[携帯モード] [URL送信]

☆銀魂の小説(真選組/長編)
6―おにぎりの香り
空をふと見やると 重く垂れ込んだ鉛色

これは一雨来そうだ
やや強い風も出て来たので速度を上げる


早く…早く屯所へ…

この気持ちに、素直に向き合ってみようと思える勇気をくれたジミーに、あとでお礼しよう…
アンパンだよね、やっぱり!アンパン沢山買ってきてあげよう…


━━あんパン、別に好きじゃねーし…いらねぇよ━━

そう げんなりした顔で睨む 彼の顔を思い出しながら、決めた瞬間だった


「どん」


頭に鈍い痛みを感じて
身体が重たく崩れた感覚だけ残しながら、ぐるりと世界が暗転したのだ


━━
━━
━━
━━


あれ

ここは

何処


眠っていたのか頭の奥が仄かに痛んだ
少し視界が揺らめく


「よぉ 真選組の十一番隊、帝畿隊長さん」


声がした方を直ぐ様 振り返ると、悪人面の二人組がこちらをニヤニヤと見ている
これは…もしや 拐かされたのか


『誰…?攘夷浪士?』


浪士「ご名答」


『あっ、貴方達の目的は…』


そこまで言いかけて、自分の手が拘束されていると気付く


『…その辺のチンピラには顔を安売りしてなかったハズだけど』


浪士「おまえさんはそこそこ有名さ…俺達の間では。あの真選組局長の嫁さんなんだろ?」


『何情報だよ』


浪士「…違うのか?」


『うちの局長は…今も昔もキャバ嬢一筋だよ
てか付き合ってるって噂なら未だしも、嫁って…』


浪士「うーん、確かにこんなガキ…言われてみりゃガセっぽいもんな…」


『ガキだぁ…?ったく レアな女隊士だからって みんな邪推しすぎ、セクハラかよ』


浪士「フン…女だてらに その物怖じしねぇ面構え 流石に真選組だなぁ」


━━━
━━


━屯所━


土方(ったく…近藤さんにも困ったもんだぜ)


山崎「あ、局長、副長」てくてく


土方「ん?ザキ お前1人か?仁和はどうした?」


山崎「へ? name_1##なら先に帰らせましたよ? 」


土方「は?仁和を1人で帰らせたのか?」


山崎「れ、例の件でとてもデリケートな状態だったので、勇気付けてアドバイスしたら屯所に走って向かってったので…帰ってませんか…」


土方「…!!」


近藤「例の件?なんかあったの?」


━━━━
━━━
━━


『どっかに爆弾仕掛けたとか
真選組が乗り込んで来るの待ってるとか
誰かを罠に嵌めようかウズウズしてるとか
そんな所かな?浪士さん達』


ほとんど当てずっぽう
ジミーみたいに揺さぶりをかけたり、情報収集が得意じゃないもんなぁ


浪士「 ああ、ついでに新政府軍要人の暗殺くらいはこなして帰ろうと思っているさ」


浪士「おまえには 俺達が逃げる間までの人質になってもらう」


浪士「 あと3時間程で爆発騒ぎが起きる
見張りや見廻りの数は奮発したんだぜェ」


あ 全部教えてくれるんだ…

憎たらしい顔に降りた下卑た笑顔に嫌悪感が止まらない


それより拘束を解かないと見張りも見廻りも相手に出来ない
特殊能力に頼ってたら 物理攻撃が追い付かないもんな…
相手は手練れが複数だとして…私一人で突破できるかな?


そんな作戦を練り上げて 期を伺っていた所だった


「うおおおぉぉぉぉぉ」


『!?』


新手か?雄叫びが近付いてくる

あれ
けど聞き覚えのある声


近藤「おおおぉぉぉぉぉ仁和―――――!!」


入口の前に立った長身に この目は見開く

悪党を蹴散らし駆けて来たのは 彼だったから


『なっ』


近藤「大丈夫か!酷い事されてないか!」


まじまじと見詰め、呆けて仕舞う

助けに…来てくれたの
近藤さん自ら?

今までの緊張が弛んで涙線も弛んだ


『ってアンタ 局長でしょ!前戦に立つなよ!』


近藤「言ってる場合か!!逃げるぞ!」


手の戒めを解き 私を抱えて走り出す


『ひゃあぁぁぁぁお姫様抱っこ!?』


こんな時に目がハートになる!動悸で苦しい!メイク直したい
ああもう思考が追い付かない


沖田「盛ってんじゃねぇ チビゴリラ」


視界に入ってきたのは
呆れつつ立ちはだかる浪人を薙ぎ倒し退路を確保するついでに、悪態をつく沖田だった


『誰がチビゴリラ!?』


沖田「近藤さんに抱えられてるチビっこいのを見てりゃ誰しもがそう思わぁ」


『うっせ!!ドSボウヤ!!』


抱えられたまま
駆け抜けてく敵地

思ったよりも敵の数は少なかったので 脱出は困難ではなかった

攘夷浪士共の頭数、奮発したんじゃなかったのかよ…


『ってそうだ!要人暗殺計画があるそうです!早くなんとかしないと!』


近藤「大丈夫、それなら山崎達が今動いてくれている」


『え…速ッッ てゆーかどうして 私の居場所が分かったんです?』


沖田「どっかの変態ストーカーが女性従業員の隊服に発信器引っ掛けてたおかげの功績ですよね
いやぁ さすが近藤さんだ」


近藤「総悟ぉぉもう少しだけ包み隠してまろやかに説明して欲しかったなぁぁぁぁぁ」


『やっぱ…変態ストーカーなんだなぁ、気持ち悪いなぁ』沁々


近藤「うッッ 違うよ違う!違うったらぁ」



[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!