☆銀魂の小説(真選組/長編) 恋にマヨう魂の部屋([マヨ魂]の続き) あれから、私は この恋心を 深く深くに沈めることも出来ないままだった 嫌われたくない思いと もう駄目だろうな、なんて諦めを、 薄暗い夜の中で瞳に浮かべながら。 雨に沈んでいたい心とちぐはぐに 犯罪者やテロリストに八つ当たりし続けて誤魔化していた ━━━ ━━ ━ 近藤「今回の案件は機密事項が多い為に、少数精鋭で事に当たって欲しいと思う」 山崎「天人が違法に持ち込んだ空間形成装置の解読を目的としていますが、何が起こるか不明な点が多く、この人選となりました」 『……私と 副長の二人なの…??』 山崎「はい……何かあったときの対処も迅速で成功率も認められる人選かと……」 土方「御託はいい、俺達でこの部屋に入れば良いんだな」 『(最悪…)』 山崎「はい。この部屋だけが、特殊な空間になっていて[設定された条件を達成しなければ、施錠が解除されない]という 作りになっているそうです」 土方「おい、大丈夫なんだろうな?異空間に飛ばされたり、誰か死んだりケガをしねぇと施錠が解除されないとか言うんじゃねぇだろうな……」 山崎「命の危険を脅かす条件は設定が出来ない安全装置があるらしいです」 『もういいよ、早く仕事終わらせて寝たい』 そう、土方さんの顔なんて 久々に見た いつも 勝手にどっか行っちゃうし 私の気持ちなんて、考えてくれてなそう このまま、フェードアウトしておいた方が 穏やかに幕を下ろせるかもね もう 一緒の仕事はこれっきりにしちゃおうかな 真選組なんか辞めちゃって、万事屋になっちゃおーかな 見廻組になってみるとか…いっそのこと海賊とかになっちゃうのも… 土方「よし、行くぞ 仁和」 彼に名前を呼ばれて 現実に引き戻された 少し跳ねた胸の奥を 風に乱れた髪を直すみたいに、宥めて 気の無い返事で取り繕った 真選組に包囲されたビルの、この部屋のドアを開けたら 何が起こるか分からない 「無理はするなよ」と 気遣ってくれる近藤さんに目配せをして 土方さんの後ろに続き ドアをくぐった時 施錠音らしき鈍い音が響いた ━ガチャン━ 土方「!!」 『…!』 殺風景な事務室風の室内を感じさせていたが、突如 視界は白く歪んだ 不穏な空気を感じて 刀に手を掛ければ 次は機械音が流れた 音声「━━しないと出られない部屋」 土方「あん?何だと?」 音声「このルールは絶対です。ここは━━しないと出られない部屋です」 『ジミーの言ってた[特殊な空間]てやつか…どうやら、条件を説明してくれるみたいだね』 音声「ここは、5分間抱き合わないと、出られない部屋です。脱出したければ、5分間抱き合って下さい」 『は??』 土方「…フザケてんのか?なんだってこんな…」ドカッ 土方さんは閉じたドアを蹴る しかし、蹴ったドアはまるで絵に描いモノのように現実感が無い 土方「な…」 『特殊な条件を達成しないと脱出できないっていうのは、ホントみたいだね…』 土方「…チッ…ほら、やるぞ 仁和」ポリポリ 『やだよ』 土方「なっ」 『何であんたと抱き合わなきゃいけないの。ずっと私のこと避けてたくせに』 土方「さ、避けてねぇ!仕事で…」 『はいダウトー、仕事だけで忙しかった訳じゃないでしょ。前は会ってたー』 土方「…ッッ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |