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ゾンゼロ長編
004



真夜子が掴んだ首は、放物線を描くこともなく、まっすぐに安吾の額に直撃した。
弁天がそれにさらりと賛辞を呈しているあたりを見れば、このフィールドでは何でもありなのだと理解するに至る。

「町の情報屋弁天としてぶっちゃけると、今 東京で罪なき人を殺すおイタしてんのは、俺たちと同じ種類の魔物じゃない」

「あ、うちが提供したのにっ…」

栄華はすかさずつっこんだが、弁天は構わず、さらに言うと安吾の「栄華、なんでここに…」という驚きさえ無視して、写楽の問いかけにのみ答えた。

「この現状考えてもごらんよ?」

千両と黒薔薇が敵対している時点で、俺たちとは同族じゃない。
要約するとそんなようなことを弁天は流暢に説明して、「おしまい」と言わんばかりに煙い吐息を安吾の顔に吹き付けた。



弁天が最後に付け足した「わかった?阪神ファンのボク?」の一言に安吾がひとしきりツッコみ終わるとほぼ同時だった、白狐が口を開く。

「気をつけなさい」
多分もうそろそろ

今より 瘴気が


普通の人間には
耐えられない程



強 く な る







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