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☆クラシカ口イドの小説(長編)
知らないシャンプー2(彼目線)
洗い途中の身のまま、顔をドアから覗かせると、そこには彼女が居た


ショパン「どうしたの…?もしかして、コレ?」


僕は閃いて さっき見つけたボトルを見せる


『そ、そうです!すみません、忘れ物しちゃって』


ショパン「そっか、どうぞ…」



ボトルを手渡し 浴室に引っ込むと『お邪魔しました』と去って行く音がした



━━━



部屋に戻る道で また彼女に出会す
今日はよく会う日だな…


『さっきはお騒がせしました、化粧水 忘れちゃって…見付けてくれたのがショパンさんで良かったです』


ショパン「そう…」


『もしモツさんにでも見付かったら 全部使い切ってくれちゃったりしそうですもん』



饒舌だ
機嫌が良いのだろうか


ショパン「いつも、自分のバスセットを持って行くの?」


不愉快ではないので 会話を続ける


『可愛いシャンプーボトルなんですよ…お気に入りの香りなんです。でも、こんな特徴的な香りだと好き嫌いがあるでしょう?だから、私専用なんです』

思ったよりミーハーな理由と 彼女なりの気遣いが見られた理由だった



ショパン「ふぅん…僕は嫌いじゃないけどな」


何の気なしのセリフだったが
彼女の目はキラキラと輝いた



『ほ、本当ですか?気に障ったりしません?』


ショパン「気に障るって…そんなことないよ」


『館の住人の方には デリケートな人もいるだろうと少しドキドキしてたんです』


ショパン「まぁ 確かにベトやシュー辺りはそんな雰囲気があるかも知れないけど…大丈夫でしょ」


『そうですか…ショパンさんは 浴室に置いてある物を使ってるんですか?』


ショパン「拘りは無いからね」


『キレイな髪だから、気を遣ってらっしゃるのかと思いました』


ショパン「キレイな…髪?初めて言われたな」


『そうですか?お風呂場で見た、前髪を上げている姿も とてもキレイでしたよ』


ショパン「…」


キレイ…キレイ??僕 クセ毛だし



ショパン「そーゆー表現は女の子にしてあげるべき表現じゃない?」


『あはは、そ、そうですね すみません…ショパンさんの瞳の色、初めてちゃんと見られたから…つい』


瞳の色……
そうか、あの時僕は前髪を…だけど、不思議とそんなに気にならなかった様な…



『あ、ごめんなさい お風呂上がりにこんな所で長話になっちゃいましたね、湯冷めしない内にお部屋に戻って下さい』


ショパン「あ、いや こちらこそ…」


『おやすみなさい』


ショパン「おやすみなさい…」



一方的に、彼女から始まり彼女から終わった会話だった

だけど 別に 五月蝿くもない
煩わしくもない

少しだけ 互いを知り合えたような
胸のどこかに灯りが点るような
暖かさとむず痒さを感じて、僕は部屋に戻った


それからだ

僕が彼女の残り香に 気付くようになったのは


知らない人は怖いけど
彼女はもう きっと怖くない…
(と、思う……)


end




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