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ゾンゼロ長編
003



栄華は、話し始めた。
ここに来たいきさつ、さっき自分の目で見たこと、体験したこと。
そして最後に警告した。

「このままやと、あの子が危ない」
「あの子…って?もしかして…」

弁天が口を開いたその刹那、乱暴に居酒屋の玄関が開かれた。

「ちとかくまってくれよな弁天」
「あら、そちらの方は?」

女の子が二人、厳しい表情で立っている。
態度には表さないものの、どこかそわそわしていて、階下で何か起きていることを物語っていた。

「どうしたよ、魔女が二人して」
「弁天、金髪の彼女も魔女?」
「ああ、そうだ。東の魔女・白百合姫。魔王の妹」

ブロンドの髪を揺らすこの少女が、東の魔女か。
「うちは福寿栄華って言います」
「白百合姫ですわ。後でゆっくりお話しましょ」

そしてその横に立つ、西の魔女・沖野真夜子。
先に口を開いたのは、真夜子だった。
「栄華とやら、わらわたちは昼間に会うたの。それより、弁天、下に窮奇がおるのじゃ」
「あんだって?」
「九浄の首を持っていかれた。鈍たちが応戦しておる」

栄華はこれを危惧していたのだ。
知っていながら結局間に合わず、起きてはいけないことが起こってしまった。

「弁天」
「ああ。栄華も来い。マヨコとヒメもな」
栄華がたまらず声をかけると、弁天は煙草を握り、1階へと続く階段へ手招きした。


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