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☆クラシカ口イドの小説(短編)
色々しないと出られない部屋/シュー
[どちらかが愛を叫んで
パフェを食べさせ合って
お医者さんごっこしないと出られない部屋]



シュー「ま、また…ですか」


『…もう 諦めましょう、どうせ誰かのムジークですよ…』


『ほら…なんか 鍵が3つありますよ…これ、一つずつクリアしてけばイイんでしょうか』


シュー「そうですね、クヨクヨしたって始まりません…何々?愛を叫…ぶ?」


『シューさん、叫べますか?』


シュー「あ、愛って…だだだだ誰にです!?」


「誰」という人物の指定は無い…
シューさんに [私への愛を叫んで]と言ったところで照れに照れてベトさんへの愛を叫び出すに決まってる
少しでも私を意識してほしいならば…


『私への愛…なんちゃって、冗談ですよ』


「え、あ、え?」


『私のシューさんへの愛を、叫ぶことにしましょう』


「え?え?田歌 殿が?私への?え?」



鳩が首をキョロキョロ傾げる様に 戸惑うシューさん
私は構わず 口を開く


『シューさんはいつも優しい笑顔で音羽館の空気を和ませてくれています
私もいつも、シューさんに元気を貰っています
家事等にもさりげなく手を差し伸べてくれたり、おやつを分けてくれたり 凄く胸が暖かくなります』


シュー「え、あの…何か…照れますね…」


『落ち込んだ時、聞かせてくれる曲はいつも勇気をくれます
実は寝る前に思い出したり口ずさんだりして 反芻してるんです
夢でもシューさんに会えたらな…なんて思いながら』


シュー「へ…あ、あの、田歌 殿?」


『夢で 会いたいなぁって思う夜に限って ちゃんと出て来てくれないんですよ、シューさん
ベトさんの所に行ってるのかーなんて…
妬いちゃいます
夢の中なら、シューさんの事、独り占め出来るのに…そーゆーとこだけ意地悪なんですよ』


シュー「そ、それは私の所為では…って、独り占め…って…意地悪って…」


『そんなシューさんを、愛…してます』


シュー「━━!!」



あーあ 真っ赤になっちゃった
まだ…早すぎたかな?


『あ、見て見て シューさん、鍵が一つ開きました!やったぁ!』



ふっと視線を反らして この殺風景な部屋のドアに向き直った




━━━━━
シュー目線
━━━━━



叫んだ愛は…どの様な「愛」なのですか?
親愛?家族愛?兄妹愛?友愛?

問い質したい…
今すぐに…

だけど

また距離感を いつもの日常の空気で覆うのですね


田歌 殿

またはぐらかすのですか…
やはりここは 男の私から…口に、態度に、表に出さなければいけないのでしょう…

吁、意地悪はどちらか…




『次はパフェ…か、はい、あーん』


シュー「へ?あ、あーん?」


『美味しいですか?』


シュー「は、はい…田歌 殿も、どうぞ」


『あー…ん、美味しい!』


だ、だめだ、今は…タイミングが…
くそっ…絶対 後で…

美味しい…



『ふー ごちそうさま…あ 鍵が開いた!』


シュー「残るは一つですね!次は…?」


『お医者さんごっこ…』


シュー「…どうすれば…良いのですか?」


『ごっこ遊びですよ
んー…じゃあ 私が患者さんの役をするので、シューさん、お医者さんで。格好も何だかそれっぽいし』


イタズラ顔みたいな笑みの彼女と 向き合い、座る


シュー「コホン、今日はどうしました?」


『えっと、胸が痛いんです』


シュー「いけませんね、骨折でしょうか?」


『骨は折れてないと思います、内側が 苦しいんですよね』


シュー「内側?」


『シューベルト先生を見てると…』


シュー「━…」


胸が 跳ねて
私も苦しくなった


名前を呼ばれ、そんな上目遣いで 釘付けにされたからだろう


『フランツ・シューベルト先生のお声が耳から離れません、
指を触れて頂いた所は 火が灯ったかの様に熱い』


『寝ても覚めても、貴方が離れません…ねぇ、どんな病気なんでしょう…』


シュー「わ、私は まだまだ未熟者で…貴女の想いに応えることが…」


『……真面目ですね、シューさん こーゆー時は[風邪です]って、気付かないふりをすれば良いんですよ』


シュー「話を 最後まで聞いて下さい…」


『…』


シュー「そんな、未熟者の私なのですが…恐れ多くも、貴女と同じ症状に見舞われた様なのです…
か、勘違いじゃなければ」


『シューさん…』


シュー「ど、どうすれば 良いのでしょうか…」


『ホントに真面目すぎるんです…シューさん、視野が狭くなってません?
折角 貴方はまた生を受けたんだから、今度はもっと 自由に生きてみても良いんじゃないですか』


シュー「自由…」


『今までのシューさんを否定してる訳じゃなくて…上手く言えないけど、本当のシューさんが望む生き方…信じてあげても良いんじゃないですか?』


シュー「…」


『シューさんの心の広がりは新しいモノが生まれて行く事…幸せで、楽しい事です
もっと、もっと そんな幸福に満ちた笑顔を見せて下さい』


ハッと
何かの楔が外れる音が
どこかで して
何かを赦された

そんな感覚



『なんて、ごめんなさい、小娘が口が過ぎましたね』


その顔は何だか儚くて
気付けば、その頬を両手で包んでしまっていた
幼子をあやす様に
瞳を覗き込む様に

だって、心を重ねたくて



『え、シュー…さん?』


シュー「 田歌 殿は…優しい…」


『は…い?』


シュー「いつも 穏やかで、だけど的確だ」


シュー「私の症状も…見抜いていて…ホントにお医者さんですね」


『シューさん…』



さぁ、今からどうしよう

ラッパーの私なら好き勝手、奪ってしまうのだろうか
ヤーマンの私なら抱き潰してしまうだろうか




私なら、私なら、私なら
どうする?

施錠の解かれる音すら
耳に入っては来ない

そんな私なら…



end

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