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☆クラシカ口イドの小説(短編)
色々しないと出られない部屋/ショパン
[どちらかが愛を叫んで
パフェを食べさせ合って
お医者さんごっこしないと出られない部屋]



『あの、ショパンさん…また黙ってるつもりですか?』


ショパン「…」


『愛を叫んで下さいよぉ…』


ショパン「……ぃ」


『何か言いました?』


ショパン「そのセリフ、もっかい…言って」


『へ…あ、愛を叫んで…』


ショパン「目線お願いしまーす」


『あ…愛を叫んで下さ…って何動画撮ってんですか!?』


ショパン「いや、重要な事だから…」


『そ、そうなんですか?いや、そんな訳無いじゃないですか!ネットとかに流さないで下さいよ!?』


ショパン「するわけ…無いでしょ…」


『だ、だってショパンさん…しそう…』


ショパン「酷い 傷付いた。もう愛なんて叫べない…」


『えええええ、どうして…』


ショパン「知らない…… 田歌が愛を叫んでよ」


『えええええ…コホン、えっと…ショ、ショパンさんは…かっこよくて……
って何また動画撮ってんですか!?止めて下さいったら!』


ショパン「撮らせてくれないなら…叫ばせてあげない…」


『はぁ!?どゆこと!!』


ショパン「別に僕、たいした予定もないし…いつまでここに居ても不都合無いし…」


『な、な、何言ってるんですか!脱出出来ないと困りますよ?』


ショパン「……困るのは 田歌でしょ…だったら、田歌が早く叫んでよ、愛とやらを」


『どうしてそんな意地悪言うんですか…どうせ、私がショパンさんへの愛を今叫んでも、耳を塞いだり、聞いてくれないとか、私のことイジめるんでしょ?』


ショパン「…」


ぞくぞく、してしまう


『ホントに…どうして嫌がらせするんですか?』


僕を見上げて睨む
この娘の眼差しは扇情的


『歌苗さんのおつかい、行けなかったらショパンさんのせいですよ!』


大家さんの用事が絡んでるのか

恋敵との予定がある訳じゃないし…
それなら…まぁ、大家さん 怒ったら怖いし 可哀想かな

そんなつまらない困らせ方は本意じゃないし


ショパン「じゃあ、聞いてるから…愛、叫んでよ」


『ろ、録画しないなら良いですよ』


ショパン「何で録画、ダメなの?」


『は、恥ずかしいからですよ!あと、ネットに流…』


ショパン「ネットには流さない」


『………ほ、他の人に見せちゃうのもダメですよ?』


ショパン「しないよ、ただの記念だよ」


『き、記念…』



そんな勿体ないこと しない
この動画は僕だけの宝物

毎日、僕だけが見るんだ


『じゃ、じゃあ…良いですけど…って既に録画してる!?ぅぅう…』


もう頬が赤い…可愛…
思わず 口腔にじわりと溜まっていた唾液が 喉元を滑り落ちる



『ショ、ショパンさんは…モデルさんみたいにカッコ良くて、美形だし 才能に溢れてて…皆の憧れだと思います!基本的に神経質なところもあるみたいだけど、繊細で…』


ショパン「ストップ」


『へ…?』


ショパン「それ…別に、愛じゃなくない?感想とか評価とか…ただの客観視みたい…
きっと、必要なワードは、確固たる[愛]という穢れ無き無垢…」


『わわわ、分かりましたよモウ!』



困惑した声、少し涙目になった彼女は 最早 罪深い…


『ショパンさ…ん!あ、愛してまーす!!』



叫ん…だ
大きい声で

きっと恥ずかしさに負けて絞り出したんだろう

口元が少し震えて 眉が下がって
だけど、精一杯 僕と目を合わせる


可愛い



満足だ
この画は
堪らない


ドアのロックを解除する一つ目の音を許そう



━━


ショパン「じゃあ、次は 僕の番かな…はい、どうぞ…」


ご褒美だよ…


『あ パフェ?』


ショパン「食べさせてあげる…」


『わ、わぁ 頂きます…美味し!』


素直に 僕の差し出すスプーンから食べる
さっきイジメてしまった悪い男に
容易く、またこんなカオをするなんて


『あ、ごめんなさい、私もショパンさんにあげます、はい あーん』


………無防備
なんて無防備なんだろ


ショパン「僕、今あんまり甘いものの気分じゃないから…全部、食べさせたげる…」


『あ…ですよね、ごめんなさい、私がスプーンに口を付けちゃったし…ごめんなさい!』


ショパン「僕が食べたいのは…そのパフェを食べた田歌 なんだけど」ボソ


『え?なんて言ったんですか?』


フフフ…小さい声で呟いたもんな、パフェに夢中で聞こえないよね…


ショパン「田歌が口を付けたパフェが嫌な訳ないでしょ?」


「僕の手から給仕される白いモノを美味しそうに食べるそのカオが見てたいだけ」


『なんだ、意外と世話焼きなんですね?』


イヤらしいワードもスルー
…いや、いいよ…可愛いよ、それでこそ 田歌だ

だから 少し、また


『あっ』


ショパン「手が滑っちゃった、ごめん」


わざとらしく 君の頬っぺたにスプーンを走らせ、アイスを付けて


ショパン「ソレ、食べさせて」


アイスのついた頬にペロりと舌を這わせ


『ひゃあ!』


耳まで食み


『ちょ、わ ショパンさ…そんなとこにまで パフェ付いてないで…ひゃ…ン!』


唇で弄んだりして


『や、やだ…くすぐった…くぅぅ…』


イジメたりする


ショパン「美味しい…」


『も、もう!変な事しないで下さい!』


少し暴れて顔を僕から庇う様に逃げ


『次のお医者さんごっこは、私がお医者さん役をやりますからね!』


と 怒られた
この後の展開を予想されていたらしい


嗚呼、もう二つ目の鍵が開いてしまった


━━



『さぁてショパンさん、今日はどうしましたかぁ?』


ショパン「田歌先生…胸が、苦しいんです」


『胸ですか?』


ショパン「 田歌先生を見ていると、動悸とか…切なくなったり、胸が…変なんです」


前髪を少し分けて 少しずつ距離を縮めて
目を細め、君の眼を魅る


ナルシストではないけれど、これは結構 仕掛けているつもりだ



『ショパンさん…そ、それは…』


もう一圧しか

思わせ振りに唇を濡らして 更に近付く



『それは、良心の呵責ですよ』


ショパン「は?」


『わ、私のこと よくイジメるじゃないですか、だから、その胸の苦しさから解放される処方としては、もう 私に意地悪しない!コレですね』


ショパン「…」


『わかりました?』


ショパン「アイタタタ!頭、今度は頭が痛いよ」


『ええええ…仕方ないな…』


ドアの最後の施錠が開きそうになったから
まだこの茶番を続けようと、悪あがきに出た

そんな僕の頭を撫でて彼女は呪文を唱える


『痛いの痛いの、飛んでけー』


柔らかい、僕よりも小さい手
何だかとても気持ち良い…


ショパン「………もっと…」


『わ…どうしたんです、ショパンさ…』


ショパン「思えば…昨日とかあんま、寝てなかった…お願い…」


『ぅ…し、仕方ないなぁ…』


ショパン「そのまま…撫でてて…」


彼女に 半ば無理矢理 膝枕させて
髪を撫でさせた

僕のワガママ
いつもこんな風に聞いてくれる

君は とても優しい


甘えっぱなしじゃ きっといつか愛想を尽かされてしまう

わかってるけど
だけど



ショパン「今だ…け…」


『…』


『寝た…?』



━━━
━━━━━━
ヒロイン目線
━━━━━━



寝ちゃった…
ショパンさん…疲れてたのかな

こうしてたらカワイイかも…


いつもイジメてくるけど 好意を…感じられるイジメだから、許しちゃう


鍵、開いた音がしたけど…しばらく出られないや




end

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あきゅろす。
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