[携帯モード] [URL送信]

☆銀魂の小説(真選組/長編)
1―ジョロキアの傷
『こんにちはー』


新八「あっ 仁和さん、いらっしゃいませ」


神楽「おお!!仁和アル!」


銀時「おっ 仁和」


『支払いの分割、これで最後ですね』


銀時「おお、毎度ォ!!
またいつでも困った時は相談しなさい」


神楽「よく言うね、銀ちゃん
この前の仁和が依頼を持って来たときは文句ブリブリ垂れてたアル」


『まぁ 面倒だったもんね、あんなお願いじゃ
けど、ありがとう
とても助かったよ
こんなこと頼める人、他に居なかったから』


そう言って彼女は持って来た包みを差し出した
「新八君、これみんなで食べて
もう文無しじゃないから買っちゃった」


新八「わぁ、シュークリームですね!ありがとうございます」


神楽「うほほー!さすが仁和アル!」


銀時「おう、気が利くじゃねぇか」


━━━━
新八目線
━━━━


真選組の帝畿 仁和さんは 成り行きで十一番隊長になったらしい


江戸に来る前の事は記憶喪失で覚えていないそうだ


か弱い女性肩にのし掛かるのは 大変な試練だっただろう


『手柄を取れなきゃ肉便器』


あの沖田さんにメンチを切られたと憔悴していた


―「見返してやりたいんです…でも何をすれば男達の鼻を明かせるのか解らないんです」―


そう言った彼女に銀さんは
妙案を出し、手際良く複数の事件が解決していくように進めていったのだ


勿論 真選組のみんなには漏らさないよう、守秘義務ありきで

何だかんだ言って 仁和さんは
結構自分の力で乗り越えていけたように見えたなぁ

だから銀さんも評価してる

彼女の特殊能力は不思議で突っ込み所が多いけど
悪い人じゃないと思うし

天人って訳でも無そうだけど…本当に不思議な能力だ。

あまり自分の事は話したがらないけど、銀さんや神楽ちゃんとも打ち解けて来ている


あれ…??毎回 時間があるときは何かしら差し入れてくれるからか…ハッ…餌付け…??



―『どうしても行く所が無くなったら
此所に来い』―


銀さんがあんな事言い出すなんて
ちょっと予想外だけど…

お通ちゃんほどじゃないけど可愛い人だもんな
お通ちゃんほどじゃないけど


ガシャーン
コラー サダハル!オレノシュークリームクウナ!


ドタバタ
ギンサン マダアルカラ ホラ


ギンチャンガタベナイナラ アタシガモラウneー!



新八「ってちょっとソレ僕の分じゃないのかよ!待ってよー!」
ワイワイ


―――――
━━


━━━━━━
ヒロイン目線
━━━━━━


銀時「よーし 今日はゴキゲンだぁ
収入も入ったしカラオケでも行くかぁ」


私が持ってきた収入によって浮足立ってる銀さん

神楽ちゃんは演歌、新八はアイドル、
大いに飲んで唄って騒いで楽しんでいた

フードやドリンクのオーダーは面倒見の良い新八が細やかにしてくれる

また メニューを見ながら新八が部屋の中 設置されている受話器を取った


ガチャ
新八「すいません、ジョッキとオレンジジュースお願いします」


神楽「仁和、あんまり唄ってないね 曲、入れるといいね」


『ありがとう、あんまり歌 知らなくてさ
だから神楽ちゃんやみんなの歌を聞いて覚えたいんだー』


銀時「おいおい、神楽も新八も 仁和に覚えさせる程歌は上手くねぇぞー」ガッハッハ


神楽「ヒドイね銀ちゃん、こーゆーのは気持ちが大事よ」


『アハハ、大丈夫 みんなの声を聞くの楽しいから
思い出したら私も選曲するから 唄ってよ』


神楽「仁和は解ってるアルなぁ!よーし 私の歌を聞けぇー」


神楽ちゃんがノッていると


店員「ジョッキとオレンジジュースお持ちしましたぁ!」カチャ


新八「はい、どうも…って」


銀時「ヅラじゃねぇか!」


店員桂「ヅラじゃない、桂だ!」


『(うわ…指名手配の…本物だ…すごい)』


銀時「また おまえは…なんでカラオケ屋にいんだよ…」


桂「いや、な
この店には真選組の連中が結構 客として来るのでな
情報収集にちょっとな」


『…』苦笑


神楽「真選組…仁和も真選組アルなぁ」


桂「なっ リーダー、何処に真選組がいると言うのだ」キョロキョロ


銀時「いや だからこのネーチャンだよ」


ジッ、と
切れ長の目で見つめられる


本当に「貴公子」とか呼ばれるだけあって その美しい目鼻立ちに息を飲んだ


桂「はっはっはっは
馬鹿を言うな銀時、彼女は女性ではないか」


銀時「特待生だとよ」


ジッ、と
もう一度見つめられてしまう

女の私でも
太刀打ち出来ていないであろう風体はついつい目が泳ぎそうになる


桂「はっはっはっ
こんなに か弱いニョショウがか?銀時、おまえも冗談が下手だなぁ」


『…いいよ、銀さん 私は今一人だしオフだしこの人に恨みは無いし…見てない見てない
うん、この人はただのカラオケの店員さんだよ』


素晴らしい美声だなぁ…んんんんん


銀時「仁和…おまえ…」


神楽「出来た女アルなぁ」


新八「桂さん、感謝したほうが良いですよ…」


桂「ふぅむ、そうか
良く解らんがありがとう、仁和殿」


桂…
美形長髪眉目秀麗
生真面目で冷静沈着と思いきや
仲間思いで情熱的な一面もある、逃げの小太郎

声…ほんっと素敵だなぁ…ウフフ涎が…



新八「仁和さん…なんか心の声のつもりですか?漏れてますよ」


銀時「あれ?意外と褒めてるの?」


『桂さん、1曲唄ってくれませんか?』


桂「何?俺の歌を聞きたいんですか、お客さま」


『勘違いしないでね、桂さんが好きなんじゃない
桂さんの!声がッ!好きなだけ!!』クワッ



新八「えっ 仁和さん、桂さんみたいなタイプが好きだったんですか…」


銀時「えええぇぇぇ 大穴すぎるだろ 、真選組隊長と攘夷志士トップだぜ…」


神楽「ロミオとジュリエット アルな」(歌い終った)


『いや、好きなのは声だけだよ
かつラップとかで良いや、早く早く』


桂「何っ 貴殿はかつラップを知っているというのか…さぞや名のある活動家なのではないか?」


『んな訳ないでしょ、生のかつラップ聞きたいだけだよ』


桂「いやぁ こんなところでお会いできるなんて光栄です、攘夷グループには入ってるんですか?」


新八「なんかややこしくなってきましたね」


銀時「かつラップって、ヅラが適当に唄ってたヤツじゃねーの?」ハナホジ


神楽「やるなら今しかねー♪ヅーラ♪」


『ほら神楽ちゃんも唄ってんじゃん、早く早く』


桂「あ、ではコレ名刺です、宜しければ今度一緒に会議に参加しませんか」


『あら、では私の名刺もどうぞ
それ以上歌わないとこの名刺、真選組に売っちまうぞ』


桂は仁和から受け取った名刺に目を通す


―真選組十一番隊隊長、帝畿 仁和―


静まり返るカラオケボックスの個室


桂「あーっはっはっはっ」


桂「いや、ここまで力が入っているとは感心しますなぁ
本物に似せてますなぁ」


新八「いや本物ですってば」


桂「真選組には十番隊までしか無いですもんねぇ、はっはっはっ」


『私が入隊したせいで増えたんですってば』


桂「まさかスパイ活動までやってらっしゃるんですか?はっはっはっ」


『銀さん、私だんだん腹が立ってきたよ』


銀時「逮捕しちゃいなよ」


あまり銀さんの知り合いとモメたくはなかったが…どうしたものか、と
溜め息を吐いた瞬間の事


どか―――――――ん!


━━━轟音が壁を崩す


[次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!