☆クラシカ口イドの小説(長編)
餃子のキモチ2
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『ほら、名誉挽回のチャンスですから』
ベト「……俺のギョーザーは失敗作で、小娘にキッチンに立つなと言われた…」
『だから、残った材料をリメイクして作り直せば、失敗作じゃなくなりますよ?』
ベト「……しかし、リメイクして出来たものは俺のレシピじゃない…」
………黙って聞いてたら
なんか
イライラしてきたなぁ
ホントこの人は……
歌苗さんに怒られた事 引き摺るもんな
『ベトさん一人では失敗したレシピだけど、シューさんと私でもっかい力を併せたら 上手くいくかも知れないでしょ!!』
『何よ、ちょっと失敗したくらいで。[ベートーベン]なんでしょ?歌苗さんに少し怒られた位で撃沈し過ぎ!!』
『逆境を打ち砕くんじゃないの??イジケてる暇があったら皆を見返してやる餃子の1つも調べるくらいしてみたら?』
『キッチンに立つなって言われたんなら、[この素敵な餃子、もっかい作って]って言わせて見せる努力をしてみなさいよ!』
シュー「忍路殿…言い過ぎですよ!先輩は…」
ベト「………言ったな??」
『??』
ベト「来い、歌う小娘。シューベルト。」すくっ
『!』
シュー「は、はいっ」
ベト「そのリメイクレシピとやらを説明しろ…小娘達に、目にもの見せてやるぞ」
歌苗さんを引き合いに出したら ヤル気になったみたい
もう彼の目には光射して 迷いが晴れた面持ちのようだった
あーあ…この人はホントに…もう…
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シュー「ご飯、出来ましたよー」
歌苗「うわぁ…凄い!コレ、揚げ餃子ですか?」
『そうなんです♪私達三人のオリジナルレシピですよー』
歌苗「三人?」
シュー「先輩も手伝って下さいました!!さぁ大家殿、召し上がってごらん下さい!」
ベト「…」
歌苗「……」パク
『…』
歌苗「美味し…!!サクサクでジューシー…!!」
シュー「良かったですね!先輩!!」
ベト「な、なぁ 小娘 先程は…キッチンを汚して済まなかった…反省している…
次からは 味見をし、少量ずつ作って…」
歌苗「あーもー…分かったわよ…ちゃんと綺麗にキッチンを使ってくれるなら、お料理しても良いわよ…」
『良かったですね、ベトさん』
ベト「…ああ、気を遣わせたな、歌う小娘…」
私と目を合わせ、フッと笑った彼の表情は安心感に満ちて和やかだった
きっともう、いつもの自信家の眼差し
こんな時ばっか…
そんなカオ、するなんて
ズルいよ
歌苗さんの為の苦悩と安堵なんて
苦しいよ
苦しいのに
そんな彼のカオ、見られて良かったなんて…
私もお人好し…
リスト「あら、何コレ……美味しい!!」
ショパン「美味しい」パクパク
シュー「ですよねぇ、いやぁ 流石忍路殿のアイデア!!この揚げギョーザーの具材はさっきのギョーザーの余りをアレンジしたものなんですよ」
『いえいえ、私のお手伝いをして下さったベトさんとシューさんの協力があって 上手くいったんですよ』
ベト「いや、歌う小娘の閃きは素晴らしい」
歌苗「全く…忍路さんに感謝しなさいよ、ベト」
『あはは』
そんないつも通りの会話に埋もれていった、私の胸中のざわめき
こんな気持ち、何とかしなきゃ
早く 何とかしなきゃ……
end
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