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◇hnmz
13.


部活が終わって、

「今日誰かCD屋寄る〜?」

「俺行くー。」

水谷の質問に栄口が答える。

「俺、今日はいいや。」
「水谷、俺も今日用事あるから先帰るね。」

次いで巣山、西広が答える。
大体よく行くメンバーからの返答を受けて、水谷も満足そうに「了解ー。」とまとめた。



「あっ!水谷、俺も!」

そういえば、妹達に頼まれてたCDがあったんだ。


「えっ!?」

俺が行くのが意外だったのか、
水谷が少し驚いたが、すぐに「おっけ〜。」と笑った。



着替え終わり、自転車に乗って皆でいつもの様にコンビニに来た。
いつもそこから各々家路につく。
今日はCD屋に寄るから、俺はいつもと反対方向。
下り方面の西広が先に帰ったので、
メンバーは水谷と栄口と俺だった………







………はずが!





「あ、ごめん。俺、今日姉ちゃんに早く帰るよう言われてたんだ!」

先程から携帯をいじっていた栄口が急に口を開いた。

「えっ…!?」

俺は思わず声を漏らした。
「だから、二人で行って?ごめんなっ、じゃ!」

そう言って自転車に跨り颯爽と走り去る栄口は、実に爽やかだった。


「ちょ、……。」

伸ばした手は虚しく空を掴む。



「………………。」
「………………。」



二人ぽつんと取り残され、少しの沈黙が流れる。



ブブブブ……。



携帯のバイブが鳴った。

メール…?

開くと栄口からで。


【お礼は肉まん一週間
 分でいいから。
 がんばってね〜。】


さ か え ぐ ち ぃ〜!!









…でも、
考えてみたらコレはチャンス…なんだよな……。



「花井?」

「んあっ!?…あぁ、ワリ。」
自分の世界に入り込んで、水谷を一人にしてしまっていた。


「…行こっか。」
水谷が自転車に跨ろうとした時、

「水谷!」
名前を呼び、俺はそれを制止した。


「…話しながら行きたいんだけど…。チャリ、押して行かないか…?」
「……ん、いいよ。」



俺達は、二人並んで歩き出した。







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