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☆クラシカ口イドの小説(長編)
珈琲と午後2
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ヒロイン目線
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何やら、ほの擽ったい空気を感じながら 玄関を出て行くバッハさんの後を追う


『━━あの!』


もう、彼の背後には 彼を迎えに来たいつもの車が停まっている

名残惜しいけど、簡潔にお礼を言って…コレを渡してしまおう。


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彼目線
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車に乗り込んだ私は、ミラーに映る君が 遠ざかる様を 見えなくなるまで見ている

彼女も この車が右折するまで 其処で見送ってくれるのだろう


彼女の姿が見えなくなって、先程 手渡された包みを確認すると 手作り菓子らしい

幾つかあるその焼き菓子を齧ってみるとシナモンが香った


バッハ「…レープクーヘン…!」


蜂蜜の甘味が程好い
手作り菓子特有の 懐かしい味が口に広がる

いや、この懐かしさは 昔どこかで…


バッハ「…っ…」


何かがフラッシュバックしかける様に 目の前に風景が断片的に広がる
しかし 全てを思い出すには至らない


バッハ「……」


そうか これは 昔の………記憶なのだろう

妻か 子供か、母親だったかも知れない。
彼女らが作ってくれた、
遠い故郷で食べた、手作り菓子の味


バッハ「…全く…これをお茶請けに出してくれたなら どんなに…」


どんなに良かっただろう、そう言いかけたが あんな所で出されたら 皆に食べ尽くされてしまう事は必須

私の為に焼いてくれたものならば 全て一人占めにしてしまいたい気持ちも…


普段 そこまで食に貪欲では無い自分がこんな事を思うのは不思議だった


に しても アンビヴァレンスではあるが、君と飲むコーヒーに このレープクーヘンを並べて欲しかった


参った…
こんな気持ちにさせられるなんて

今すぐに 車をUターンさせて この感動を君にぶつけられたなら……
君はどんな顔をするだろうか


本当に、参った


頭の中も
胸も 夢も

もう 君が 離れない


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ヒロイン目線
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喜んでくれたかな…バッハさん

いつものお礼に、ドイツのお菓子…作ってみちゃった
季節外れなお菓子だけど…クッキーを失敗したんじゃないか、みたいに思われてないかな?

今度 聞いてみようっと

………[今度]は いつかなぁ


私から会いに行って良いかなぁ?
[この前のお礼です]って
何かお土産を持って

……………会えるかなぁ…
会えたら良いなぁ


end

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