[携帯モード] [URL送信]

☆銀魂の小説(真選組/長編)
地味な香り3(完)※下ネタ有
━━━
━━


それからというもの
私はジミーを避け続けた


大人気無い
分かってる…

だけど


同じ監察でも、
ジミーが張り込みをしていたら 私は事務仕事
ジミーが討ち入りに参加したら 私は尾行等

会う機会を減らすように
目を この想いから逸らすように…


状況が状況だけに、局長も副長も何も言わなかった


こうやって やり過ごせたら、惚れ薬の効果もやがて消えるだろう



思ったんだけど


━━━
━━



『そこだ!』


察知した異な気質に向かい、屯所の廊下の角に振り向き様 フォークを投げると
ヒュッと軽く空間を流れ、壁に刺さった

━━ビィン………と鈍い音が弾み、彼の横顔を掠めた


山崎「さすが仁和 俺の気配に気付くなんて」


『あんた…今日はホシの尾行じゃなかったっけ?』


山崎「いやだから…俺の明星(ホシ)仁和を尾行!なんつって!」


げしげし


山崎「あっ 痛い痛いって痛い」


━━━━━
━━━━
━━━

━━━━━
尾行調査中
━━━━━


『対象、進路は順調、どうぞ』


隊員「よし、そのままB地区まで尾行を続けて下さい」


『了解』


無線を口元から離し、漏れる溜め息
私は、誰も居ないはずの後ろに目をやるが 気配と視線が交差した


『…で…なんで私を尾行してんの…』


声を上げると姿を現した山崎がポージング


「尾行じゃないよ…ボディーガード!」キリッ


げしげし


山崎「あ 痛い痛いって痛い」


━━━
━━



『ねぇねぇ、任務に支障が出るんですが』


土方「…フゥゥ…」


鬼副長は頭に青筋を立てて大きな溜息でタバコの煙を逃がした


『それにしても 長いな、惚れ薬の効果…』


近藤「もうおまえら付き合っちゃえば?」


『はぁ?』


土方「局長がなんてこと言うんだ!風紀が乱れんだろォォ」


沖田「やっぱり一発ヤッちまやぁいいんでさぁ」


『この下品なサドヤローは』


近藤「いやぁ もう一度付き合ってみて、合わないなら別れてウマが合うようなら継続でーみたいな」


土方「だから近藤さん、勝手に」


沖田「そーだそーだ 一辺身体の相性でも確かめてみんのが一番ですぜ」


『だーもー!おまえら他人事だと思いやがって!』


『うかうかと惚れ薬にやられてラリってるジミーが悪い!何で私が人身御供になんなきゃいけないの?
あいつは…』
(たまさんを見てたのに)


沖田「仁和、おまえ 山崎に気があるんじゃねぇのかィ」


『はい!?』


沖田「ちなみに土方さんも近藤さんも気付いてるから
しらばっくれようとしても無駄だから バレバレだから」


『……………』


顔から火が出そうだ
頑張ってバレないようにしてたのに


ただただ 頬が熱くなる


沖田「惚れ薬の効果とは言え、嬉しくねぇのかィ?さっさと既成事実作っちまやぁあんな気の弱い奴、言いなりに出来るぜ」


『…確かに、彼に魅力は感じていて 少なからず今の状況に浮き足立ってる自分もいないと言えば嘘になる

だからってこのままくっついても、一時だけじゃない
性の熱が治まれば…彼はまた、想い人の所に心を戻すでしょ』


近藤「万事屋のからくり娘の事か」


沖田「あんたはそう思ってたんですかィ…これを見なせェ」バサッ


『なにこれ…監察日記…?』


下品なサドヤローが 私の前に放り投げたノートにはそう記されていた

恐る恐るページを開く


━━━
━━



《山崎退の監察日記》
□月△日
今日も仁和がフォローしてくれた
口は悪いけど 優しい所が好きだ

今度彼女が好きな食べ物でも差し入れしてみようかな


◯月□日
恋話に託つけてお茶をする
紅茶を飲む姿が可愛い
ケーキに頬が緩む笑顔が可愛い
口許を気にしながら可愛い
副長の愚痴が始まった、可愛い
局長の愚痴が始まった、可愛い


△月◯日
攘夷浪士のテロでかすり傷を負った
仁和が絆創膏を貼ってくれた
髪の香りが忘れられない

とりあえず反芻して記念すべき5000回目だけど、抜ける


━━━
━━



『ええええええぇぇぇぇ沖田さん、どーゆーこと…ただの日記みたいだけど 良いの?プライバシー侵害が酷いけど?良いの?』


土方「あいつはおまえに恋の相談役から仲を深めて行っただろ 下手に口説いて関係を崩したくなかった…ってとこじゃねーの?」


『そんな…ジミーはたまさんの事が…』


土方「完膚無きまでにあしらわれてたじゃねぇか」


『だから…矛先が、自分に気のありそうな私に移ったって事?』


沖田「いや そうじゃなくて」


『そもそも自分から気持ちを伝えるとかしないで
みんなに伝えてもらうーみたいな、ナニよコレ』


土方「いや だから」


『女々しい』


近藤「まぁ女々しい奴ではあるさ…恋をした男は女以上に女々しい時もある」


沖田「じゃああんたはザキに幻滅して、もう想いを断ち切っちまうってことですかィ?」


『…なんで今回、あんたらそんなにジミーの肩を持つ雰囲気なの?』


土方「ザキが倒れたんだ」


『は?』


沖田「あの薬の媚薬効果には個人差があって、ザキにはちっと強めに効いたんでさァ
それなのにアイツは自慰によってでも熱を下げようともしねェ
時間ま結構経っちまってるから尚更負担がかかったんだろ
ったく 近藤さんを見習えってんだ」


近藤「総悟ォォ俺を貶めないであげて!」


『じ、自慰って………なんで…解熱しなかったんですか…』


沖田「潔癖装ってる誰かさんに軽蔑されたくなかったんじゃねぇの?」


土方「理由は本人に聞け…助けてやる気があるならな」


━━━
━━


━━━━━━
病院(彼目線)
━━━━━━


あー
暑いなぁ
熱い…


なんか動悸がするなぁ


ミントンでもカバディでも、こんなに荒い呼吸にはならかったと思う


はぁ…仁和…これ以上君に嫌われてしまう位なら…


等と思い詰めた唇を噛みしめる


たまさんの事なんて とっくに諦めはついていたんだ


住む世界が違うし 俺をからくりの敵とまで言い放った


きっと 彼女にはもっと大切な人がいるから
俺はそれ以上になれない


随分前にあの恋に答えは出ていた


仁和、君の優しさに触れてからなのかな


一緒にこなす8回目の任務で、俺のドジのせいで捕まったのに 俺を助ける為に…病院に運ばれたの、覚えてる?


ずっと横で看病する俺に気付かないで、目を閉じたままの君は眠り続けた

眠り続けていたのに


『ジミー…山崎は無事ですか?』


って 何度も何度も聞き返す
きっと夢を見ているんだ
俺の夢を

それも俺の心配をしてる

俺を助ける為に、君は眠っているのに………


幸い大したことなくて、目を覚ました君は


『…なんだ…生きてたんだ。悪運強いね』


だなんて


『私のオカゲだね、今度あんぱん奢りなさい』


だなんて


『何??泣いてたの?フンコロガシが』


魘されている君が涙を流して 俺の身を案じるから……
それも眠ったままで

だから、俺は泣いてしまったんじゃないか


目覚めたら いつも通りの顔をして
ズルいよ


あの時から 君が離れないよ


時折見せる、俺に何かを訴えかける様な瞳の奥


どう…したらいい?
伝えてもいいの?
君を 好きになってもいいの?


手遅れだよ
好きになってるってば


臆病で女々しい俺は また傷付きたくなくて、《もう少しこのまま》を重ね続けた


本当に万事屋の旦那が 君の想い人だったなら

仕事に私情を挟んで 嫌われでもして もう会えなくなったら


怖い…

副長に『風紀が乱れる』ってどやされるのは馴れてるけどさ


もう少しだけ このままでいさせて
もう少し…


そんな事を思い出しながら
気だるい瞼目を降ろして 数秒


『ジミー!』


君の声がした


『山崎退!』


俺の顔を覗き込む、大きな瞳


「…仁和…?」


夢じゃ、ない


『馬鹿!なんで熱を下げようとしないの!!天人の薬なんだよ!死んじゃうかも知れないんだよ?』


「どうしてここに…?」


『質問に質問で返さないでよ』


「ははは、ごめん 俺 なんだかそんな気になれなかったんだ」


『…わ、私が解熱してあげるって言ってもそんな気になれないの?』


「!?」


『医師に説明を受けたの…本当に危ないんだよ、ジミー』


「あの…気持ちは嬉しいんだけど、仁和は俺のこと嫌いじゃなかった?」


『嫌…いかも』


「なら、女の子が軽々しく…」


『そーゆーズルいとこ嫌いかも』


「へ」


『私、ずっとジミーの事が好きだった。
でもたまさんの事、諦め切れないんだなって思ってた。
ジミーの日記、沖田さんに読まされたけど…もしかしてジミー…私と両思いなの?』


「沖田隊長!?うあぁぁぁぁクソッあのサド野郎…
ってあのいやその」あたふた


慌てて顔を真っ赤にしてしまう俺は困り、頬を掻く

だけど、ここで言わなきゃ…大事なコト
大事な君に…


「うんと…たまさんのことは大分前に踏ん切りがついてたんだ
俺も、その…君が好きだ…!!」


『ってさ、私が誘導しないと 気持ちを教えてくんない所とか…キライ』


「…ごごごごめん…俺の恋愛相談から仲良くなったトコあるし、変に行動を起こして嫌われてしまうの…怖かったんだ」


『もう…キライ』


「…」


『キライキライ…』


そう言った彼女の唇が 俺の言葉を押し込める様に、俺の唇を塞いだ


「…んーっっ……!?」


柔らか………柔らかい…いっ!?
嘘…………仁和の…唇…


信じられない

驚きの余り声が出る


「えええぇぇぇぇ?」


『この[キライ]を上回るくらい好きなの…気付いて』


嗚呼………
何て事だろう

お互いに 燃える頬で目を逸らさない

逸らせない


これがツンデレか
とんでもない破壊力だ


『あーもー…はやく治療するからね!』


照れた彼女が赤面のまま怒鳴る
そのカオ

紛れもなく、俺を想ってくれている 何の嘘も飾り気も無いカオだから

ソレを見て、
そうして俺はやっと、言えたんだ


「…あの…俺と付き合って下さい」


『やっとジミーの口から聞けた』


優しく 子供みたいに笑う
綺麗な瞳には涙が少し滲んでいた


もっと早く…こうしてれば良かったのかと、照れ笑いして


もう一度唇を重ねる

唇を確かめ合うようなキス
少しだけ舌が触れた


「…!」


『?』


その瞬間
走り抜ける感覚に
止められない位、身体が震えて


『ジミー、大丈夫!?具合悪いの!?』


「…パンツ汚れちゃった」


げしげし


「あ…痛いって痛い痛…イイ」


どかばきげしげし


━━━
━━


━━
談話
━━


土方「良かったじゃねぇか、ザキのヤロー」


沖田「いいんですかぃ?いつもの土方さんなら『風紀が乱れる』つって二人の仲を許さ無いんじゃあ?」


土方「…どーせ遅かれ早かれこうなるたぁ思ってたよ、アイツらセットのほうが仕事が捗ってるしな
別に今の所、支障はあるめぇ」


近藤「たまにど偉い確変起こしてくれるしな」


土方「仕事増やして待っててやらぁ」


END



[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!