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☆クラシカ口イドの小説(短編)
攻受を決めないと出られない部屋/ベト
[攻受を決めないと出られない部屋]



「な、何だ ここは…前にもこんな事があったような」


『ホント…誰かのムジークでしょうか…』


「くっ…また条件をクリアせねばならんのか…しかし 攻受とは何だ?」


『へ…あの えっと…』


「何だ、はっきり言え」


『あの…ゴニョゴニョ』


「んな!」カァァァ



やっぱり ベトさんは説明だけで真っ赤になって固まってしまった


「や、やややはりヴォルフか…はたまたリストか…これだから愛欲に溺れた色情狂は」ブツブツ


何か呟いてるんだか叫んでるんだかどっちなんだろう…小声にしてもうるさいし



『と、とにかく 判定しないと この部屋から出られませんよ?』


「む…そうだったな コホン、俺は勿論 攻をさせてもらうが異論は無いな?」


『え…?』


出来るの?ベトさんに??無理でしょ…


「な、なんだその目は !見くびるなよ、歌う小娘」



キッ と向き合うと凛々しい眼差しに射抜かれる

どうしよう…そんな目…胸が高鳴る



「俺が…女慣れしていない腑抜けだと…侮るなよ」


私の顎を彼はその大きな手で ゆっくりと持ち上げ、瞳を逸らさない


『あ、侮ってなんていません…ただ…』


「なんだ?」



一瞬 気を緩めたベトさんの親指を
ペロリと舐める


『攻にしては…かわいらしいな、なんて…』


「!!!!」


ベトさんの顔はただただ染まっていくばかり

私の挑発に目を釘付けにして固唾を飲む



『ベトさん…良いんですか?反撃しないと…受になっちゃいますよ?』


「…!」


純な彼を見ていると悪戯心が沸き上がる


どうしよう、いつもの私ならこんなこと…
思いもしない、出来ないはずなのに…

二人っきりだから?



舐めた親指に どんどん舌を絡ませて唾液の滴る音をわざとらしく起てる


ピチャ ちゅう ぴち チュ



「う、歌う小娘…な、なんてことを!は、破廉恥な!!」


『…私、歌うけど…小娘じゃないし ちゃんと名前で呼んで下さい』


「な?今さら何を…?」


『歌苗さんと紛らわしいし、だいたいベトさん、自分の事は名前で呼ばせてるくせに、私は名前で呼んでくれないんですか?』


「何ッッ…」


『コドモみたい…』


「な、何だと」


『今から名前で呼んでくれないと、もっとエスカレートしますよ?』


「は?な、な、な?」


『呼んで下さい…』



そう言い放つ唇で 彼の指を遂には咥えて



「…ア!ちょ!おい…歌う小娘!」


『田歌 …でしょ』


「アッ…」



睨むまで至らないものの、目を細めて 彼の手首に唇を滑らせる




「お、俺は…抗ってみせ…」


『ベト…さん』



唇で捕まえた手を、私の両手で包む
いとおしそうしたキスで
今度はいつもの私らしく…

彼の瞳を覗き込んで哀願




『名前…呼んで…』


「………んんんん!!」



咳払いのようだが 何か違う、変な音を出しながら
ベトさんの顔はもう 見ていられない程 赤面している



プルプルと震えながら彼は消えそうな声で囁く

「田歌 …」




彼の 私を呼んでくれた声が嬉しくて 堪らず 頬にキスをする


『ご褒美です』


「!!」


…そのつもりが、
ベトさんの背が高くて 中途半端な位置に届いてしまった


首筋である


「…田歌 …」


彼はフゥフゥと 荒い息遣いで 目を白黒させ、ヘナヘナと腰をついてしまった


同時に機械音声がしたと思ったら 扉は開いていた


扉に視線を向けたままで 聞こえるか聞こえないかの声で そっと呟く[ベトさん、ごめんなさい]


「こ、これで勝ったと思うなよ…」


そんな、乱れた吐息混じりで 絞り出す艶やかな声を
不意打ちで後ろから抱き締められた、負けず嫌いな貴方の腕の中で聞く


end







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