[携帯モード] [URL送信]

☆クラシカ口イドの小説(短編)
キスしないと出られない部屋/シュー
[キスしないと出られない部屋]



シュー「…なんでこんな…」


『キス…って』


シュー『嗚呼…もしかしたら、またまた私のムジークが暴走してこんな事になってしまったのかも知れません…田歌殿…申し訳ありません…』ガクッ


『そ、そんな!きっとシューさんのせいじゃありませんよ…』


シュー「こんなおかしな空間…ベートーベン先輩やショパン殿では無いでしょう、
あの悪魔ならば大いにあり得る話ではありますが」


『けど リストさんも否定組には入れないのね』


シュー「そうか…あの悪魔の仕業なのか…こんな破廉恥な罠に引き摺り込むなんて…
なんて姑息な!クソゥ…モーツァルトォォォ!」ゴゴゴ


『あ、あの シューさん、ここが誰かのムジークの所為だったとしても、まず脱出するには …
ルールに従うのが手早いかと思います』


シュー「…ルールって…キ、キキキ?」


見る間にシューさんが ゆでダコみたいになってしまった


『そ、そうです』


シュー「キキキキス…!は、破廉恥な…あの…悪魔…め」カァァァ


『す、すみません 相手が私なんかで…』おず…


シュー「い、いえ!滅相も無い!光栄です!ってあ、イヤらしい意味じゃなくて、あのその…」ワタタタ


『お、お嫌でなければ、どうかご迷惑でなければ…お、お願いします…』おずおず


シュー「ハッ…情けないぞ、シューベルト…女性に、こんなに健気な田歌殿に気を使わせて、恥をかかせて…男ならばエスコートするべきだろう」ブツブツ


『あ、あの??シューさん?』


シュー「し、失礼しました…事情が事情とは言え…田歌殿こそ、私などがパートナーになってしまい 申し訳ないのですが…」



そして私の両肩をガッシと掴み、言葉を続けた


シュー「必ず…この監獄から救いだしてみせます…」



彼の目は もう迷ってはいなかった


シュー「いきますよ…」


『はい…』


顔を少し上げて降りてくる唇を待つ

が、

彼の顔が怖い


『わわわ!!シューさん待って!待って下さい!』


シュー「はい?」


『そんなに目を血走らせ かっ開いて…もっとソフトな表情だと…助かります』


シュー「こ、これは失敬…では」


シュー「…これで…」



『ぶ━━━━ッッ』



そこには目を閉じたものの 唇を変に突き出す可笑しなシューさんがいて
思わず吹き出してしまった



シュー「ま、真面目にしてください!田歌殿…」


『ご、ごめんなさい』



私、悪くないのに…


そうだ…こっちがリードしてしまえばイイんじゃない?


シュー「…今度こそ」ンー


やっぱりまた同じカオで挑もうとするシューさんの首に腕を回す

シュー「え??」


虚を突かれたシューさんの動きが一時停止した瞬間


身長差のある彼の首をグイッッと寄せ
素のままのシューさんと、
そのままの唇で、
このまま…


ちゅ


シュー「ん!田歌…ろの…ン…」


びっくりしたのか 声を上げて照れ始めるシューさんと目が合う


応えるように シューさんの唇を優しく噛む



シュー「ぅム…田歌…」


どんどん赤くなっていく彼の頬を確かめながら
遠慮しつつ舌を絡めて



シュー「…ンー…ぅあ…田歌ろの…」



吐息が乱れ、その割には私の肩を腰を
引き寄せるように
力を入れて抱き締める



シュー「ンー…ふゥ、あ…」


その目に涙が浮かんできたところで 唇を離した



シュー「…あ…田歌殿ぉ…」ハァハァ


『えと…こんな感じですか?』


シュー「こっこんな…はっ激しい口付け、どこで覚えて来たんです!?」涙目


『モツさんが前に』


シュー「はぁ?!」(怒気)


『貸してくれた映画でヒロインがしてたんです』


シュー「そ…そんなイヤらしい映画、見てはいけません…」(な、なんだ 映画か)


『えーっと…もしかして気持ち悪かったですか?』


シュー「きっ気持ち悪い訳無いでしょう!そんな…気持ち…良…モゴモゴ」


『モツさんが[これくらい出来ないと、好きな男の子はオチないよ]って言うから』


シュー「あ、あの悪魔の戯言は本気にしなくていいから…って…え??好き…??」


『何でもない…です』


シュー「…あ、あの…田歌殿?今、なんて…」


『ね、ねぇシューさん、扉、開いたよ?行こう行こう!』


シュー「ちょ…大事な事…待って、田歌殿…」



end



[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!