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☆クラシカ口イドの小説(長編)
星空とシルエット2
差し出されたそれはココアだった


『さっき 買ったんです』


まだ 暖かい
少し肌寒い夜だから この温もりが優しく感じる


ベト「ふむ…頂こう」


口内に広がる甘味、近付いた彼女の香りの甘さ、
夜のせいか 何処と無く 夢の中をさ迷っているような 不思議な感覚になった


『次、私 頂きますね』


ベト「!!……おま…それ、間接…」


『んー、甘い』ぷは


虚を突かれ 間接キスとやらが成立してしまった…
いかん…
意識してしまう…

それというのも、あのポンコツ少年が間接キスがどうとか騒ぎ立てるからだ…
くっ……


『知ってます?ベトさん』


ベト「な、何だ」


『あの星と、私達が今住んでいる星は とても離れています。あの星に辿り着くには 百年の距離が、または千年の距離があるかも知れない』


『この世界で一番早く、時間を駆け抜ける[光]でさえも あの星に辿り着くのは 百年後かも知れない』


『昔のベトさんが居た頃の、星の光が 今 地球に、届いているのかも』


ベト「…」


『人の生は、長い様ですが 一瞬みたいで…なんて』


ベト「美しい な」


『!』


ベト「一瞬の 閃き、一つ一つの音符が奏でる輝きの如く 儚く見えるが それ故に情熱に包まれている」


『……今日 ベトさんとお星様が見られて良かった』


ベト「…な、何だ 急に」


『ふふふ…ね、そろそろ帰りましょうか♪』


ベト「もう、いいのか?」


『はい…ベトさんと共感して この素敵な空を見られた事が嬉しいから』


ベト「…お前は…時々 シューベルトみたいな事を言うんだな…」


『えー?私、シューさんみたいに ベトさん好き好きオーラ出てますか?』


ベト「っっ…し、知らん…」ぷい


『…ねぇ』


ベト「ん?」


『また、私と一緒に お星様 見てくれますか?』


ベト「………」


『ベトさん?』


ベト「今度は事前に言え…」


『はい』


ベト「マイ ベストコーヒーを持って来る…」


『!!』


赤くなっていく耳の理由は分からん

星を見上げる彼女の美麗さがそうさせたのかも知らん


『ありがとう』と
朗らかに月の下で笑った笑顔が屈託ないながらも
俺を 離さないぞ、と挑戦的に言っている様な…
しかしまた 包み込む様な柔らかさも感じられたので
不意に胸が高鳴っただけで…


それだけ…
それだけ…
それだけの事だ


だが 俺ももう一度 こうして二人で 夜空を見上げたいと思った

今夜だけではなく
明日ですら



end

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