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☆銀魂の小説(真選組/長編)
Hold me tight 2
そこで
ふと、眩暈がした

寝不足だったか?
最近は休みがなかったせいか?
いや そんなのはいつも通り…
ヤニ切れか?
いやいや さっき吸ったしな
疲労感ならまださっきの一服でボケてるハズだ
こりゃ 仕事明けは早目に睡眠を取ってとくべきか…


『どうしたの?土方さん、大丈夫?』


土方「あ、ああ 何でも…」


俺を気遣った仁和
に視線を合わせて気付いたが、なんとこの路地裏の狭い事か


土方「…!!!」



互いの顔が至近距離で近付いていた。


『………近、い…ですね』


土方「っ……仕方ねぇだろ…」


『我慢、して下さいね…』


眼を反らしながら言った仁和
の睫毛が揺れる

思わず この口元を引き締めるが 俺は仁和
から目が離せない

その瞬間が、やけに艶めいて
この身がざわつく


耳が 燃える


そして
また目が合って


何も言わず
何も言えず
自覚した時間が止まって

何かを悟った様な気配の俺達だった


━━この距離は━━
と、
確かに 互いに
悟った

高まる期待に 気付いて


俺は衝動を 抑えた

抑えたのに

先に動いたのは仁和、で


くいっと
彼女が顔を上げて この唇とその唇を、重ねた。

軽く、触れるだけの唇で━━━


土方「…!!!」


『…』


重ねられた体温の柔らかさで
意識を掴まれたかのように
火が着いた、という具合で
俺も唇を、彼女に押し付けて応えてしまう


だが、これ以上はしない

俺の舌は
仁和の中に 入れちまいやしねぇ

しねぇよ


抑え 切れ


連日勤務により 疲労困憊
理性より本能的になってる現在


頭の血管がぶちギレそうな位の
タチの悪ィ口吸いを受けて

抱き締めたいその肩を
どうにかこうにか
逸らして

怺(こらえ)る
俺の理性を嗤うように


『我慢して、って 言ったのに…』


と 高水準の目配せを 寄越しやがる


━━これ以上 見詰めてはいけない━━


だから、だから
咄嗟に背を向けた。


━━見惚れてはいけない━━


だから無言で背を向けたんだ。
なのに


彼女の腕は、俺の背中にしがみ付きやがる


『キス、するしか無いって距離で ホントにキスをしちゃうのは…』


『そーゆー事、だよね?』


俺を背中から抱き締める仁和の腕に、力が入る


『ねぇ?』


やや しつこい問い掛けに 叫びたくなる衝動すらあるが
言葉選びは慎重にしたい



土方「……」


土方「何で俺なんだよ」


『さっきのキスが理由じゃ、ダメ?』


土方「キス?」


『キス、したくなるのは 土方さんだから…ってこと』


土方「…」


『ビートが上がってるのは、土方さんのせい……』


こんな拙い 説得力の無い感情論の言葉に、説き伏せられた…
この女の腕から 抜け出せない



『二人とも 口付けへの思いがあるから、今のキスが━━』


土方「ちょっと 黙れ」


仁和の顔を、ぐいっと
俺の方へ向けて上げたらば、ただ
不器用にも
真剣にも

また この

唇を押し付けた。
それは 多少、衝動のままに。



『……ハッキリとは、しない男なの?土方さん』


土方「今ので…ハッキリしただろうが」


『(意気地無し)』


踊らされているようで
踊ってしまっていた俺は、
不器用だった。

加速する、この女欲しさに
飛び込めない


届けたい声をつぐんだのは、そんな資格など無い俺の
なけなしの理性だった。


そうか
今朝の夢は
純粋な俺の欲望で、要望で、ただの[願望]だったのか


攘夷浪士の発見を連絡する事を忘れ
暫く この胸を鎮めていた



end



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あきゅろす。
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