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☆クラシカ口イドの小説(短編)
攻受を決めないと出られない部屋/ショパン
[攻受を決めなければ出られない部屋]


「は?え…?何?」


『また誰かのムジークでしょうか…てゆーか 攻受って…』


「…とりあえず、やらないと出られないんだよね」


『はい…』


ショパンさんはあまり動揺していない様に見えた

彼はこういう事にはあまり動じないのかなぁ…


私は受け流すことも出来ず 度々フリーズしては頬の温度が上がっていくのに


「じゃあ…僕が受、するんで」


『ええええええ!?』


な、なんてことだろう

決められちゃったよ


彼は部分的に攻撃的だったりするし、どちらかというと今の雰囲気は攻っぽいんだけどなぁ…


「じゃあ…ハグをして」


『えっ あっ はい』


どうして良いか分からずに呆けていたら 指定される

攻受って…難しいし恥ずかしいなぁ


困惑しつつ 恐る恐る 手を伸ばす
ゆっくり、呼吸を整えて━━━


━━ぎゅ


ショパンさんの細いけど しっかりした腰、そしてかなりの身長差

この匂い…なんか 柔らかで優しいな…ドキドキする


「…ねぇ、こっち向いて」

『え?』


その声に導かれ、ショパンさんを見上げると


━パシャ


スマホのシャッターが降りたのだった


『な、何撮ってるんですか!』


「攻 への集中力が無いから…撮ってみた。戒めだよ」


『やだ…ちょっと、消して下さいよぉ…』


「ちゃんと 攻、出来たらね」


『えええええ ネットとかにばら蒔いたりしないで下さいよ?!』


「…そんなことしないし…毎日眺めて 拝んだり祈ったりするかもしれないけど」


『えええええ やめてやめてやめて下さい!ヒドい嫌がらせじゃないですか』


「ええ?…イヤガラ………まぁいい、じゃあ ほら 攻 ちゃんとやって」


『う…ちゃんと消して下さいよ?つ、次はどうすれば?』


「………攻、出来たら消してあげるよ………次は キス…して」


『ええええええキキキス!?』


「今まで グダグダだったから………もう それくらいしないと出られないんじゃない?」


『ええええ…』


「田歌のせいだから…ほら…して」


促す、強めの口調
その前髪から覗く目が合って
更に頬が燃える


どうしよ…



『…』

「…」


沈黙は重なり、[どうしよう]と思い悩む時間だけで、数十分経過してしまった



「…もういい」


『はっ すみません、驚いちゃって…』


彼の眼差しは もう髪に隠れてしまって見えないが 少し気分を害したみたいだ


「…他に…キスをしたい相手でも居るの?」


『へっ いえ私なんかが そんな 恐れ多い…』


「居るの?」


『とっ、特段いませんけど…』



彼の口角が少し 上がり 肩を抱かれる

少し艶のあるトーンで囁かれ


「じゃあ…僕が攻に…なってみる」


『…えっ あっ?ショパンさ…??』



扉「判定モード・切り替え・します」


そんな機械音声は私の耳に届かない
掻き消されてしまったんだろう

ショパンさんのキスの嵐によって…



━━ちゅ、ちゅ


かわいらしいリップ音が顔中に降り注ぐ

しかし 唇だけには 触れず


これはどういう事だろう?

少しくすぐったくて 変な感覚だ


『ひ、ひゃあああショパンさぁぁぁぁん!?ちょ!?』


「逃げないで、大人しくして」ちゅ…


「ココから出られないよ?」


『そ、そんな…アッ』


「田歌の攻じゃ…扉の音声すら起動しなかったのに」フッ


小バカにした笑い

でもその瞳に宿った 淡い、艶めいた不思議な光
キレイ…とても誘惑的だった

どうして胸がこんなに温もりを感じてしまうのかな…
彼はそんなムードのある言葉は口にしていないのに


勘違いしちゃいそう

からかわれてる…だけなのに


この人はいつもそうだ…

全部、ゲームみたいに…


ズルいよ……


「…抵抗、辞めたの?」


ああ、神様

こんな気持ち、このオスマシ前髪の冷血漢に


私の想いが届くでしょうか…


「…?」


私のドキドキの小さな小さな片鱗だけでも


味わわせることができるでしょうか


『えいっ』「!」


ありったけの爪先の力を使った背伸びで
仕返しのキスを


一瞬だけど、唇にしてやった


「ぁ…」


その 不意討ちは成功したのかは解らない


思わず
私も彼も バッと 横を向いて顔を隠してしまったから


扉が開いたので 作戦的には成功なんだろうけど…


直ぐ様 向き直り、虚勢で誤魔化す



『私の攻が承認されたんです』
「いや僕だから」
『いや私が』
「いや僕が」


こんな二人は…素直になれる日が来るのかな?


end



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