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◇hnmz
7.


視線を感じた。

いつもの様に部活の休憩中に水谷と話をしていた時だった。
視線の元を辿ってみると、そこには花井がいた。
花井は俺と目が合うと、少し驚いた様に目を見開き、
気まずそうに視線を逸らした。


…何だろ…?
今の視線の逸らし方…。
じっと見てた事を『悪い』と思ってしまったんだろうか。
それとも俺達を見守ってくれてたの?
…それなら、あんな目の逸らし方しなくてもいいだろうし…。
どうしよ……、
すごい気になる…。


気になり始めたら止まらなくなって、
別の日の貴重な水谷との談話中に、目の端で花井を探してみた。
視界の端に花井の姿をとらえると、さりげなく花井に視線を移す。

やはり花井はこちらを見ていた。
ぼーっと見てる為か、俺の視線には気付いていない。


違う…?
俺の視線に花井が気付かないのは、
花井の視線の先が俺に向いてないから…?
花井が見ているのが、水谷だから…??


え、何で……?


何で、花井が水谷を見る必要があんの…?



もしかして花井まで水谷好きになっちゃった?

嘘、だよね…?
そんな……。



「……栄口?」

真っ白になってた俺の頭は、
水谷の声で現実に引き戻された。

「どうしたの?急にぼーっとしちゃって?」
「あっ…、いや。何でもないよ?」
俺は平静を装い、笑顔で答える。
笑顔、引きつってないかな?

花井を見れば阿部と何やら話をしていた。


俺の考え過ぎかもしれないし…、
そうじゃないかもしれない。

言い様のない不安に押しつぶされそうになる。



もし花井がライバルになったら、

俺、きっと勝ち目ないよ……。







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あきゅろす。
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