ゾンゼロ長編
001
side:栄華
「おもしろい店あるんだけど行く!?『ゴビ』って服屋!白狐って店長がすげえ神秘で―――」
安吾クンがその言葉に即座に反応したのが分かった。
一気に高度をあげて方向を変え、最高スピードであの店に向かう。
先回りして、あいつらに話したい事が山ほどある。
空から2人を尾行し続けた甲斐があった。
「やっぱり今日分かるんだ。鬼が何者なのか」
ひとりで呟いたその刹那
ふと、感じた熱
明らかに、初夏の日差しのせいじゃない。
少しオーバーに言えば、微かに混じる熱風…それに血腥さ―――
これは瘴気だ!!
前方から来るじりじりした熱に、着実に近付く。
正に『飛んで火に入る夏の虫』。
だけど、私の場合は…無論、敢えて。
どんどん血のにおいが濃くなる。
九浄クンから出来るだけ離れた所へ、瘴気の根源を遠ざけるために、なるべく急いだ。
その時―――
カマイタチ
「え…あれ…窮奇…?」
やっと捕まえたのは
自我を持たない
バケモノだった
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