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◇hnmz
4.

「ちーす。」
「おー。」
「ちす。」

部室に入ると、俺以外の部員は全員揃っていて、各々着替えていた。

「遅かったな?何かあった?」
阿部が聞いてきた。
終わったのが同じなのに、俺だけ遅れて来たら、
そりゃ不思議に思うわな。

「担任に捕まっちまってさ、荷物運び手伝わされた。」
カバンやら何やらを畳の上に置き、頭をガシガシと掻きながら答える。

「あー。花井ってそういうの頼まれやすそう。」
「お人好しー。」
「運悪そうだしな!」
西広やら泉やら田島が笑いながら茶化してくる。
どーせこの後水谷辺りが、
また余計な一言を言うんだろうな。
そこで俺が一喝する…それがよくあるパターンだ。


が、


一向に水谷からの冷やかしの声が聞こえない。
不思議に思って隣を見てみる。

あれ?いない…。

続けて部室内を見回すと、
少し離れた所で水谷が栄口と楽しそうに喋っている姿が目に入った。


あぁ、栄口と喋ってたから話に入って来なかったんだ…。


栄口楽しそうだな…。

いつも笑顔を絶やさない栄口だけど、
好きな人と話してる時の笑顔は、
本当に嬉しそうで、一番輝いて見える。
今まで栄口の気持ちに全く気付いていなかった俺が言うのも何だけど。


水谷も楽しそうだ…。

水谷は甘えたがりなトコがあるから、
栄口みたいに優しく受け止めてくれる様な相手が合ってるんだろうな。

すごいお似合いだと思う。

俺は二人から視線を外し、着替え始めていると、
次第に胃の辺りがムカムカしてきた。
あー…いつもの胃痛かな?
そう思った俺は、自分に気合いを入れ直し、
グラウンドへと走った。



そういえば俺…、
水谷を探す時、
何で真っ先に隣を確認したんだっけ…?







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