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☆銀魂の小説(真選組/長編)
1―おにぎりの香り/近藤
「おーい 近藤さんは何処行ったー!
…ったく、またかよ…
仁和、いつも通り近藤さんを頼む」


『…はーい…』


うんざりとした副長の横顔に背を向けて、一人歩き出す先は お妙さんの家だった

てくてくと歩くが足取りは軽くない

最近は高確率で私が近藤さんを引き戻す係になる


新人女性の私に謝罪役を押し付けるのは
お妙さんは基本的に女性には優しいからだろう


只でさえ悪いお妙さんの心象を
これ以上悪くしたくないのは解るけど…

お妙さんなら「姑息なゴリラめ」ってバッサリ切り捨てちゃうと思うよ?


まぁ お妙さんと近藤さんのナケナシの可能性を見守ってあげたい土方さんの優しさは解らんでもないけど
モロに打算的だから逆効果じゃない…?


いつになったら近藤さんはこの実りの無い恋を諦めてくれるんだろ

こんなに近くにロマンスの相手なら居るのに

…私だってケツ毛くらい愛せるんですよ?


なんてブツブツ 脳内会議
そんな道すがら 遠くを見た先に見覚えのある後ろ姿に出会ったので 声を挙げた


『あれ…つっきー?』


月詠「おお 久しぶりじゃの」


『珍しいね、今日はお休み?』


月詠「いや…仕事中じゃ…おぬし…警察じゃったな?」


『んー…まぁね』


月詠「それならば、万事屋に頼むよりは安全じゃろうか…あやつら前科があるからのう…」


『面倒そうで躊躇するなぁ、聞きたくないなぁ、聞きたくないなぁ…どうかしたの?』


月詠「うむ 実はの、前に吉原で問題になった惚れ薬、愛染香の話は覚えているな」


『ああ 迷惑だったヤツね 解決したじゃん
ちゃんと全て処分出来たんでしょ?』


月詠「あの事件で出回った分の愛染香はな…
しかし一度出回ると厄介なものでな
後々 悩まされるのが類似品や廉価版とゆー奴じゃ」


『まさか出たのかよ…類似品』


月詠「そう…仁和、話が早い
詳しくはまだ分析中じゃが愛染香と同じ特性を持った 厄介者…」


『とんだ厄介さんだよ!可及的速やかに銀さんになんとかしてもらいなよ』


月詠「ふむ、この巾着に納まる程度の少量なんじゃ
以前の様にあのちゃらんぽらんに任せて大事になるよりは おぬしに処分して貰ったほうが安全そうなんじゃが…
頼めぬか?」


『えええぇぇぇ私?なんでつっきーがパパッとやっちゃわないの?』


月詠「いやその…私も…あのちゃらんぽらんと一緒に居て、あの結果だったじゃろ…?心配は心配で…」


『…あーもー…』


月詠「礼はする…頼まれてくれんか?」


痒くなったコメカミをさすりながら、私は近くにあった自動販売機で缶のお茶を買う


『お礼か…何くれるのかなぁ』


そう言い終えると 一口飲み、缶の上部を真剣でスパッと切ってしまう


『ホラ、その巾着 頂戴』


月詠「ああ」スッ


素手でグリグリと香を潰しながら スパッと切ってしまった缶の中へ沈めていく


ぽちゃぽちゃ
ブクブク


『湿気ってしまえば渇かしても中々 火は付かないでしょ、あとはトイレにでも流そうぜ』


「おお 思い切りが良いのう!」


コンビニでトイレを借りて一件落着(コンビニさんごめんなさい)


『でも…いいの?つっきー』


月詠「何がじゃ」


『銀さんに使わなくて』


月詠「ブフォ」


コンビニで買ったコーヒーを飲んでいた所つっきーが顔を赤くする


月詠「わっわっちは別に!」


『ははは顔真っ赤ー、可愛い』


そこでふと思い出した


『って 忘れてた!副長に頼まれ事してたんだ!やば!じゃーねつっきー!』


「おお 世話になった」


━━━
━━



走って志村家にたどり着いたところで 調度、家の門の前で 殴られて吹き飛ばされて空を舞う フルコース中の近藤さんに出会す


『お、遅くなって…すみません』


声を掛ける私の姿に気付き 着地して砂埃にまみれた近藤さんは笑う


「ははは 今日も愛の拳が炸裂したなぁ 俺の想いが花開く時はそう遠くないぞ」


『そうですかねぇ…』


屯所に向かう彼の足取りは軽快で 浮わついている
吹き飛ばされたとは言え お妙さんに会えたからか
これがラブパワーってやつか

こんなんだから他の隊士から呆れられたりするんだよ


「いやー お妙さんのボディーガードをしていたら腹が減ったな…」


『ボディーガードってどういう意味か辞書 引いてから使って下さいね。てゆーか、ゆっくり食べてる暇なんてありませんからね?副長ご立腹ですよ』


「えー…じゃーあの店でおにぎりでも買って来てくれないか?歩きながら食べる」


『なに味がいいんですか?』


「任せる」


―――――
━━



『買ってきました。鮭、たらこ、筋子です』


「おおサンキュー、なんか多いな」


『私も一個食べるもんね』
そう言っておにぎりを包みから取り出す


食べようとしているのを見て
「それ何味?」


『鮭』


「えー 俺それがいい」


たまに子供みたいだ
可愛いけど


『何味でもいーって言ったじゃん…ったくゴリラ、ほら』


「わーい」


『(…あ…れ?そーいや…さっき手ぇ洗ったっけ?愛染香を素手で砕いて…)』


『ヤバい!手ぇ洗ってない!近藤さん!ダメ!!食べないで!』


「え?なぁに?」モグモグ


『ギャー!お約束!!』


「なんだよ、やっぱ鮭食べたくなったの?そんなに言わなくても半分あげるって…」


『いや…落ち着け、まだ香の欠片とか成分とか、手についてると決まった訳じゃ…』


「…あれ…仁和…おまえ…なんか今日可愛いね…」


『手ぇ洗えばよかった!私の馬鹿馬鹿!!』


『いやいや…まだ香の効果が確実に出たってわけじゃない…』


「隣に行ってもいいか?」


ミチィ


何の変哲も無い一般道で
ゴリラに密着されて歩く

あ…塀に追いやられそう
ぐえ


そんな制服姿の二人組を
通行人もじろじろ見てくる…

そらな
見るわ


『あー…もー…』


さて、目眩が止まらないぞ



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