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☆クラシカ口イドの小説(長編)
Surprise Heart2(甘)
━━━

それからまた、数日が過ぎた

バッハさんの所に 頻繁にお邪魔する訳にも行かないし…あーあ


……前にも、こんな事があったような…
ラッパーシューさんは、フラッと朝帰りを続ける周期があって…


……………考えるの、やめよう。


気分転換のつもりで アルケー社から貰った資料を見たり、動画をチェックすると彼の姿が映る。


モニターの向こうのシューさんは生き生きしている

動画の再生数も曲のダウンロード数も増えて…
メディアには あまり出て行かないが、彼やクラクラの噂を耳にすると…何だか切ない

特に、雑誌のインタビューなんかは[チャイコちゃんとバダちゃん、どっちが好みのタイプですか]なんて質問があったし


シューさんは[どちらも魅力的なレディですよ]って月並みで無難に答えてるとは言え…
胸がざわざわしちゃう


さりげなく肩に手を置く仕草
顔、近付けた、とか アイドルの方からも男の人に そんなに触っちゃうの?とか…


恋愛要素やボディタッチで好奇心を揺さぶる商法、なんとかならないんですか?メディアの皆さん


あー………
こんなもやもやする自分も嫌だな

結局シューさんの事ばっか考えちゃってる………



━━この館で 一緒に家事をして、歌ってた頃が懐かしい…シューさん…会いたいな…
今日もまた、すれ違う。
いや、すれ違う事すら出来ないままで地球は回っていく

どうやって明日も越えて行けば良いんだろ…
散々 彼を待ちくたびれ 疲れた目で空を仰いだ時だった


♪♪♪


『え?電話??』


突然、私の部屋に響くコールに驚き、スマホの画面を見る

…知らない番号

少し迷ったけど 応答する


『もしもし?』


シュー「忍路殿ー」


『えっ?シューさん!?ケータイ!?持ってましたっけ?』


シュー「バダ殿に借りたものなんです」


『そ、そうなんだ』


あー………ほら、またざわざわしちゃう

私よりも近くに居るカワイイ女の子の名前…
貴方から聞くと 何だか…
さっき胸に閉まったはずのモヤモヤが 努力の甲斐無く 浮き上がって来る


シュー「そろそろ館に戻ります。お土産は何が良いでしょう?」


『そ、そうなんですか??皆で楽しめるお菓子が無難じゃないですか?』


それから間もなく切れた電話

[戻ります]そう聞けて嬉しかったんだけど…妙な声のトーンになっちゃって
いつもよりよそよそしく ないかな…??


『そろそろ、戻りますって…結局いつ、戻って来んの…??』


静かに溜め息と消えて行った 私の呆れ声
こんな顔、見られなくて良かった…


━━━


やり残したお手伝いは無かったかと 一階に降りて行くと、そこには さっき電話で声を聞いた彼が居た


『えっ』


シュー「あ 忍路殿」


『そろそろ戻ります…って……光の速さじゃないですか』


シュー「すみません、驚かせたくて」


リスト「あら、何よ 電話なんかしてたの?」


シュー「ふふふ、コレですよ!コレ!!」バッ


ショパン「それ、シューの?スマホ持ってたっけ?」


シュー「連絡に困るだろうからと、三弦殿が計らって下さいました」


『バダちゃんのケータイを借りてたのは何だったの?』


シュー「ちょっとびっくりさせたくて」


ショパン「とりあえず僕の連絡先送る」シュバッ


シュー「え?あ?今何を…とゆーか、もうコレで連絡先は交換出来たのですか?」


ショパン「うん。ほら、ココ…」シュッ ピッ


『速っっ!!何その絶技』


奏助「あー、いーな!俺も俺も シューさん!!」


━━━


それから 一頻り 皆でお茶をして、落ち着いた所で 私は部屋に戻る
━━と、戻ろうとした時に彼に声を掛けられた


シュー「あ、あの忍路殿」


『シューさん??どうしました?』


シュー「えーっと…ちょっとお話がありますので、お部屋にお邪魔しても宜しいですか?」


『良いですけど…??』


少し歯切れの悪い彼を部屋に招くと、眼前に小さな包みを差し出されたのだ


『え?』


シュー「あ、あの!!受け取って下さい!」


『こ、これは??』


シュー「…いつも、私を手伝って下さり…ありがとうございます」


『そんな、当たり前の事で…』


シュー「貴方にとっては当たり前の事でも、私はとても 心救われる事であり 感謝しているのです」


『ええ…そ、そんな』


シュー「いつも 伝えたかった…感謝を伝える贈り物もしたかった…
貴方の笑顔が見たかった…」


『……もしかして、お家賃の為だけじゃなくて、クラクラとのコラボは…』


シュー「は、はい…まぁ…そ、その…お察しの通りです」


真っ赤になった彼の顔を目にして 私は胸が痛いくらいに高鳴る

[貴方の笑顔が見たかった]なんて
そう言って貰えるだけで 胸がいっぱいになるのに


シュー「そ、それに…一年前の今日は何の日か…覚えていらっしゃいますか?」


『へ?一年前?』


シュー「貴方がこの館にいらした日です」


『えっ…』


シュー「わ、私は貴方が思う以上に 貴方に感謝している。助けられてる。だから…気持ちを伝えたくて…」


『………ばか…』


シュー「へ?」


『バカバカ!シューさん!!わ、私…突然シューさんがこの館を出て行ってしまって…寂しかったんだから!心細かったんだから!』


シュー「忍路…殿…」


『お家賃の為って聞いて、納得したつもりで居たけど…このまま、アルケー社のほうが居心地良くなっちゃって、此所に帰って来なくなっちゃったらどうしようって…』


シュー「忍路殿…」


気付けば シューさんを抱き締め、しがみついていた私は涙声を隠せずに せぐりあげる


『私…サプライズプレゼントは嬉しいけど…シューさんと居る時間のほうが大事なの…
シューさんと過ごせる時間が無くなっちゃうなら、プレゼントなんて 考えてくれなくて良いから…』


シュー「忍路殿…」ぎゅ


そこで 漸く抱き締め返してくれる彼の腕に安心する


シュー「解りました…今後は成るべく、貴方のお側に居られるように努力します」


『……』


ちょっとだけ我に返る私はシューさんの目を見ることが出来ない


シュー「だから、ほら、機嫌を治して…??どうか このプレゼント…いつまでも無視してあげないで下さいよ。これでも一生懸命悩んだんですよ」


『…そんな言い方ズルい』


シュー「…お互い様じゃないですか?」


やっぱり 好き勝手シューさんは いつもと勝手が違う
やりくるめられちゃうな…


シュー「開けてみて?」


『はい…』


小箱を開くと 綺麗なネックレスが鎮座していた


『ひゃああ可愛いっっ!!』


シュー「良かった。気に入って貰えたみたいですね」


『こ、こんな高そうな…』


シュー「良いじゃないですか。お似合いですよ」


『あ、ありがとうございます…』


シュー「こちらこそ、ありがとうございます…さっきの熱烈な言葉はしかと 私の耳と心に届きましたよ」


『んあっ!!ちょ、ちょっと待って下さい…だって あれは…』


シュー「んー♪寂しい想いをさせてしまい、申し訳ありません♪」


『謝ってる割にはニヤニヤしてますね』


シュー「んー♪ふふ、ふふふ…良いモノですね、私が贈ったアクセサリーを身に着けて下さると、私の独占欲が満たされます」


『独占…なんで…』


シュー「その胸元を占めているのは、他でもない、私…でしょう?」ニヤリ


『な…!』


シュー「装飾としては勿論、貴方の胸元の…内側も…一人占め出来ましたよね?」ニヤニヤ


『わ、笑い過ぎ…』


シュー「ふふふ♪すみません♪」ぎゅー


『も、もう!』ぎゅー


仕方なく 抱き締め合ってしまう

会えなかった時間とつまらない嫉妬を、思いの外 呑み込み過ぎていたみたい

内側に溜まった悲しい気持ち達が 嘘だったみたいに昇華する


この心地好い胸に頬を擦り寄せられる幸せに抗えないまま、瞼を閉じる準備をしてるけど
貴方がソレを お見通しなのが悔しい
悔しいけど…


『会えなかった分…離しませんから』


シュー「寂しかったのは、貴方だけだと思ったら大間違いですよ」


『…!』


悔しいけど、抗えるはずもない

溶けそうな彼の熱意の吐息が私の首に掛かるこの瞬間を
心底待ちわびていた自分を思い知る


end

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