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Do you not play with me?...1

「お兄さん一人?俺と遊ばねぇ?」

深夜の一本裏の路地を何の目的もなく歩いていれば、声をかけられた。
振り向いてその風貌を確認すれば、どう見ても遊んでますという格好。顔は悔しいけど、格好良い。
一言で表現するならば、ちゃらいイケメン。第一印象は、そんなものだった。
何故俺に声を掛けたのだろうという疑問が浮かんだが、初めて来た場所という事も有りもしかしたら面白い店を知っているのでないかという気持ちも伴って俺は少しの時間を挟んで首を縦に振った。
相手の男は頷くのを確認し、口端を上げニヤリと笑みを浮かべた。

「んじゃ行こうか。…あ、お兄さん名前は?」
「…沢村栄純」
「栄純…ね。俺は御幸。御幸一也」
「…それより、さ。何処連れてってくれんだよ?」
「それは着いてからのお楽しみってやつ?」

俺の言葉をはぐらかす様な言い方に不信感は募るものの、素直についていけば元々人も少ない場所から段々と人気がなくなっていく。
次第に明かりもなくなっていって、薄暗くなっていく通路に差し掛かるといよいよ足を止め、断りを入れようと口を開いた。

「あ、の、…やっぱり俺…」
「…ん?何言っちゃってるの」

もう遅いでしょ、という言葉と同時に腕を掴まれ建物と建物の隙間に連れていかれる。
抵抗を見せるもビクともしない。それくらい力が強かった。
壁に強く打ち付けられると痛みからよろめき、僅かに霞む視界の中体勢を整えようとする。
御幸と名乗ったその男は俺を見下ろし口端を上げながら言った。

「大丈夫、痛い事はしないからさ」

いやもう充分痛い事してるって。
そんなツッコミも虚しく、俺は再び壁に押さえつけられた。





***





それからは散々だった。
壁に手をつかされ後ろか、衣服を剥がされ、身体中弄られ、ひたすら快感を与えられた。
身も心もドロドロになっていく感覚。
ここか外であるかを忘れてしまうかのような、快感だった。

「はっ、ぁ…や、だ…っ!」
「強情だね、もうこんなんなのに…さ」
「ふ、あぁ…っ!」

自身を握られ、竿を扱かれれば思わず喘いでしまう。
無駄な抵抗だと分かっていても、声を漏らすまいと唇を噛み締める。
そんな俺を見て、御幸が笑う。それはもう、楽しそうに。

「…良いねその顔、そそられる」
「はっ…あ…っ?」
「ねぇ沢村くん、男でもココが感じるって知ってた?」
「な、に言って…、…っ!?」

前への刺激でいっぱいいっぱいになっていた俺に、新たな刺激が加わる。
後ろに当たる、御幸の指。それが
ゆっくりとしかし確実に中に入ってくる。
その気持ちの悪さに俺は眉間に皺を寄せた。

「…っ、く、ぅ…」
「ちょっと我慢な、…この辺り」
「…ヒッ!?…あぁっ!」

御幸の指がある箇所を擦った瞬間今まで感じた事のない快感が身体を襲う。
自身からポタリと先走りが零れるのが分かる。
暫くそこを執拗に擦られ、引っ掻かれ、俺はガクガクと足を震わせた。

「…ひぁ、あ…、も、や…っ!」
「んー、そろそろ良いかなー?」

明るい声と共に指が抜かれる。安堵から小さく息を漏らすも、背後から聞こえてくるカチャカチャとベルトの外す音に恐る恐る振り向いた。
もしかして、いや、そんなまさか。
案の定、俺の嫌な予感は見事に的中していた。御幸が自分自身をズボンから取り出していたのだ。
それを先程まで指を受け入れていたそこに宛てがわれ、俺はヒュッと息を飲んだ。

「力抜いとけ…よ…っ!」
「――っ!!」

指とは比べ物にならないそれに、全身が強張る。一瞬息をするのさえ忘れてしまう程の質量。
縋るように壁へ爪を立てるもあまり効果はない。
溜まった息を吐き出せばその瞬間を見逃さず一気に入れられ、その衝撃に背を反らした。

「はっ…全部入った。…沢村くん、気持ちイイ?」
「そ、んな…分かんな…っ、ひぅ…っ!」
「…っ、凄い締め付け…持ってかれそー…」

余裕がなくなってきている御幸の声、それと同時に腰を打ち付けられる。
先程指で擦られた箇所を的確に突かれ、擦られる。
足は随分前に機能を果たしていないのに、御幸が腰を掴んで立たせてくる。
支えてくれてるのは有り難い、でも、もう、限界。
そんな俺の様子が分かったのかラストスパートとばかりに突き上げてくる。たまらず俺は首を左右に振った。
前に手が伸ばされ、敏感な先端を指腹で擦られ、俺は頭が真っ白になる。

「ふ、あぁ…!も、…っ、イ…く……っ!」
「…くっ、俺も…っ」
「あっ、…ん、く…あぁ…っ!」
「…っ!」

突然引き抜かれた御幸のからの熱を感じながら、ほぼ同時に達し欲を吐き出した。
体を綺麗に拭かれ、服装を整えられるも足腰は未だ動かす事が出来ず、壁に凭れながら目の前で煙草を吸う御幸を見上げる。
それが様になっていて一瞬見惚れてしまうものの、腰の痛みが現実に引き戻してきて俺は深い溜息をついた。

「最悪、だ…」
「ん?何が?」
「何がってアンタに…!」
「でも良かったでしょ?」
「それは…っ!」

反論が出来ない。確かに良かった訳だし。
顔が真っ赤になるのが分かる。そんな俺の様子に御幸は笑みを浮かべた視線を合わせるようにしゃがみ込めば胸元から一枚の紙を取り出して俺に渡してきた。
そこには御幸一也とは程遠い名前に、電話番号…の下にまた電話番号が書いてあった。
怪訝な顔で御幸を見ればへらへらと笑っている。

「…何だよ、これ」
「俺の名刺」
「…は?」
「俺、ホストやってからさ。たまーにラフな格好で遊んでんだよね。いつもならヤっておしまいなんだけど…沢村くんの事、気に入っちゃったし?あ、印刷されてる方営業用のだから下に書いた番号に連絡ちょうだいね」
「…ざけんな、俺は二度と会いたくねぇ」

はっはっはっ、と軽快な笑い声が響く。
俺の手を引っ張れば起き上がらせる御幸を再度見る。
やっぱり格好良い。これでホストなのは頷ける。
いや、でも問題なのはそこじゃなくて。

「連絡、待ってるから」
「…誰がするか」

タクシーを拾ってくれた所までは感謝する。元々ヤられなきゃこんな事にはならなかった訳だけど。
手を振る御幸を睨みつけてからタクシーに乗る。
行き先を告げてから渡された名刺を眺め連絡なんてしてやるか!と決意しながらポケットにしまった。





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