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噂をすれば何とやら(跡部)





「キングだ、って…俺様がキングって…っははははは、馬鹿みたいっ…!」




中等部入学式、それはそれは面白い新入生代表挨拶を聞いた。自信満々なその挨拶に全員がしいんとしている中であたしだけがくつくつと笑っていたと思う、馬鹿馬鹿しすぎて笑いしか出てこなかった。



「大体キングって…ガキかっての…あー面白、くっだらなぁ」



跡部財閥の御曹子、自分だけじゃ何も出来ないくせに自分の良いように校舎も新しくしたりなんかして女子には跡部様とか呼ばれてる(吐き気がするわ)時点で有り得ない日常だ。確かに顔はいいかもしれない、成績だっていいのかもしれない、でもそれだけだ。それだけなら、もっと出来る人はいる。





「おいそこの女」



「………は?」



「邪魔だ、どけ」






噂をすればなんとやら、廊下にいたあたしの後ろには跡部。あああんたがここを通りたくてでもあたしがいたから、邪魔だ、と。ああそう、邪魔だと。






「ふざけんじゃないよ、跡部だかアホ部だか知らないけどねえ、あたし一人で廊下が歩けなくなるわけないじゃないあんたどんだけ横幅広いの贅沢な料理食べてるからって廊下歩けなくなったら終わりだよお分かり?」



「…アーン?」



「っは、なにその口癖、喘いでんの?っははははは、最高」





ぷちん、ときたらしい。跡部とやらはあたしの胸ぐらをぐいと掴んでこめかみをぴくぴく、わあお怒ってる。当然か。




「おい女、いい度胸だな」

「どーも。褒めてもなにも出ないけど」


「テニス部のマネージャーになれ」

「嫌だ、どれだけの女子生徒が虐めの被害にあってるか知らないわけじゃないでしょ、馬鹿?」


「だからこそだ、お前なら虐めなんか気にしなさそうだろ。どうだ?」





なんで一般女子が喉から手が出るほどつきたいポジションをあたしにさせようとしたのか、あたしは。







「…いーよ、やってやろうじゃない」


「はんっ、弱音吐いて逃げるんじゃねーぞ」


「誰が。そっちこそあたしがサポートしてあげるんだから強くなりなさいよ?」


「当然だろ」













正々堂々、受けてたとうじゃないか
(二人の高笑いが、響いた)










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