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ゾンゼロ長編
006



ここ、屋上は昼休み以外はほとんど人がいない。

「まったく、どないなってんねん。何の用や?魔物の自分がこんなとこ呼び出して」
「え?」
「え?やない、すっとぼけるな。どうせそっち絡みの話やろ。

アフロディテ    
…大紫蝶 花梨太夫」



「………」
「………」

「よう覚えてはった!拍手」
「いらんわ!」

わたしは…わっちの本当の名前は花梨という。
彼が言うとおり、蝶の魔物。


「それにしても、あの呼び出し方はないやろ。デリカシーもない」
安吾クンがボソッとこぼした。
よっぽど気にいらないのかな。

「だってどうせ騒がしかったやろ?あれが一番早いやん」
「…先生とか…怒鳴ってたやん…」
「え、うそ…笑てはったよ?」
「(…ニヤけとんねん、あれは…自分来たからや…)気づけアホ」
「ひどいなあ安吾クンはァ」
纏う風が気持ちいい。
こうやって他愛もない話をするのはいつ以来やろうね、安吾クン。
切なくなる程懐かしいわ。

けど…そろそろ本題に入っても、ええかな。

「そんでさ。なんで上京して来たん?魔女も一緒に」
「え…」
「意味ない訳ないやろ?魔女と志萬家当主がいっぺんに越して来はるなんて、なんもない方がおかしいやん」
「やっぱりそういう事かいな…まったく、くだらん質問やな」

くだらないという言葉にちょっとムカついた。だから、爆弾落としてやることにした。

「鬼退治にでも来はったん?」
「…」

黙るところを見ると…的中かな。

「早いとこやっとき。せやないと、狩るに狩れななるで」



安吾クンが眉間にしわをよせ、鋭い眼差しを向けて来る。
「…どゆことや?」



「気づいてへんの?鬼に」



「…!」


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あきゅろす。
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