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☆銀魂の小説(真選組/長編)
4―ジョロキアの傷※微エロ注意
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ヒロイン目線
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変なの

━━「舐めろ」━━って何…
どういう事よ

冗談にしても悪趣味だ、と呆れつつ聞き返す


『舐めるって……本当に舐め取って良いんですか?』


沖田「キレイにして下せぇよ」


投げやりな 顔色一つ変わらぬ沖田の視線は私から離れる事はなくそれが何ともカンに触る


ケーキを持ったままの手で
首を傾け、こちらも表情を変えないまま目を離さずに 沖田の唇の端に付いたクリームに狙いを定めて


肩透かしに直前でスルリと避けられるのもムカつくし
逆に唇を何となく奪われたとしてもやはり面白くない

ならばどちらでも無いアクションを起こしてみたくなるじゃない


沖田の唇の端っこを

私の持てる最高の速度で………
ぺろっと舐め取る!

せーの!ペロッ!!


沖田「!?」


ふ、ふふふ


キョトンとしている!キョトン!!
フフフ…勝った!


『これで良いですか?』ドヤァ


沖田「左側にも付いたんでこっちもお願いしやす」


勝ち誇ったのも束の間
憎たらしい横ッ面を向ける


『…』


沖田「…」


しかしなんだろう…??なんかいつもと違う
どうして私にぺろぺろさせたいの…?

変な提案されたりとか、もう しないように ケーキを食わせたら長居は無用、とっとと消えよう

そう決心した刹那
少し髪を揺らし、彼が口を開く


「別に嫌がらせで避けたりしねぇし、悪戯に唇を奪ったりもしやせんよ」


読まれてた…


沖田「だから、きちんと舐め取りなせぇ」


これは挑発か

しかし少し従ってみたいような
己の中の内なるM心が騒ぐ様な…

さすがドS星の王子は違う


変なキモチ
どうかしてる

モヤモヤしながらも、
彼の唇の端に唇を寄せる


しかし舌を出した瞬間
何かぬるりとした舌触りが、彼の唇の端への道を妨げる


何が起こったかと言うと、私の舌と彼の舌がぶつかったのだ


『…何してるんれす?』

沖田「いやぁ つい」


お互いに舌を引っ込めずに喋る

本当は叫び声を上げて、わぁわぁ騒ぎ倒せば良かったのかも

だけど、暫し止まる時間


『…』「…」


舌をくっ付け合って にらめっこ
何てシュールな絵だろう

ここまで来たら 意地だ

こんなことで動じたら負けかも…そう思うと冷静を装い、睨みつけたままのポーズをキープ


『つい、じゃねーお』


沖田「うるへぇな、うっかりふる事くらひ あるらろー」


彼もそんな気持ちだったのかもしれない

しかし本当に
どういう状況?
きっと恋人同士でもこんな特殊なプレイはしない…


絡み合う視線
震えてくる舌先
びっくりする程ときめかないハート

これって…………本当の本当にどーゆー状況…


沖田「舌ぁ、震えてまふぜ?感じてゆんれすかィ?」


『まったく感じられ無ぇーお、うんこめ』

『おまえ 私の事 好きらの?』


沖田「別に」


私はくっついた舌先をペイッと離す


『…今の…何?何なの?』


沖田「こっちが聞きてえ」


そう言って 唇の端のクリームはもうぺろっと彼自身が舐めてしまった


『なんで舌を舌にぶつけんの?馬鹿なの?』


沖田「もう1つのケーキ、あんたも食べなせぇ
食わせてやるよ」


『はぁ?無視か!
てか 総悟の手が不自由だから私が食わせてやるって話じゃなかったの?』


沖田「良いじゃねぇか、ケーキのセロハン外してくれたら
この俺がアーンしてやるってんでィ
一生に1度あるか無いかですぜィ?」


『いや 自分で食べられる…』


沖田「余裕が無いねィ?」


まただ、挑発する上目遣い


沖田「俺にときめいちまうのが恐いのかィ?」


『アンタは心底…可愛く無いね』


沖田「もっと褒めて下せぇ」


そう言ってケーキのセロハンをペリペリと外す

いいだろう、乗ってやらー


沖田「アーン」

『アーン』


存外 普通に食べさせられている

本当なんなの…この状況…なんなの?

沖田には、怪我をさせてゴメンねって言いたかっただけなのに


少し大袈裟に巻いた包帯に罪悪感を掻き立てられつつ

伏し目になると流れる綺麗な睫毛、整った顔立ちを横や斜めから見詰め、
桂とはまた違ったタイプの美男ぷりに眉間が痒くなる


こりゃ 女に不自由して来なかったんだろうなー
とかぼんやり思ってた


しかし次の瞬間


『わっ』


沖田「おっと」


沖田のフォークがシュッ舞い、私の頬にクリームが付いた


怖!


『危ないでしょ!てめこの』


沖田「スミマセン、手が滑って。舐め取って差し上げやす」


チュ…


頬にリップ音が響く

ゆっくりと
控えめな舌の愛撫がクリームを拐っていく


『…』


沖田「…」


『あんたやっぱ私の事好きなん…』


沖田「別に」


『…』


沖田「…」


やはり 長居すると録な事にならなそうなので
いそいそと立ち上がろうとする


『…元気そうで何よりです、じゃあ私はこれで!あと全然ときめいたりしちゃーいないからね…』


この変な空気に充てられたく無い
今日はコイツも私も少し変だ


変変変


さあ
さっさと退散しよう、と

上体を返そうとした所で
沖田の身体がぶつかって来たから
よろめく


『!』


しかし彼の腕でしっかりと支えられ
抱き締められた事に気付く


『なっ…』


密着してしまった胸と胸が
鼓動を確かめ合うように 高鳴る


沖田は動かない、喋らない


『おま…総…なに…?』


さすがに戸惑い 言葉はぐるぐると頭の中をハイスピードで駆けていく


そしてまた、覗き込むように私の目を見詰める

さっきよりも近い距離


『…』


沖田「今日はもう遅せぇ、帰りなせぇ」


『へ、あ?』


沖田「明日はみたらし団子が良いなぁ」


『…自分で買って来たら?』


沖田「あー痛い痛いぃぃぃ、ケガがぁぁぁ」バタバタ


『わかりましたよ、わかったよわかった』


沖田「ついでにジャンプもな」


『それはテメェで買えぇぇ!』


ピシャッと庄子を閉めて廊下に出る


さっき 見詰め合った瞬間…凄く近かった…
何かされるかと思っちゃった


もうもう
ああもう
とんでもない人に貸しを作ったもんだ、と

溜め息混じりに自分の部屋に戻る事しか出来ない。




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