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☆クラシカ口イドの小説(長編)
火炎放射機野郎とダブルで3
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昼食
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お昼は和食にしようか、ということで 蕎麦&饂飩屋さんの暖簾をくぐった


ベト「天ぷら饂飩」
バダ「天ぷら蕎麦」
奏助「鴨南蛮蕎麦」
『ぶっかけたぬき』


ベト「ブッカケタヌキとは何だ?饂飩か?蕎麦か?」


『ぶっかけでたぬきなのは、このお店の取り扱いが饂飩しか無いから そーゆーオーダーになって…』


ベト「??」


奏助「そーゆー頼み慣れたっぽい所、日本人だよねー」


『そ、そうかな』


ベト「耳慣れぬ…ぶっかけたぬき…一口、味見させろ」


『へっ??』


ベト「俺の茄子天ぷらも半分やるから」


『あ、ありがとうございます……てか、ベトさん的に茄子天、そんなに好きじゃないからでしょ』


ベト「な、何を言う!!天ぷらは等しく貴重だ!」


奏助「ははは、じゃあ俺達もシェアしようよバダきゅん!!」


バダ「良いわよ。そのおっきい鶏肉と、この天かすね」


奏助「うわぉ!?とんでもない取引だね!で、でもバダきゅんの天かすだぁ!!」


『海外出身の人って、だいたい天ぷら好きだよね…』


パッド「やれやれ」


何気ない会話だけど、私 ベトさんとご飯をシェアしちゃったんだ

な、なんか…照れちゃう

いつもの皆とのご飯とは違うよね…やっぱりダブルデート効果?


あ 奏助さんと目が合った
ちょっと…イイ笑顔で親指立てないでよ…
自分の事みたいに喜んでくれる所は 本当 優しい子だなって思うけど…
けど 恥ずかしいってば


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奏助「さー、ご飯も食べたし 次はパワースポットだ!!」


子犬の様な目で そう叫んだ彼に連れられて来たのは、若い女性の間で人気の神社だった

歴史のある御神体を奉っていて、そこに良縁祈願、恋の御守り、境内の中にあるハート型を何個探したら想いが叶う とか…

いかにもな雰囲気。

きっとパッド君と頑張って考えたんだろうな


奏助「樹齢1000年だってー、さ、願い事しよ!願い事!!」


バダ「願い事…トップアイドルに上り詰められますように!!次行くわよ」スタスタ


奏助「待ってよ、バダきゅん!!」スタスタ


『は、早い』


ベト「己の志について願掛けをするのか?」


『うーん……じゃあ私は、これからも素敵な音楽達に出会えますように』パンパン


ベト「む………音楽、か……そんな願いは掛けなくても良いだろう」


『え 何で?』


ベト「俺が出会わせてやる。俺の音で」


『へ、あ…』ドキッ


ベト「俺の音楽では[素敵]ではないか?不服か?」


『そんな訳ないし!!ベトさんの音、大好きだし!!』


ベト「ふっふっふ……そうだろう」


『も、もう…自信家だなぁ…』


ベト「お前の歌を聞けば分かる」


『ど、どゆこと??』


ベト「他の奴らとセッションするときよりも輝いているからだ」


『ふ!?お!?』


ベト「お前には 俺の音楽が一番似合う」


『な………』カァァァァ


何この人!!天然!!天然で口説いてく…る!!
何なのそのカオ!!
ズルい!!


『それは………ドーモっっ………ベトさんは何をお願いするんですか?』


ベト「ん……俺は……最高のギョーザーをだなぁ」


『…』


ブレないなぁ
ドキドキさせられてるのは私だけだもんな
あーあ………本当ズルい人……


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お賽銭箱に小銭を入れて、鈴をガラガラ
その後 人数分の御守りを買って、奏助さんはバダちゃんに。
私はベトさんに渡す。

奏助さんはバリバリの恋愛の御守り
私はもう少しおとなしい感じの、心結びの御守り

嗚呼 恥ずかしいなぁ…

付き合ってもいない人にこんなのあげるなんて………バレバレだよね
告白してるようなモンだよ
羞恥プレイだよ……


ベト「歌う小娘」


『は、はい!何!?』ドキーン


ベト「この御守りには何と書いてあるのだ?」


『え、えっと……[心結び]って書いてて……つまり………』


ベト「こころむすび?」


『ベトさんの決意を強くしてくれたり、ベトさんの心を大切な人の心と結び合わせてくれる、御守りですよ』


ベト「俺の決意を強くするのは俺自身だ。コイツには頼らずとも…」


『はーい、人の善意を突き返さない!
良いですか?人の心は移ろいやすくフラフラしがちです
その時のメンタルによってもグラグラしちゃうんです。
その為の御守りなんです。
志を忘れそうなとき、何かに負けそうなときはコレを見て強くあって下さい!』


ベト「う、む…そ、そうか……では有り難く…」


『そう、素直に受け取って下さい』


ベト「お前は案外 信心深いのだな」


『そ、そんな大層なものでは無いんですよ。御守りは、手助けをしてくれるだけなんです
いつでも、最終的に物事を決めるのは自分ですから…』


ベト「………歌う小娘、もしかしてお前…」


『はい?』


ベト「いや…今日は楽しかった」


『そう言って貰えて良かった』


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こうして 不思議なダブルデートは終了


ダブルデートってゆーか 観光ぽかったな…

バダちゃんは本当に奏助さんに興味無さそうだったし
いや 興味どころか脈のカケラも無いってゆーか……

いや やめよう 奏助さんが可哀想だ

奏助さんも良い人ではあるんだろうけどな
やっぱりなんかな…

いや やめようってば


…………高校生らしいお出かけだったなぁ


思い返してみれば ベトさんも奏助さんも そこまで暴走しなかったし、こんな感じなら また一緒に……
[ダブルデート]しても良いかも

なんて思った


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彼目線
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今日は 改めてこの国の文化を知れた日だった

芸術、お花の先生、天ぷら、パワースポット信仰…

創作活動において、異文化交流はインスピレーションの活性化を期待できる


俺にとっては日常と非日常を織り混ぜた
特別な日になり、楽しく過ごせた


ベト「………忍路……は……」


はた、と 忍路の顔を思い出して その名を口にしていた
[歌う小娘]ではなく、忍路として


ベト「忍路は 少年の事が 好きなの……だろうか……」


思い返せば、美術館、食事の時、神社の時も 少年とバダジェフスカのやりとりを熱心に眺めていたように思う


嫉妬か?……いや、そんな視線ではなかった

もしや、バダジェフスカに気を使って 内に秘めた恋心を燻らせ、辛い想いをしているのでは…!?


……………有りうるかも知れん!

『物事を最終的に決めるのは自分です』

そう言ったお前の気持ちは、少年に想いを伝えるも 隠し通してしまうことにするのかも、結局 決めるのはお前自身という意味なのか


………少年、彼は音楽の才能などは無い
しかし、人間性には恵まれているだろう
些か未熟ではあるが、未熟故に、磨く余地はあるだろう

年齢ならば 忍路は少年と近いだろうしな


ベト「………」


忍路………


影ながら、応援させて貰おうじゃないか!


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『へっくしゅ!!』


『…なんか…悪寒が…何だろ』ゾクゾク


end

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あきゅろす。
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