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☆銀魂の小説(真選組/長編)
地味な傷2(完)
彼が敵地に一人…?


居ても立ってもいられなくなった
走り出そうとした腕を捕まれ 制止される


土方「馬鹿野郎!おまえ一人で行っても ミイラ取りがミイラになるだけだ」


『は、早く…行かなきゃ!副長…ジミーが…』


土方「そう易々とは殺さねぇハズだ、奴らの要求は収容してるテロリスト幹部の解放だろう」


『テロリスト…』

土方「あと少し待てば応援が到着する、おまえは休んでろ」


『私は冷静です!作戦もあります!だから…同行させて下さい!』


土方「…」



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一時間以内に さっきの廃ビルの周りを真選組が取り囲んだ

往生際が悪く ビルの内部に幹部らしき男が数名、縛り上げたジミーを抱えている



幹部「お前が交渉人かぁ…貧相な身体だな、ガキじゃねぇのか?」


下品な笑みを浮かべた幹部と対峙したのは、男装した私


女じゃナメられるしバレて良い事なんて無い、
優男なら油断するだろうと 副長が考えた

出来るだけ低い声で毅然と言葉を並べる


『人質を解放しなさい、今なら手荒な事はしません』


幹部「ガハハハハ、どんな手荒なマネをしてくれるんだ?
そっちこそ、収容所に居る相棒を解放してくれよ…急がないと…」


そう言って銃をジミーに向けた


どうしよう、既にナメられてる
まぁ こんなナリだもんな

いいさ あとは特殊能力(ちから)を使うだけだからあんま関係無い!


『貴方達の要求は分かっています…とかなんとか言うのかと見せ掛けて
エイエーイ!!』


幹部「…?」

「なんだそりや」

「ハッ、フザケてるとこうだぞ?」


パァン


銃弾が私の頬を掠めた
ヒリッと 焼ける様な痛みが顔の皮膚を裂いた


『フザケてなどいません、もう少しお待ち下さいませんか』


まだだ、この人数に一斉に術をかけるのは時間がちょっと掛かる

あと数秒…


━パァン━


また渇いた銃声が響く


少し遅れて、自分の腹部に痛みを感じる

あれ?生理??そんなバカな


山崎「仁和!」


ぬるりと 生温かい液体の感触がした
防弾具の隙間に丁度 命中したらしい


幹部「…」


術の効果でようやく惚けた幹部達
表情が物語る、だらしなく開いた口
ある者は失禁し、ある者はその場に立って居られない


腹部に放たれた弾丸は多分故意にではないのだろう

極端に、幹部達の警戒心をかき消してやったのだ、反動で身体が動いた様子


うん…今度から気を付けよう


そんな事を 妙に冷静に考えながら


幹部達を蹴倒して こちらに走って来るジミーの無事を確認して、私の意識は闇に落ちた


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夢を見ていた気がする


朧気な昔の夢

そう言えば 最近、夢を見ていない

このまま 闇に流されて 私と云う存在は無くなってしまうのかな


少し寂しくなった

まだ 何も出来てない、
この気持ちを伝える事も…


次の瞬間、世界が大きく揺れて 私の名前を呼ぶ声がした


仁和


仁和!


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━━━━━


「仁和!」


『ジミー…』


涙…?


山崎「仁和…」


泣いてる…?


綺麗な目 前髪、揺れてる


それから 他愛無い言葉を交わした気がする


ああ 私、可愛げ無いな


頑張ったけど 何だか気恥ずかしいよ

ホント、平静を装って 恩着せがましく笑うだけで精一杯


いつか その頬に触れられたらなぁ

貴方は気付いてなんか 無いんだろうなぁ


けど
彼が息災で何よりだ


確認して あとは意識が宙に浮いて ジミーが何か言ったけど
聞き取れなかった


今はそれでいい


貴方の心に、あの人より存在していられたなら


だから、いつか…


end


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