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◇hnmz
14.





どのくらいの時間が経っただろう…。



一体何を話していたのかさえ、全然覚えていない。


頭の中は『どのタイミング』で『何て告おう』かをずっと考えていた。

水谷も何も不審に思ってなさそうだから、
適当に打っていた相槌でも何とか誤魔化せているようだ。

ごめんな、ちゃんと話聞いてやれなくて。






いつの間にかCD屋に着いていて、それぞれの用を済ませた俺達は、
店を出て、別れ道までのわずかな距離を、再び自転車を押して歩いた。



何も出来ないまま、
何も言えないまま、
別れ道まで来てしまった。


告わなきゃ…。

気持ちばかりが焦って、頭や身体がついていけてなくて、
別れ道に来ても、動けず立ち竦んでしまった。



「……花井?」
そんな俺を不思議に思った水谷が近寄って来た。




何か、言わなきゃ…。
水谷に、…告わなきゃ…!



「水谷…お前、好きな人いるんだって?」


焦りに焦って、ようやく出た言葉がコレって…。


「ぅえっ!?な、何で知って…??」

脈絡もなく、急にこんな話し出して…。
水谷が驚くのも無理ないよな。


「…わり、栄口から聞いた…。」

ごめん、栄口。
今の俺には気の利いた嘘とか言えねぇわ。


「栄口から…?……そっか。」

……?納得、するところなのか?
栄口だから……?



何だよ……。

そんなに栄口は特別な存在なのか…?



くそっ!


俺だって…!

俺だって、誰にも負けないくらいお前の事好きなのにっ!



「水谷っ!」
「は、はいぃっ!!」

いきなり両手で水谷の肩をがっしり掴むと、
驚いた水谷が大きく肩を震わせ、上ずった声で返事をした。



正直、水谷のリアクションなんてどうでもよかった。
とにかく、今の自分の気持ちを伝えたい一心で、
俺は真っ直ぐ水谷を見据え、言った。





「…お前が、好きだっ!」








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