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☆銀魂の小説(真選組/長編)
地味にこっそり3(完)
『けど?…もしかして 切ない思い出?』


「…」


傷口を無邪気にリフレインさせる仁和に少しイラついた瞬間だった


『隙アリ』


「ぶお」


俺の口に酒瓶を押し込められた
トクトクと体内に液体は注がれていき、食道から胃へと流れる


「げぶぉがふぉ コレ、お酒?ちょ 俺、勤務中なんだけど!」


『元気の出るお薬だよ、こんなモン』


そういや このコも酔っぱらいだったっけ


こーゆーヤツには何を言ってもムダだ


そう考えると 何だか全てがアホらしく思えてきて、良くないスイッチが入る


「うおおおお これが飲まずにいられるかぁぁぁぁぁ」


『そうだそうだー』


かくして 可笑しな酒盛りが始まってしまった
こんな所、副長にでも見られたら…

いや、もーイイや なるようになれ


━━━
━━



「ウィー…大体 沖田隊長はさー」


『うんうん』


「絶対チャイナさんの事好きだろ…フラグ ビンビンだっつーの バカヤロー」


『うんうん、ジミー 落ち着いて』


「これが落ち着いていられるかって…」


仁和に向き直り 言い掛けた時、

また 彼女はやりやがった


俺の頬に


その柔らかな唇を押し付けて来たのだ


「…」

『元気の出るお薬…』



そう ニッコリ笑う仁和に戸惑いより先に
やはり苛立ちを覚えた


「…そうやって、気も無い男を 唇で翻弄するのが」


ずい と顔を近付ける

やはり見くびられている所もあるのだろう、
少し嚇かしてやろうと 目を細めて続ける


「いかに残酷でコワイ事だって…仁和は知ってるの?」


『知らない…教えてよ』


とんでもない事を言ってきた


目を潤ませて 頬を赤らめて

この悪魔め

何が目的だ

モテない俺を惑わしやがって


音は控えたものの 壁ドンで威嚇


「お遊びも大概にしないと、ヤケドしちゃうよ」


『させてみてよ』


顔色は極力変えない様に、悟られない様に、

彼女の首に手を添えて、
ゆっくりと顎にスライドさせる


これまた顔色をちっとも悟らせようとしない、
しかし頬だけは素直に色付いた 可愛いげの無い彼女の
唇をそのまま奪ってしまうのは容易そうだ


だが
それじゃ この悪魔の思う壺だ


そうだ…
俺に降りかかった災難は
全て彼女が仕組んでいる事だったのではないだろうか

恋の行方、俺の地味さ、昨日100円玉をトイレに落とした事すら…


なんて 今考えると
完全に病的な酔っぱらいの被害妄想なんだけど


疲労時に入った 悪い酒に抗えるはずもなかった


そして
心とは裏腹に
そっと この悪魔の頬にキスをする


『…』


間を置いて、彼女の顔はみる間に熱を持つ

そっと自分の頬をその白い小さな手で包み、瞳を潤ませている


「ほら、ヤケドした…」


それみたことか と
冷えた微笑みを返す


『全然!ヤケドには程遠いし』


「顔、赤いけど」


『お酒のせいだし お酒飲んだから お酒のせいでしかないよ』


「目が泳いで…」


『私をヤケドさせたいなら…此方でしょ』


そう 俺の人差し指を 両手で包んで 唇で軽く噛んだ


いつもなら この上目遣いに 何も言えず固まってしまっている所だろう

だけど 今日の俺は違う


「へぇ?」


噛まれた人差し指を
仁和の口内に挿入する


『っっ!?』


「舐めて」


『…!』


小さいカオだなぁ
なんて他人事みたいに呟いて


犬歯を撫で、奥歯をなぞり
指の出し入れを暫く続ける


「音、立てて 聞かせてよ」


意外にも素直に
舌をうねらせて 唾液を跳ねさせて
何とも形容し難い 熱の混じった音を立ててくれた


仁和は涙目で俺を睨む


涙ぐむ位なら やんなきゃイイのに


嗚呼 もう
可愛いな

このまま、欲望のままに組み敷いてやろうか


ちゅる と 音を立てて 仁和の口内から指を引き抜く

『ん…!』


その唾液まみれの指で仁和の首筋をなぞる


「仁和にはわからんよ…こうまでして高められ、
もしかしてこんなことさせるなんて俺の事好きなんじゃね?とか思わせといて
[やっぱナシだった]みたいに蹴落とされる男の気持ちは
[酒のせいだ、欲求不満のせいだ]って後から無かった事にする算段なんだろ

わかってるんだ、このビッチ、悪魔め

俺がどんな気分で居るかなんて どうでもイイ癖に…」ブツブツ


『へ?』


「ヤケド…だぁ?おまえにさせる前に こっちがヤケドしちまわぁ!
万事屋の旦那に[ジミーは地味だからキョーミ無い]とか言ってたくせにぃぃぃぃ
傷付くわ!!」


『え、あの、それは照れ隠し…』


「ちくしょおおおおおぉぉぉバカにしやがって!!もう知らん!!張り込みの続きは仁和がやって!俺 寝る!疲れたの!もう寝るから!傷付いたし!」


『…』


俺は布団に滑り込んだ

それから きっと眠ってしまったんだろう


正直 断片的にしか 昨夜の出来事は覚えていないけど


朝起きたら 彼女の姿は既に無かった

代わりに、カッターか何かの刃物でズタズタに切り裂かれたあんパンが壁に磔にされていた


いくらお酒の所為だとは言え、 仁和様に調子こくのは もう止めようと思いました


……作文……


━━━
━━


━━━━━━
ヒロイン目線
━━━━━━


バカバカバカ
ジミーのバーカ

結構勇気を振り絞ったのに…
ほんとにデリカシーが無いし 配慮も無いし

もう私から 好き、なんて言わないんだから
絶対絶対 言わないし!
バーカバカバカ


end


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