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◇hnmz
8.

花井の行動は数日間続いた。

その数日間で気付いた事がある。


花井は水谷を避けている。
その程度は周りから見ても明らかに避けてる風ではなく、
以前の花井と水谷を知っていて、
二人の様子を一日中ずっと見ているとやっと分かる程度。

水谷も気付いているか微妙なライン。
もしかしたら花井本人さえも…?



部活中、偶然花井と二人きりになり、話す機会が出来た。
こんなチャンスは滅多にない、と思った俺は単刀直入に切り出した。

「花井って、水谷のこと避けてるの?」
「えっ…?」
花井が顔を歪めた。
花井からしたらこんな突拍子もない質問されて、
驚くのは解るけど…、
それだけじゃないよね?

「いや…そ、そんな事は、ない…けど…。」
ほら、しどろもどろになってる。
嘘つけない性格。
水谷を避けてたのは確信犯だったんだ…。

「…ここんとこ、遠くからだけど水谷の事よく見てるよね?」
「…いや、別に…。」
俯いてしまう花井。
その態度は肯定してるようなモンだよ?
それで隠してるつもり??
俺は、ついに核心に触れる…。

「水谷の事、…好きになっちゃった?」

その言葉にゆっくりと顔を上げ、
見開いた目で俺を見てくる花井。
そんなに驚かなくてもいいだろ?
もしかして、自分じゃ全然意識してなかったの?


「……ちがう、好きじゃ…ない。」

消え入りそうな声で呟いた花井は、
首を横に振りながら、また俯いてしまった。
きっと否定するんだろうと分かっていたけど、
こんな苦しそうに否定する姿は想像してちなかった。

「水谷の事なんか、…違う…。」
俯き否定し続ける花井の言葉は、
まるで自分自身に言い聞かすかの様に聞こえる。


何でそんなに我慢するの?
何でそんなに苦しんでるの?


それは…俺の所為?
俺から相談受けちゃったから?
俺の為に自分の気持ち押し殺してんの?


「そっか…、ごめん、花井。」
もうこれ以上花井を問い詰める事は出来なくて、
俺は花井に謝ると、その場を離れた。



ベンチの所へ戻ると皆いて、それぞれに休憩時間を過ごしていた。
俺が戻るなり水谷が、
「あ!栄口っ!」
と笑顔で近付いてきて、
「今日、部活終わってから時間ある?
話、聞いてほしいんだけど…。」
小声で告げられた。

あぁ…何だろ。

水谷と二人になれるチャンスだってのに、

今は悪い予感しかしないよ……。







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