ゾンゼロ長編
004
なんで…なんで。
うちは目の前の現象が信じられなかった。
余裕も自信もあった戦いなのに、平常心でいるのもやっと。
さっき完全にもげたはずの、右翼。
そのまま落ちていくはずの、魔物。
何故か、目の前で、いままで通り傾きながら飛んでる。
驚きと困惑で気を取られているうちに、前後で挟まれた。
このままじゃまずい───
間一髪でかわしたと思った体当たりが、思いきり背中に当たっていた。
…よかった。羽根への影響はないみたい。
相手は今の一撃で、自分にもダメージがあったはず。
その隙をねらって、まず目の前の一匹に、一番最初と同じ攻撃を仕掛ける。
相手も飛行体で難しいけど、相手が違っても一度は成功した方法を使うしかないらしい。
風の綱を絡めて、機敏に飛びながら一気に引き裂いた。
そのついで、もう一匹に体当たりを仕掛けた。
一匹の悲鳴が聞こえて、振り向けばもうあの魔物はいなかった。
この方法だと、成功したんだ。
そして、体当たりしたもう一方を見ると…
やっぱり。
衝撃で翼が反り曲がったのは確認したけど、さっきまでと変わらず飛んどる。
実は、さっきの体当たりは確認。
なんでちょっとやそっとで倒れないのか、なら最初の攻撃はなんで有効だったのか疑問だったから。
実態はよく分からないままだけど、今のでひとつだけはわかった。
こいつ、やっぱり普通じゃない。
こいつはやっぱり異常なバケモノだ。
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