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☆クラシカ口イドの小説(長編)
Petit Etoile(ひきこもり)

その睫毛を揺らして くるり、大きな瞳が無邪気に揺れた。


『ショパンさんて、お酒 強いんですか?』

なんて 言われるもんだから 咄嗟に、「普通」としか答えられなかった。

だが、それを隣で聞いていたリストが 勝手に大いに盛り上がったんだ。


リスト「あら 良いわね!お酒を飲みに行く話?」


面倒なので、否定したが こういう時の彼女は 話を聞かない。
即座に 何処かに電話を掛けて、場所を決めて予約までしてしまったみたい。
要は自分が飲みたいのだ


━━━
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bar
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いつもは太陽の咲き誇る時分に出かけるが、今日は珍しく夜に忍路と 出歩ける
靴音を鳴らして、少し舞い上がり そわそわしてしまう

まぁ 二人きりではないのがちょっとネックだけど


『わぁ…オトナな雰囲気の所ですね!』


リスト「良いでしょー」


ショパン「いや…それより…」


バッハ「好きなものを頼むといい」


何でコイツがここにいるのぉぉ━━━!?


リスト「まぁまぁチョッちゃん、今月 リッちゃん ピンチでー、お金使いすぎちゃったぁー」コソッ


くっ…!!お金なら僕が貸したのに…

大体 お金が無いのにバッハ連れて来てまで飲もうとするなぁぁぁ!!


『プライベートでお会いするのは久しぶりですねぇ バッハさん』


ぐぬぅぅぅ 忍路がふわりと笑顔で話しかけて…くっ……胸がモヤモヤする!


リスト「あら チョッちゃん、良い飲みっぷりね!すみません、ワイン追加でー」


全く……何だってんだ
リストは隣に座るバッハと ビジネスについて語り始めたし

こちらにした目配せは、[忍路ちゃんとのお話を楽しんで]とでも言っているのだろう

余計なお世話だ、と眉を潜めた僕に忍路が 声を小さくして言った


『ねぇねぇ、バッハさんとリストさん、大人過ぎてカッコ良くないです!?』


ショパン「え?」


『遠目から見たら二人共 お似合いでステキで…!ドキドキしちゃいますねぇ』キャー


ショパン「二人共 子供が居そうな貫禄はあるけど…」


『んー そーゆーのとは違ってぇー』


ショパン「…(何だ?お似合いってことは、目の前のカップルみたいな二人に憧れがあるのか?
恋に恋してる、みたいな感じか?いや、でも…)」

ショパン「君、もしかしてバッハみたいな男が好みなの?」


『え?うーんいや多分違うけど』


ショパン「(迷った![多分]て言ったし!!)」


えーっと
ちょっと待って、待ってよ…
忍路は大家さんとドラマを見ていた時、好きな俳優とか歌手グループの話で盛り上がってたっけ


じゃあ別にバッハみたいな年上は━━


『でもバッハさん、ステキですよねー』


ショパン「うぐっ」ガーン


『絶対モテますよねぇ』


ショパン「う、うーん」


確かにバッハは同性から見ても…そりゃ モテるだろうけど…
も、もう分からないな。直接聞いてみたほうが良いよね


ショパン「つまり?君はどんな男性がタイプなの?」


『私は恋とかよく分からないから…ショパンさんこそ、人生2週目で培った恋愛観、教えて?』


ショパン「……人生2週目って、そんなラノベのタイトルみたいな…」


いや、突っ込むまい


ショパン「教えてって、それは……実践で教えて欲しいの?」


『ん?実践もなにも無くない?(お話して聞かせて貰いたいんだけど)』


ショパン「……そんな表情の忍路、知らなかったな…見たことないな…」

ショパン「今日はちょっと 挑戦的、なのかな??」


『??』


ショパン「僕にも……僕の知らない忍路を教えてよ」


『え…』

『アハハハ、やだぁ!ショパンさん そんなカッコつけても前髪で見えないよぉ!』


ショパン「…」


笑われたし
ここはこーゆーコトを言うムードじゃなかったの?
単に僕に気が無いのか

分からない…大家さんもこーゆー所あるよね
この国の女性は皆こうなのかな


『あ…怒った?』

『ごめんね、からかったんじゃなくてねー』


少し考え中だったんだけど ムッとした顔に見えたのだろう。
忍路は謝りだした


『ふふ…でも』

『ショパンさん、そんな表情も、カッコいいんだねぇ』


ショパン「え」

ショパン「そ、そう」カァァ

ショパン「いや てゆーか、前髪で見えないんじゃなかったの?」


『大丈夫。ホントはカッコいいの、知ってるから』


ショパン「…ッッ」


何だ…??つまりは酒のせいかな?酔ってるのか?この忍路のテンションは何だろう

でも、忍路に口説かれた?のかな?お酒…良いかも知れない…

魔法のワードと踵を鳴らしてアントルシャ?
知ってか知らずか 僕を振り回すんだから
いけないバレリーナだね


━━━
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━━━━━━
ヒロイン目線
━━━━━━


流石、リストさん。
こんなオシャレなbarを知ってるなんて 大人女子…


集めた顔ぶれも、落ち着いた人柄ばかり
てゆーか皆 ワインだ!
凄い!!史実でも 嗜好品としていたからかなぁ
リストさんもバッハさんも似合い過ぎ…

リストさんなんて 窓辺でしんなりしていた花が元気になるように、お酒を飲んだらイキイキとしているし

ショパンさんはもう少し違うイメージもあったけど、冷静に考えたら あの時代の人なら まぁ普通にワインを飲むよね


ショパン「忍路は、カルアミルクを飲んでるの?」


『コレ、飲みやすくて好きなんです』


ショパン「カクテルも良いね」


そう言うと 彼はグラスに残っていたワインを飲み干して、また何かを注文した

程なくして 頼んだお酒がテーブルに来た


『ショパンさんのオーダーは何ですか?』


ショパン「ピニャコラーダ」


『カクテルですか?』


ショパン「一口、飲んでみる?」


『良いんですか?頂きます』


ショパンさんがこうやって、一口をくれるのは珍しいことだろう。
音羽館では見たことがない。


『美味しい…フルーティーで…後に残る風味…』


ショパン「パイナップルとココナッツが入ってるから飲みやすいんじゃないかな」


『ショパンさんて カクテルも飲まれるんですねー、詳しそう』


ショパン「…そこまで詳しい訳でもないけど
カクテルには 花言葉みたいに、カクテル言葉っていうのがあるんだ。
忍路が飲んでたカルアミルクは[悪戯好き、でも臆病]って意味があってね」ペラペラ


『へぇ 面白い』


急にスゴい喋り出した…
お酒の事が好きなのかな


『ピニャコラーダは?』


ショパン「………[思い出]って意味があるんだ」


うーん 深く突っ込まない方が良い空気感だなぁ


『夏の思い出、とかそんな感じかな?』


リスト「チョッちゃんがスペインに行って知ったお酒だから、感慨深いのよ」


『おお…踊れる裸足のココロ・情熱の国ってイメージです。スペイン』


バッハ「次のクラクラの曲はそれをテーマにしよう。忍路、もう一度言ってみてくれ」


『えええええ突然ですね バッハさん…恥ずかしいんですけど』


ショパン「…リスト」


ショパンさんが[余計な事を言わないで]と言わんばかりの目配せをする


バッハ「ソーセージは追加しようか。忍路、パスタとピザならどちらが良い?」


『ありがとう、バッハさん。皆でシェアしやすいピザにしませんか』


そこから、さりげなく話題を変えてくれるバッハさん


そういえば ショパンさんがスペインに行ってたのは 恋人とだったはず
気まずい話だったのかな
いやまぁ元カノの話って気まずいものか
などと 自問自答して、またお酒に手を伸ばした

無理に話題を変えようとしたら返って不自然にしてしまう私だから お化粧直しに立ってみる

もっと潤滑にフォローが出来たりしたらなぁ
言葉に、上手くリボンを結んで飾る事が出来たら……なぁ


━━━

※アントルシャ→(バレエのジャンプの形)


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