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☆クラシカ口イドの小説(長編)
眼鏡があいつらとダブルで2
[くっ付く]って、何をすれば良いのかな
物理的に距離が近くなれば良いのかな?

シューさんと………距離が…………

いけない、ドキドキしてきちゃった


これじゃチャイコちゃんに怒られちゃう…
え、えーい
頑張れ私っ!!


と、覚悟を決めた瞬間だった


「おっと」
『わっ』


向かって来るおばあさんと 軽くぶつかってしまったのだ


おばあさん「どうもすみませんね」
『こ、こちらこそ』


会釈をしながらペコリ。
その程度で済んだのは 咄嗟にシューさんが 私の腕を引いてくれたからだった


『あ、ありがとうございます、シューさん』


シュー「いえ、すみません 何も言えず 突然 腕を引っ張ってしまって…大丈夫でしたか?」


『は、はい おばあさんに強くぶつかってしまわなくて良かったです。助かりました』


シュー「そう言って貰えると安心します。次はもう少し気の効いた方法を心掛けてみますね」


『あ、あの…』


シュー「??」


『[次は]って言うけど、シューさんは気付いてくれないかも知れないでしょ?だ、だから…その』


シュー「はい」


『手、手を繋いで…くれませんか?』


シュー「!」


『い、今だけで良いんで…ひ、人 沢山いるし!』


シュー「分かりました」ぎゅ


『!!!!』


そう言って微笑み、彼は私の手を握ってくれた


グローブ越しに シューさんのぬくもりが この手を染めていく


シュー「迷子になってしまうと心細いですものね」


『は、はい…』


あ━━…これ あんまり意識してくれてないヤツだ

子供扱い50%と
シューさん自身が迷子になった時の事を思い出してるの50%だ


で、でも……
嬉しい……
こんなに近い
あと数センチで肩がくっつくよ

絵画なんて見ながら…カップル気取りで美術館……
結構 ステキかも知れない…なんてね


━━━
━━



チャイコ「あ!シューベルトと忍路が手を繋いでるべ!!バッハ様、オラ達もこの人混みではぐれちまわねぇように手を!!
つつつつつ繋いでけれ!!」


バッハ「…」スッ


チャイコ「!!バッハ様ぁ!!手、繋いでくれるだか…」


バッハ「はぐれるなよ、チャイコフスキー」


チャイコ「オラの生涯に一片の悔い無し━━━!!」


バッハ「静かに閲覧しなさい」


━━━
━━



シュー「あの二人は本当に父と娘みたいですねぇ」


『ははは…(本人に言ったら殺されちゃうよ)』


ねぇ
シューさんと 私が手を繋いでたら どう見えるかな?

どう 見えたら イイかな
私は……恋人同士に見えてたらイイなって
思ってるんだよ

そんな事 口になんて 出せないけど


美術作品を熱心に見詰める横顔を見て こんな事 考えちゃう

シューさんには そんな風に 熱視線を送る相手は居るのかな…


シューさんに、そんな人が居たら どうすれば良い?

居なかったら、どうすればイイ?


どうすればイイのか 分からないくらい、好きなんです


チャイコちゃんにはこんな私が透けてるんだろうな

きっと チャイコちゃんも 同じように悩んでる女の子だから


━━━
━━



昼食は和食のファミリーレストランだった
ここでも何故か 日本風をチョイスされる


チャイコ「あっさりしたモンもたまには良いべ」


そう言って天ぷら定食をオーダーしたチャイコちゃんは


チャイコ「バッハ様!!オラの海老天食ってけろ!」


バッハ「……」


バッハさんとおかず交換をしていた


凄いなぁ…ぐいぐい攻めるなぁ
私ならあんなに身を乗り出せない…うらやましいくらい…

と チャイコちゃんとバッハさんを横目に わらび餅を口に運んだ時


シュー「それは何ですか?」


『ん?わらび餅…ってゆーデザートですよ』


シュー「ほう」


『食べてみます?私は好きなんですけど』


シュー「おお ありがとうございます」


『おっと つまようじで食べられます?難しいかな……お口、開けて下さい』


シュー「は、はい」あーん


『はい……どうです??』


シュー「おお!アッサリしていてとても良い!!」


『良かった』


って、あれ?
今 私、おかず交換どころか お口開けてーとかナチュラルにやってしまった?


スゴい…………いつもなら出来ないのに

もしかしてダブルデートマジック!?


うーん、いつも顔を会わせるし 家族みたいな感覚もあるからなぁ
一概にそうとも言い切れない

きっと 私は今とても気が緩んでるんだよ……


あ…チャイコちゃんと目が合った

うわ 親指立てて来た
やだな、こっち見ないでよ

恥ずかしい……


気の緩みとは言え、私も結構 大胆に行動しちゃえるんだなぁ


━━━
━━



チャイコ「飯も食ったし、次はパワースポットだべ!!」


そう叫んだ彼女に連れられて来たのは、若い女性の間で人気の神社だった

歴史のある御神体を奉っていて、そこに良縁祈願、恋の御守り、境内の中にあるハート型を何個探したら想いが叶う とか…

勿論、全部やる気のチャイコちゃんの勢いは凄かった


チャイコ「オラ!!バッハ様行くべ!!樹齢1000年の神木だぁ!!こいつに祈るだ!」


バッハ「……何についてなのだ??…音楽について祈るのか?」


チャイコ「う、あ、えっと………まぁそうだ、それでいいべ!!ほれ忍路!!おめぇ達も!!」


『わ、わかったよぉ…』


シュー「えーっと……何に祈りましょう?」


『じゃあ、素敵な音楽との良縁に恵まれますように?とか?』


シュー「おお!それは素晴らしい!もはやここに奉られている神様は 音楽の神様なのですね!」


『うーん……まぁ もう それでいいや』


━━━
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お賽銭箱に小銭を入れて、鈴をガラガラ
その後 人数分の御守りを買って、チャイコちゃんはバッハさんに。
私はシューさんに渡す。

チャイコちゃんはバリバリの恋愛の御守り
私はもう少しおとなしい感じの、心結びの御守り

嗚呼 恥ずかしいなぁ…

付き合ってもいない人にこんなのあげるなんて………バレバレだよね
告白してるようなモンだよ
いっそ羞恥プレイだよ……


シュー「あの、忍路殿」


『は、はい!何!?』ドキーン


シュー「この御守りには何と書いてあるのですか?」


『え、えっと……[心結び]って書いてて……つまり………』


シュー「こころむすび?」


『シューさんの決意を強くしてくれたり、シューさんの心を大切な人の心と結び合わせてくれる、御守りですよ』


シュー「ほぉ!!そんな凄い物を頂いても宜しいのでしょうか…!!??」


『良いの 良いの。今日は付き合わせちゃった感じですし…受け取って下さい』


シュー「ありがとうございます!このオマモリがあれば何でも出来そうです!」


『あはは、そんな大層なものでは無いんですよ。御守りは、手助けをしてくれるだけなんです
いつでも、最終的に物事を決めるのは自分ですから…』


シュー「………忍路殿、もしかして…」


『はい?』


シュー「あ、いえ…今日は楽しかったですね」


『そう言って貰えて良かった』


━━
━━
━━


こうして 不思議なダブルデートは終了


ダブルデートってゆーか 観光ぽかったな…
ロシアのハゲ親父が日本観光に来たらあんな感じなのかな


バッハさんには またお世話になっちゃった…

おサイフを出しても「カードで」とか「現金は持ち歩かない」とかカッコいい事言って 払わせてくれない…

今度、お礼しなきゃ!


[今度]…か…


思い返してみれば チャイコちゃんもそこまで暴走してはいなかったし、こんな感じなら また一緒に……
[ダブルデート]しても良いかも

なんて思った


━━━
━━


━━━
彼目線
━━━


今日は 改めてこの国の文化を知れた日だった

芸術、食、信仰…

創作活動において、異文化交流はインスピレーションの活性化を期待できる

私にとっては非日常でもあり、楽しく過ごせた


バッハ…殿には、世話になってしまったな

結局 移動や食事代は彼に任せてしまった

彼とはあまり交流したことが無かったが…
後日改めて 礼を言わねば


シュー「………忍路殿は……」


はた、と 忍路殿の顔を思い出して その名を口にしていた


シュー「忍路殿は バッハ殿の事が 好きなの……だろうか……」


思い返せば、美術館、食事の時、神社の時も バッハ殿とチャイコ殿のやりとりを熱心に眺めていたように思う


嫉妬……いや、そんな視線ではなかった

もしや、チャイコ殿に気を使って 内に秘めた恋心を燻らせ、辛い想いをしているのでは…!?


……………有りうる!

バッハ………彼は音楽の才能も有り、人間性にも恵まれている

地位も権力も財力も申し分無い…私が女性ならば またベートーベン先輩とは違った意味で 惹かれていたかも知れない


シュー「………」


忍路殿………


影ながら、応援していますよ!


━━━
━━



『へっくしゅ!!』


『…なんか…悪寒が…何だろ』ゾクゾク


end

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