☆クラシカ口イドの小説(短編) キスしないと出られない部屋/ベト [キスしないと出られない部屋] ベト「な、何だココは…こんな…こんな不条理があって良いのか…??」 『キス…?』 ベト「クッ…破廉恥な!おーい!開けろ!!誰か居ないかぁ!?」ドンドン 『む、無理そうですよ?頑丈なドアだし』ビクッ ベト「クッ…キス…だと」 『ど、どうしましょう…』おろおろ ベト「…!!」ズイッ 『ベトさん、顔 近…』 彼は突然顔を近付けて来た まさか予告もナシにされるの?と一瞬身構えるが ベト「うぉぉぉぉ!開けろ開けろぉォォォ!!」ドカバキ 強い勢いで扉に向き直り、癇癪と叱責をぶつけるのだった ━━━ ━━━ ━━━ ベト「ぜー はー ふー」 『…お腹減りました…』 ベト「ぬぅ…そういえばギョーザーの仕込み中だったな…クッ…急がねば…!!おい歌う小娘!」 ガシッ 『へ』 私の両肩を掴み、向き直らせる ベトさんの顔は どんどん赤く染まって行く ベト「これはあくまで緊急事態であり、必要不可欠事項によるミッションコンプリートのための…」 『は、はい…解ってます…』 ベト「決して性的な渇望の成せるリビドーの悪戯などでは…」ブツブツ 言い訳がましいなぁ 喧しくて恥ずかしいしどうしよ… もう…目を閉じちゃえば勝手にしてくれるよね? 胸、ドキドキひどいけど 一瞬、我慢したら外に出られるんだ… 緊急事態だよ、仕方ない 大丈夫大丈夫… 『…』ツブッ ベト「…!」(目を…こ、これは…) 嗚呼 目を閉じてしまっても、分かっちゃう ベトさんの呼吸 鼻息、ちょっと荒… ━チュ 一瞬だった。 触れるだけのキス… 優しいかなんて判らない きっと子供同士がするみたいな… 不器用なキス だけど 温かくて 素直で… ドキドキ しどろもどろしていると 機械の重たい音がした 解錠されるような響きに 振り向くと 『あっ ドアが』 ベト「開いた…な…」 やっと脱出できた、と 安堵するも 部屋を出る瞬間、見合わせた顔 目が合うとお互いにそっぽ向いてしまったけど、 サッと 手を引いてくれた貴方へのドキドキにどうしよう さっきまで怖がっていた私への、ベトさんなりの思いやりだろう 嗚呼…頬が熱くなるばかり end [次へ#] [戻る] |