ゾンゼロ長編 002 side:栄華 「きりーつ、礼。」 今日最後の号令とともに、英語のリスニング用のラジカセを持って教室から出る。 今日はと言えば… 自分の授業を持たないコマの間、休憩時間に至るまでずっと考えていた。 あの子たち…転校生の安吾クンたちの事。 安吾クンと真夜子はんが一緒に魔都・東京に来るってことは… これは、魔物絡みで何かあるってサイン。 だって… 最近、夕暮れ時は特に思うけど、なんだか昔懐かしいにおいがするから。 この血が騒ぎ出す感覚…決して気持ちのいいものじゃない。 自然界も乱れて来るし…あ、環境破壊とか地球温暖化うんぬんとかじゃなくて。 魑魅魍魎の世界で、なにかが起きてるのは確かだと、この頃はそう思っていた。 「丁度ええ機会やし、久し振りにあの店にでも行こかな」 やたらと独り言の多い今日の自分に、苦笑いしてしまった。 [*前へ][次へ#] |