口飲んだでしょ」


『あ…』ドキッ

『投げキスとかかなって思ったら…間接キス…』

『や、やだなショパンさん…キザ…酔ってます?』カァァ


ショパン「(そうか、大家さんといい忍路といい、鈍いのか。あまりこういう席に来ないから言われ慣れてないのか……届くように 頑張ろう)」

ショパン「(でも、後から言葉の意味に気付いて、恥ずかしそうに頬を染める君はクセになるなぁ)」


含み笑いを残して、ショパンさんは私と一緒に 席に戻ろうとする
あれ?トイレじゃないの?
と 不思議に思ってると


ショパン「そろそろ店を出るから、迎えに来たんだよ。男子トイレに用はないよ」


『へっ ショパンさん エスパーなの?』


ショパン「君、思ってるコトがすぐ 顔に出るから」


なんて言われてしまった。

ショパンさんてば スマートに女性をエスコートしてくれてるシーンが目につくなぁ

お酒のせい…??じゃないよね…
私の知らないショパンさんを垣間見た気がする

いや、思考が上手く働かない
私も 結構飲んじゃったのかな
さっき飲んだお酒の量を自覚すれば、よろけた足元


『う、わっと!と!』


ショパン「!」


咄嗟に


ショパン「大丈夫?こんな所でピルエット?」


『は…いっ?ピル…何?』


ショパン「バレエの回転技だよ」


私の肩を抱き寄せて、転倒を阻止してくれた彼はジョークめかしていたけれど
思わぬ距離感と その体温にドキドキが止まらなかった


ショパン「忍路、酔ってる?」


『いや、そんなには…んー、まぁ 酔ってる、かも』カァァ


なんて しどろもどろに答えれば、隣を歩く彼は この腰に手を回して来た

だが 嫌らしい感じではない…何て言うか、手を添えて エスコートしてくれているような、ソフトな手の温もりで 気遣いすら感じた。

さっき転びそうになったのを気にしてくれてるのかなぁ
でも今日イチ、ドキドキする…


それは、タクシーを停めて待っていてくれた リストさんやバッハさんの所に到着する迄で スッと手を引っ込めて

ちょっと秘密めいた温もり…


どうしよう
ホントに鼓動が…鎮まらない

タクシーに押し込められて 圧迫感に困ったよりも また この腰に当てられる優しげな 大きな手にずっとドキドキしていた。

そんな距離だから、ショパンさんの息遣い、聞こえるし…
体温感じるし、今 ショパンさんの匂い…してるし


もう 帰宅するだけなのに 私、私…
コレを思い出すと 今日、眠れないんじゃない?


━━━
彼目線
━━━


最初は君のペースだったのにね
僕を茶化したり 翻弄したり

[カルアミルク]のカクテル言葉はあながち間違ってないね

[悪戯好き、臆病]

僕が少し その気を見せたら、忍路ったら言葉に詰まり 黙っちゃって

このまま、僕の色になれば良い
花言葉、カクテル言葉、遊び言葉…何でも教えてあげる
夢に夢を見る忍路
甘い蜜の匂いに誘われて おいで

可愛いね

ちょっと今日は 艶やかな君の髪にコローラを捧げられるような
イイ夢が見られそう…


end



コローラ→フランス語で「花の冠」


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