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ゾンゼロ長編
005



こいつは、普通やない。

普通じゃない相手を、普通の方法で倒すのは無理だという事になる。
となると、さっきの2匹は何故…
まあいいや、ますます謎だけど、今は目の前のこいつを倒すのが何より重要。
阿呆の一つ覚えみたいで気が乗らないけど、手段を選んでいる余地はない…

さっきと同様、標的の周囲を飛び回る。
コレも三回目、しかもかなりの標高で空気も薄く、さすがにバテてきた。
相手だってバカじゃない。
2回も同じ攻撃を目の前で見てきたから、必死に風の綱から逃れようとしている。

「手ぇ煩わせへんといてや…もううちキツいわ」
逃げるなんて───そないはさせへんわ…
腕が、翼が、呼吸が悲鳴を上げとる。

でも着実に、風の鳥かごは形を見せてきた。


「よし…捕、まえ、たっ」

飛んだ軌跡の風を強めて一点に集め、一気に大気を駆け降りた。

はるか上空で、断末魔が消えた。



地上に降り立つと、酸欠でめまいがしとったことに気づいた。
やっとの思いでガードレールに腰かけ、肩で息をすると汗がにじんだ。

でも…おちおち休んでもいられない。
あんな風に魔物と出会って、戦って…すぐにあの店に行って話さなきゃ。 
窮奇だって、他にいないとも限らない。


急がないと、大変なことになる…
私は嫌な予感と気味悪さから逃げるように、あの店へ…仲間の元へ急いだ。



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あきゅろす。
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