☆クラシカ口イドの小説(長編)
月2(彼目線)
W nicości tworzę muzykę.
『えっ!?』
ノクターンに合わせて段ボールが舞い、僕らを包んだ
そしてクローゼットが幾重にも重なりエスカレーターと化した
あっという間に、音羽館を越える 高い高い塔を築く
『ひぇぇぇ』
驚いた忍路が僕の腕にしがみ付いてあたふたしている
「大丈夫、落ちたりしないから…そこを見て…」
塔と言えど 足場は二畳位のスペースか
そのダンボールの部屋に窓を作った
雲の無い空にぽっかりと浮かぶ月が窓の外、こんなに近くにある
忍路 は目を輝かせる
『わ…ぁ!!凄い…キレイ!!』
「…どうかな?月…見たかったでしょ」
『何ですかこの特等席!!凄い凄い!』
普段、見せない満面の笑顔
あまりにはしゃぐものだから 僕も笑う
キレイなのは君の瞳だよ
月を映し 星が踊っている
『…━━♪♪♪』
そして 声が、歌が
どうしようもない程、僕を揺さぶる君の魔法が流れた
『♪━━♪♪♪』
僕の旋律に乗せて 二人の融けて往く世界
そんな音楽
そうだ、僕は
以前もこんな感覚を………
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ヒロイン目線
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『♪━━…ふぅ』
「━………」
ショパンさんもタクトを収める
ムジークは終息して、段ボールの塔がゆっくりと地上に向かってエスカレーターみたいに降りて行く
『す、すみません、邪魔しちゃって…何だか、ショパンさんの音楽を聞いてると、ウズウズしちゃって…』
「どうして謝るの?」
ショパンさんは気難しそうだから 怒ったりしてたらどうしようかと思ったけど…
「楽しかったよ」
はにかんだ笑顔は穏やかで、夜なのに眩しい
例えるなら、童話や絵本に出て来る王子様みたいで
不意に息が止まってしまった
「ねぇ」
『はっ!はい!?』
「ボーッとしちゃって、疲れたかな?もう眠れそうだね」
『は、はい…』
「眠れない夜は……また 誘っても良い?」
『も、勿論です』
「そっか 良かった…」
『楽しみにしてますね、それじゃ おやすみなさい』
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彼目線
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あれ…
僕、今、勢いに任せて……
忍路を誘っ…
「ん…と…」
僕らしくないな
顔が熱いし
どうしようどうしよう
どうしようどうしよう
またアドレス聞くの忘れた
次の眠れない夜はいつになるだろう
とりあえず番号聞かなきゃ
あれ?
ぼ、僕……
忍路の事……?
「ど…どうしよ…う」
忍路の事……
忍路……
困ったな、何だか落ち着かない
ムジークですっきりしたハズなのに
眠れなくなりそう……
end
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